
リンエイプロダクト40周年記念モデル「ファシールバカンチェス ダイネット40」は、ハイエース標準ルーフをベースに開発されたコンパクトながら快適なキャンピングカー。「ふたりのくるま旅」を主要コンセプトに掲げ、居心地の良さと実用性を兼ね備えた特別仕様の一台として注目を集めている。
●文/写真:月刊自家用車編集部
洗練された”ふたりのくるま旅”を演出する創業40周年記念モデル
リンエイプロダクトが手掛ける最新のキャンピングカー「ファシールバカンチェス ダイネット40」は、創業40周年を記念する特別なモデルであり、同社が長年培ってきた技術と経験を結集した一台。
従来よりリンエイが掲げてきた「ふたりのくるま旅」というコンセプトを、より洗練されたかたちで実現するために生み出された車両であり、その存在は単なる移動の手段を超えて、旅の質そのものを高める提案となっている。
ベース車両にはハイエースの標準ルーフ仕様を採用している。全長4695mm、全幅1695mm、全高1980mm(ソーラーパネル装着車は2,030mm)というサイズは、街中の駐車場や狭い道でも扱いやすく、都市部から自然豊かなキャンプ地まで、場所を選ばず自在に走行できる。
この取り回しの良さこそ、長期の旅だけでなく週末の短期旅行にも最適な理由である。そして、外観はあくまでシンプルで控えめだが、車内に一歩足を踏み入れれば、その印象は大きく変わる。そこには、二人が快適に過ごすための工夫が至るところに凝縮されている。
リンエイプロダクトが40周年記念モデルとしてリリースした「ファシールバカンチェス ダイネット40」は、ハイエースのナロー、ロング(各標準ルーフ)をベースにしたバンコン。乗車4名/就寝2名の設定ながらも「ふたり旅」をコンセプトにしている。
イージーなリビングモードから就寝モードへの展開
「ダイネット40」という名の通り、レイアウトの中心にはダイネットが配置されている。前向きと後ろ向きのシートを対面させる構造により、食事や会話を楽しむリビングとして機能し、さらに展開すればベッドスペースへと変化する。
特徴的なのは、テーブルを跳ね上げ式とすることでベッド展開の際にテーブルを取り外す手間を省き、よりスムーズに寝床へと移行できる点である。これはまさに「ふたりのくるま旅」にふさわしい合理的な設計であり、車内での時間を一層心地よいものにしている。
ベッドとして使用する場合、ダイネット側は1950mmの長さを確保しており、長身の男性でもゆったりと横になれる。標準ルーフのキャンピングカーにおいて、この寝心地の良さを実現するのは決して容易ではない。だがリンエイは、ギャレーや収納の配置を最適化することで、コンパクトな車体の中に十分な就寝空間を確保した。この「居住性の確保」と「サイズのコンパクトさ」を両立させた点が、ダイネット40の大きな魅力である。
前後方向に座るダイネットとベッドは左右対面のレイアウトで、中央に導線を設定することにより車内のアクセスは楽ちん。全面ベッドの就寝モードに移行するのも簡単だ。ベッドは大人2名がゆったり寝ることができる。
ふたり旅を支える収納力とキッチン
また、車内の収納力も見逃せない。大型のサイドシェルフが備えられており、旅先での衣類や日用品、食材などを整理して積み込むことができる。頭上空間に余裕を持たせた設計は圧迫感を軽減し、狭さを感じさせない工夫が随所に施されている。
二人で過ごす空間だからこそ、この「ちょうどよい開放感」と「安心できる包まれ感」のバランスが重要になる。まるで秘密基地のような安心感を持ちながらも、長時間滞在しても疲れにくい居住性が追求されているのである。
さらに、ふたり旅を支える実用性として、前方のキッチンキャビネットが挙げられる。ここにはシンク、40L冷蔵庫、電子レンジが備わり、車内での簡単な調理や食材保存が可能。特に長期旅行では冷蔵庫の存在が心強く、食材を買いだめして自由に調理できることが旅の快適性を大きく高める。
電子レンジも加わることで、温かい食事を手軽に用意でき、キャンピングカーならではの自立した旅のスタイルが実現する。こうした装備は決して派手ではないが、ふたり旅を支える確かな実力である。
ルーフサイドに大型の扉付き収納キャビネットを装備。デッドスペースを有効活用することで積載性は大幅に向上するうえ、車内が荷物で散らかることも防いでくれる。シンクの下にもシューズボックスが備わる。
