
日産が日本市場向けに発表した新型「キックス e-POWER」に対し、海外のメディアやSNSでも反応が広がっている。
注目しているポイントは、単なるモデルチェンジではない。日本仕様ではガソリンモデルを設定せず、e-POWER専用車として投入されたことに加え、約300万円という価格設定も関心を集めているようだ。
●文:月刊自家用車編集部
新型キックスは「米国仕様を割高に見せる存在」
アメリカの専門サイトでも、日本仕様のキックス e-POWERに関心が集まっている。
注目された理由のひとつが、日本仕様にのみ採用された日産独自の電動システム「5-in-1 e-POWER」。米国で販売されている現行キックスはガソリン仕様のみであることから、価格とパワートレイン構成の違いに関心が集まった形だ。
新型キックス e-POWERは、1.4Lエンジンを発電専用として使い、駆動はモーターが担うシリーズハイブリッド方式を採用する。システム出力は141hpで、米国仕様の2.0Lガソリン車と同水準。一方で、最大トルクは232lb-ft(約315Nm)と大きく上回る。
価格は299万9700円から。米ドル換算では約1万8700ドルとなり、AWD仕様の上位グレードでも約2万6500ドル前後に収まる。この価格帯について、米国市場のコンパクトSUVと比較して競争力が高いとの見方も出ており、仮に北米投入された場合には手頃な電動SUVの選択肢になる可能性も指摘されている。
新型キックスのグレード構成は、エントリーを担う「Xシンプルパッケージ」の299万9700円から、最上級となる「G e4OCE」の424万8200円まで、全8モデルをラインナップ。
なぜ米国にはこれまでe-POWERがなかったのか
海外ユーザーの中には、「なぜ今まで米国で展開されなかったのか?」と疑問を抱く人も少なくなかった。これには技術的な事情だけでなく、日産側の市場見通しや商品投入計画の影響もあったとみられる。
日産は経営再建の一環で電動化戦略を見直し、特定の動力源に偏らない柔軟な方針へ転換中だ。その中で、これまで北米未投入だったe-POWERも戦略の一つとして位置づけられている。
一方、未投入の理由として長く語られてきたのが、「e-POWERは高速走行中心の米国市場と相性が良くないのではないか?」という見方だった。
ただ、日産側は理由を性能面だけに限定して説明しているわけではない。実際、欧州向けSUV「キャシュカイ」にはe-POWERが採用されており、高速走行環境を含む市場で展開されている。
今回、新型キックスに採用された第3世代「5-in-1 e-POWER」では、電動パワートレーン全体の効率向上が図られており、高速巡航時の課題改善も含め、従来世代より北米市場への適性向上が期待されている。
日産は2026年後半に米国へe-POWERを初投入する計画だと報じられており、改良型「ローグ」が第一弾になる見込みだ。キックスにも同系統技術が展開される可能性があり、海外ユーザーの期待も高まりつつある。
第3世代となる日産のハイブリットシステム「5-in-1 e-POWER」
「この価格はすごい」「うちの国にも来て」海外SNSの反応
海外の掲示板では、価格設定への驚きが目立った。
あるユーザーは、この価格帯を「異常なほど安い」と表現し、米国で発売されたら購入候補になるとコメント。また、見た目の好みは分かれるものの、価格との組み合わせを考えると非常に魅力的だという意見も見られた。
一方、SUVらしさを強めた仕様については、当初否定的だったユーザーが「実際にオフロードを走る人は多くない。見た目重視のパッケージとして理解できる」と考えを変えたという声もあった。
別のユーザーは、本格的な悪路走破性はなくても、荒れた路面や未舗装路では十分役立つだろうと補足している。
また、米国投入時期については、まず現地生産や供給体制の整備が必要との見方もあり、次回改良タイミングでのe-POWER追加を期待するコメントも見受けられた。
X(旧Twitter)の日産公式投稿の引用欄では、
「台湾にも投入してほしい」
「マレーシアでも販売してほしい」
といった反応も確認され、アジア圏での展開に期待が寄せられている。
新型キックスの発表と同時に明らかにされたカスタム仕様の「ROCK CREEK(ロッククリーク)」
海外が注目したのは”スペック”より”立ち位置”
今回の海外の反応を見ていると、単純なデザイン評価よりも、「約300万円(約1万8700ドル)からという価格設定」「AWD設定」「手頃な電動SUVという立ち位置」に関心が集まっている印象だ。
「自国でも売ってほしい」という声がある一方で、実際に海外展開された場合は装備や安全基準、現地生産コストなどから価格上昇を予想する見方もあり、期待と現実的な視点が混在した反応となっている。
海外ユーザーの反応を見る限り、今回のキックスは単なる日本向けモデルでは終わらなさそうだ。日産が今後どこまでe-POWERをグローバル展開できるのか、その第一歩として注目される。
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