「あれ?エンジンかからない…」を防ぐ正しい知識【40度超えの酷暑】夏に急増するバッテリー問題│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「あれ?エンジンかからない…」を防ぐ正しい知識【40度超えの酷暑】夏に急増するバッテリー問題

「あれ?エンジンかからない…」を防ぐ正しい知識【40度超えの酷暑】夏に急増するバッテリー問題

今年も猛暑が予想されているが、梅雨明けの時期にトラブルで急増するのが一般的なクルマに搭載されている「12V(補機)バッテリー」。EVやハイブリッド車も含め、すべてのドライバーにとって他人事ではないこの問題。こまめな点検と早めの交換が無難なのは当然だけれど、その見極めや不調の兆候を見逃さないコツをここで大公開!

●文:月刊自家用車編集部(橘祐一) ●写真:橘祐一

バッテリートラブルは夏のイヤな風物詩!?

梅雨の季節が終わればいよいよ暑い夏がやってくる。今年の夏は全国的に気温が平年よりかなり高くなることが予想され、40度以上の酷暑日が多くの地点で観測される見込みとなっている。気温が上がってくるとクルマのトラブルも増えてくるが、その代表的なトラブルがバッテリー(補機バッテリー)だ。

クルマ用の補機バッテリーはエンジンの始動のほか、ヘッドライトなどの灯火類、カーナビやオーディオ、さらに多くのクルマでは空調などの動作も担っている。EVやハイブリッド車には大きな走行用バッテリーが搭載されているため、従来の補機バッテリートラブルは関係ないと考えている方も、もしかするといらっしゃるかもしれない。

しかし、EVやハイブリッド車でもシステムを起動する際などに補機バッテリーが使用されていることがほとんど。つまり、すべてのドライバーにとって夏のバッテリー対策は無視できない問題と言っていいのだ。

どうして夏にバッテリーがダメになりやすいの?

本格的な夏が訪れると、高速道路のPAやSAなどあちこちで立ち往生しているクルマを見かけることが多くなる。もちろんすべてがバッテリートラブルというわけではないだろうが、その頻度が高まるのは確かだ。筆者も自宅の駐車場から動けなくなったご近所さんをレスキューした経験が何度かある。やはりバッテリーが弱ってしまったことが原因だった。

では、そもそもどうして夏になるとバッテリー関連の問題が発生するのだろうか? 大きく分けるとその原因はこの2つになるだろう。

普段は目立たない存在だけれども、機能しなくなるとピンチに陥ってしまうのがバッテリー。縁の下の力持ち的な存在だ。

原因その1.エアコンのフル稼働による高負荷

自動車用の装備の中でもエアコンは消費電力が大きく、バッテリーにかかる負担も相当なものとなる。冬場は問題なく動作していたバッテリーも夏場に高負荷状態が続くことで、これまで蓄積されていた劣化の症状が一気に促進。そして敢えなくダウン。あっけなく感じるかも知れないが、これが最も多いパターンと言えるだろう。

原因その2.エンジンルーム内の高温化

日中に40度近い気温が続く夏場は、エンジンルームの中は信じられないほど高温になってしまう。駐車場所やボディカラーによってももちろん異なるだろうが、以前実験した時にはタマゴが焼けそうな温度にまで上昇。この極端な温度変化でバッテリーの劣化が進んでしまうのだ。

バッテリーの寿命は一般的に3年程度と言われることが多いが、使い方や保管状況によって大きく異なってくる。一見して異常が感じられなくても内部での劣化が進んでいることもあり、不安なときはディーラーやカー用品店で専用のバッテリーチェッカーを使って状態をチェックしておくといい。

「セルモーターの動きが以前より遅い気がする…」
「ヘッドライトが暗く感じる」

などが典型的な初期症状のため、異変を感じたら早めにバッテリーをチェックしておきたい。

バッテリーの状態を正確に判断するには「CCA値」が大事

バッテリーの状態を判断する際、多くの場合は「CCA値」を計測する。CCA(コールドクランキングアンペア)と呼ばれるものだ。これは冷間時にエンジンを始動させる能力を示す値となる。

バッテリーには固有の基準値が表示されており、専用のチェッカーで計測することで実際のCCA値を測定し、基準値からどのくらいの性能低下をしているのかの判断ができる。

目安としては、実際の計測値が基準値より70%以下の場合は早めに交換した方がベター。たとえバッテリーの電圧が12V以上を示していたとしても、このCCA値が低下しているとセルモーターが回らなくなることもある。いわば、本当の意味でのバッテリー劣化指数と言ってもいいほど重要なものなのだ。

バッテリーの電圧は12V以上を示していても、バッテリーが劣化してCCA値が低下していると、セルモーターが回らないことも。

そもそも、鉛バッテリーの仕組みはどうなっている?

一般的に自動車に使用されている鉛バッテリーは、プラス側に二酸化鉛、マイナス側に鉛の電極板を設置し、ケースの中に希硫酸を満たすことで化学反応による電子の移動で充電、放電を行っている

しかし、この放電時の化学反応を長期間繰り返すと希硫酸が絶縁物質(硫酸塩)の結晶となって電極板に付着してしまう。その結果、電気の流れを妨げることで電池の容量が少なくなったようになり、性能が下がってしまう。この現象がサルフェーションと呼ばれるものなのだ。

このサルフェーションは、パルス充電ができる充電器を使うことである程度は性能を回復できる。ただし、長期間使用したバッテリーは、電極板自体の劣化やバッテリー液の蒸発によって性能が低下している場合もあるため万能ではない。とは言え、定期的にパルス充電器を利用することでバッテリーの寿命を延ばせることは間違いないため、1台持っておくのはおすすめだ。