車中泊で重要な要素として、リンエイは電子レンジの装備は必須だと考える。電子レンジがあれば豊富なレシピが活用でき、車中泊でのストレスを軽減してくれる。ちょっとした洗い物が可能なシンクと、40L冷凍冷蔵庫も標準装備。
細やかな配慮による快適な居住性
リンエイプロダクトは、開発にあたり「ハイエース標準ルーフに乗る身長180cmの男性が快適に過ごせる空間」を目指したと明言している。これは単なるスペック上の追求ではなく、実際に利用するユーザーの視点を徹底的に取り入れた結果である。キャンピングカーはカタログの数字だけでは測れない「使い勝手」が重要であり、その意味でダイネット40は細やかな配慮の積み重ねによって完成度を高めているといえる。
車両価格は税込574万3100円からと決して安価ではないが、40周年記念モデルとしての特別性と、標準ルーフでありながらここまでの快適性と装備を備えた完成度を考えれば、十分に納得できるものだ。実際に乗ることで初めて体感できる安心感や居心地の良さは、単なるスペック比較では表現しきれない価値を持つ。
豊富な標準装備もポイント。ボディ断熱/走行充電システム/95Ahダブルサブバッテリー/100Wダブルソーラー/2000Wインバーター/大型TV&DVD/DC12Vソケット/外部AC/遮光カーテン(リア全面)ほか、ツボを抑えた装備を満載。
歴史が紡いだキャンピングカー
「ふたりのくるま旅」という言葉には、単なる移動や観光を超えた豊かさが込められている。目的地に到着することがゴールではなく、移動そのものや車中で過ごす時間を楽しむことこそが旅の本質でもあるからだ。ダイネット40は、その思想を体現するために作られたキャンピングカーである。自由に行きたい場所へ行き、車内では落ち着いたリビングとしてくつろぎ、夜になれば広々としたベッドで安眠する。そのすべての過程が旅の大切な思い出となる。
リンエイは、40年間にわたり数多くのユーザーと共に歩みながら「ふたりのくるま旅」のスタイルを磨き上げてきた。その集大成として登場した「ファシールバカンチェス ダイネット40」は、単なる記念モデルにとどまらず、次の世代のキャンピングカーの在り方を示す提案でもある。
「重要なのは装備ではなく使い方。例えばエアコンだって必需品ではありません。ホテルやキャンプと違って移動できるのがキャンピングカー最大のメリットですから、旅先では就寝前に標高1000m以上ある場所を探して移動すれば、真夏でもエアコンいらずで朝まで快適に過ごせます。そうしたノウハウの積み重ねは40年の歴史によって培われ、それをお客様に伝えることができるが何よりの強みだと考えています」、とリンエイは語る。
ファシールバカンチェス ダイネット40は、40年間真摯にキャンピングカーを開発し続けてきたリンエイだからこそ実現したプロダクトの1台なのである。
●ファシールバカンチェス ダイネット40
・車両販売価格:574万3100円(税込み)〜
・標準装備:ボディ断熱/走行充電システム/95Ahダブルサブバッテリー/100Wダブルソーラー/2000Wインバーター/40L冷凍冷蔵庫/大型TV&DVD/省エネ型100W電子レンジ/DC12Vソケット/外部AC/遮光カーテン(リア全面)/シンク&コンロ/クローゼット/ルーフサイド収納/オリジナル食器セット/床張り仕上げ、他
※写真の車両はオプション多数で666万679円(税込み)
オリジナル食器セットも標準装備となるファシールバカンチェス ダイネット40。ハイエースベースのキャンピングカーでありながら敢えて2名用に特化した設計にすることで余裕のある車中泊ライフを楽しめる。
標準装備が豊富ながらオプション設定も多数用意。電動ステップのひとつだ。とはいえ、リンエイはFFヒーターやクーラー(ルーフトップクーラー/インバータークーラー)は「必須ではない」と語り、キャンピングカーの利点を活かした使い方を提唱している。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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