
運転免許を返納したあと、買い物や通院など、近所への移動をどうするかは悩ましい問題だ。自転車は転倒が心配だし、歩いて行くには少し遠い。そんなときに気になるのが、手軽に乗れる小型モビリティの存在だ。
スズキが提案する電動モビリティ「SUZU-RIDE(スズライド)」と「SUZU-CARGO(スズカーゴ)」は、そんな日常の移動や荷物の運搬に活躍しそうな4輪の乗り物。2023年の「ジャパンモビリティショー2023」で参考出品され、2025年には進化した「SUZU-RIDE 2」も披露された。
四輪ならではのスタイルに、荷物を積める実用性。免許返納後の移動手段としても気になる存在だが、いったいどんな乗り物なのだろうか。
●文:月刊自家用車編集部
そもそも「シニアカー」って何? 免許返納後の移動手段として注目
高齢者の移動手段として知られる「シニアカー」。これは一般に、ハンドルで操作する座席付きの電動車いす型モビリティを指す言葉だ。
スズキにも「セニアカー」という製品があるが、こちらはスズキが展開する電動車いすの商品名。一般的な呼び名の「シニアカー」と、スズキの商品名である「セニアカー」は、似ているものの意味が異なる。スズキのセニアカーは、歩行を補助するための乗り物で、道路交通法上は歩行者として扱われる。運転免許は必要なく、歩道などを通行できるのが特徴だ。
セニアカーは1985年に誕生した
今回紹介するスズライドとスズカーゴは、四輪の電動モビリティでありながら、セニアカーとは異なるコンセプトで提案された乗り物。スズキは2023年の出品時、新たな車両区分である「特定小型原動機付自転車」を想定し、電動キックボードのような手軽さと、四輪による安定した走行を組み合わせたモビリティとして紹介している。
もちろん、四輪だからといって転倒の危険がなくなるわけではない。それでも、従来のシニアカーとは異なるスタイルや使い方を提案する存在として、注目したいところだ。
コンパクトな乗用タイプ「スズライド」は日常の移動にぴったり?
「SUZU-RIDE(スズライド)」は、日常の移動をもっと気軽に楽しむことを目指したパーソナルモビリティだ。
2023年のジャパンモビリティショー(JMS)で初登場した初代「スズライド」
2023年の参考出品車は、全長約1300mm、全幅約600mm、全高約1000mmというコンパクトな車体。ミラーを除いた寸法で、一般的な乗用車と比べるとかなり小さい。
ひとり乗りの座席を備え、四輪で走行するスタイルが特徴。買い物や近所への外出など、クルマを出すほどではない距離の移動に使えそうなパッケージとなっている。
さらに、車体には荷物を置けるスペースも用意されている。手荷物を持って移動する場面でも便利そうだ。
そして、2025年の「ジャパンモビリティショー2025」では、進化版となる「SUZU-RIDE 2(スズライド2)」が展示された。スズキは、日常だけでなく商用やレジャーまで視野に入れ、使い勝手のよいラゲッジスペースや扱いやすい操作性を特徴として紹介している。
2025年のJMSでお披露目された「スズライド2」。●全長1350×全幅600×全高1250mm
初代の提案を一度きりで終わらせず、改良を重ねたモデルが展示された点にも期待が高まる。
荷物を運ぶなら「スズカーゴ」! 買い物や趣味にも活躍しそう
もう一台の「SUZU-CARGO(スズカーゴ)」は、荷物を運ぶ用途を重視した電動モビリティだ。
初代スズライドとともにJMS2023で登場し、今なおその進化版が待ち望まれているのが、より積載性に特化した「スズカーゴ」
2023年の参考出品車は、全長約1900mmのコンパクトな車体に大きな荷台を組み合わせている。荷台の容量は約175Lとされ、スズライドよりも荷物の積載を意識した設計だ。
例えば、まとめ買いをしたときの荷物や、家庭菜園で収穫した野菜、趣味の道具などを運ぶ用途が考えられる。自宅から少し離れた場所にあるごみ集積所へ荷物を運ぶときにも、こうした乗り物があれば便利かもしれない。
もちろん、実際にどれほどの荷物を積めるか、どのような場所で使えるかは、市販時の仕様や利用条件によって変わってくる。それでも、単に人を運ぶだけでなく、荷物の運搬まで視野に入れている点はスズカーゴの大きな特徴といえる。
免許返納後の移動手段としてだけでなく、クルマを使うほどではない短距離の運搬や、仕事・レジャーでの活用も想像できる一台だ。
自転車は不安、でも歩くには遠い……そんな移動の悩みを解決できる?
免許を返納すると、クルマで自由に移動できなくなる。家族に送迎を頼む方法もあるが、毎回お願いするのは気が引けるという人もいるだろう。
近所への買い物や、駅・バス停までの移動など、日常生活にはクルマがなくても移動したい場面が少なくない。かといって、自転車に乗るのが不安だったり、荷物を持って歩くのが大変だったりする人もいるはずだ。
スズライドのような乗用タイプと、荷物を積めるスズカーゴのようなタイプが選べるようになれば、移動の目的に応じた使い分けも考えられる。
ただし、実際に利用できる道路や走行速度、必要な免許・年齢要件などは、車両の区分や仕様によって異なる。特定小型原動機付自転車として市販される場合も、法定要件を満たすことが前提となるため、具体的な利用条件は市販モデルの発表を待つ必要がある。
「スズキさん、市販化いつですか……?」気になる発売時期は?
スズライドとスズカーゴは、2023年の「ジャパンモビリティショー2023」で参考出品された電動モビリティだ。さらに、2025年にはスズライドの進化版であるスズライド2も展示されている。
ただし、参考出品やコンセプトモデルとして展示されたことと、市販化が決定していることは別だ。現時点で、これらのモデルの市販時期や価格など、購入を判断するための具体的な情報は明らかになっていない。
それでも、コンパクトな四輪車で人を運ぶスズライドと、荷物の運搬まで考えられたスズカーゴは、日常の移動に新たな選択肢をもたらしてくれそうな存在だ。
免許返納後の暮らしを支える乗り物として、あるいは近距離の移動や荷物運びをもっと気軽にする乗り物として、市販化を期待したい。
スズキさん、待ってます!
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