多機能型の充電器も今では購入しやすい価格に。1万~2万円程度で重大トラブルを防止できると考えればリーズナブルだ。

自動車用バッテリーの3つの種類

ここでは自動車用バッテリーの代表的な3タイプについてそれぞれの特徴を知っておこう。国産車では現在の主流は密閉型のMF(メンテナンスフリー)タイプだ。それぞれの特徴は以下の通り。

密閉型MFタイプ

電解液に希硫酸を用いた鉛バッテリーながら、電解液は密閉されているので点検、補充の必要はない。現在では最もスタンダードなタイプとなっている。

現在ではスタンダードなタイプとなる密閉型のMF(メンテナンスフリー)型。電解液の点検や補充は必要ない。

現在の国産車で一般的なのがこのMFバッテリー。内部はこのような構造だ。

開放型タイプ

少し前のクルマや安価なバッテリーに採用されている、ちょっと前の一般的なタイプだ。バッテリーの上部には6個のキャップがある。使用に伴って電解液が蒸発して減るため、定期的にレベルをチェックし、減っている時には蒸留水を補充する必要がある。店頭ではバッテリー性能を回復させる補充液(強化液)も販売されている。

従来の一般的なバッテリーがこの開放型。電解液が蒸発するのでレベルを確認し、定期的に蒸留水を補充する必要がある。

蒸留水のレベルを定期的にチェック。上部のキャップを開けると中には蒸留水が満たされている。蒸留水の代わりに強化液を補充する子で性能低下を防ぐこともできる。

AGMバッテリー

最近、輸入車を中心に標準採用されているタイプだ。AGMとは「Absorbed Glass Mat(アブソードグラスマット)」の略で、ファイバー製のグラスマットに電解液を染み込ませた構造をしている。ドライバッテリーとも呼ばれ、横倒しに設置しても電解液が漏れることがなく、ガスも発生しないため車内に設置することもできる。充放電性能が高く、自然放電しにくいので長期間使用しなくても電力を保つことができる特性がメリット。

ドライバッテリーとも呼ばれるAGMバッテリー。横倒しにしても電解液が漏れず、ガスも発生しないので室内に設置することもできる。

国産車バッテリーの型式(JIS規格)の読み方

バッテリーは車種、グレードにより使用する型式が決められている。国産車の場合はJIS規格によりバッテリーの型式が定められており、表記からサイズや仕様を読み解くことができる。

国産車に採用されているバッテリーはJIS規格による型式が表記されている。こちらは標準型。

例:「60B24L」の場合

60性能ランク。数値が大きいほど性能が高い。
Bバッテリー短側面のサイズ(幅129mm×高さ203mm)。なお、端子の太さは「B」型(細め)と「D」型(太め)があり、バッテリーのサイズが同じでも端子の太さが異なるため流用はできない。
24長側面の長さ。単位はcmで、この場合は24cm。
Lプラス端子の位置。この場合は正面から見て左がプラスとなる。

※アイドリングストップ車専用バッテリー(例:「N-55L」:NがB24相当、55が性能ランク、Lが左側プラス端子)や、欧州のDIN規格などは表記が異なるため、交換の際はディーラーなどで適合を確認する必要がある

端子のサイズは細めの「B」型(写真左)と太めの「D」型(写真右)がある。バッテリーのサイズが同じでも端子のサイズが異なる。

アイドリングストップ車などに使用するバッテリー「N-55L」は、バッテリーサイズの「N」がB24相当、「55」が性能ランク、「L」が左側プラス端子を表す。

充電は車両に取り付けたままで行うのが基本

充電作業は基本的に車両に取り付けたままで行う。ただし車両によりNGの場合もあるため、必ず車両側の取扱説明書を確認しておきたい。高性能なバッテリー充電器を使用すれば、過放電で充電できなくなったバッテリーをある程度復活させることもでき、AGMバッテリーにも対応している。中には端子に接続するだけで状態を測定し、状態に合わせて自動でパルス充電を行ってくれる機器もある。

バッテリー端子に接続するだけでバッテリーの状態を測定し、状態に合わせてパルス充電を行ってくれる充電器もある。

バッテリーの充電は基本的に車両に取り付けたままで大丈夫。車両によりNGもあるので、車両側の取扱説明書を確認すること。

交換時はメモリーバックアップを活用すべし

今のクルマは電源OFF時でもECUやセキュリティなどに電源を供給していることが多い。そのため、バッテリーを不用意に取り外すと各部がリセットされてしまい、次の始動時に不具合が起きることも多い。

一部のメーカー純正ナビゲーションなどは、バッテリーを取り外すと全リセットされてしまい、再起動にパスワードが必要となる場合もあるほど。くれぐれもバッテリーを取り外す前の確認は大切だ。

交換などでどうしても車両からバッテリーを取り外す必要がある場合は、バッテリー端子やOBDⅡ端子などに接続してメモリーを保持する「外部バッテリー(メモリーバックアップアイテム)」を利用するとトラブルを防ぐことができる。

市販されているアイテム(例:カイセ製 KG-150など)には、OBDⅡ端子やバッテリー端子に接続してバックアップを行えるものがあり、USB出力を備えていて普段はモバイルバッテリーとして使用できる多機能なモデルも存在する

過酷な暑さが予想される夏を乗り切るためにも、お盆の遠出やドライブの前に、まずは愛車のバッテリー状態をチェックしておくことをおススメしたい。

バッテリー交換時にメモリーをバックアップするアイテム。写真のカイセKG-150はUSB出力があるのでモバイルバッテリーとしても使用できる。

OBDⅡ端子に接続してバッテリーを取り外している間にメモリーをバックアップ。バッテリー端子に接続して使用することもできる。

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