
●文:月刊自家用車編集部
カローラクロス:都市を駆ける洗練されたSUVへ
カローラシリーズ初のSUVとして誕生したカローラクロス。「アーバン・アクティブ」をデザインテーマとしたエクステリアは、伸びやかなガラス面とランプが特徴的なアッパー部と、ワイドで安定感のあるバンパー部が対比をなすことで、都市に映える洗練されたプロポーションを実現している。
パワートレーンは、カローラクロスに最適化されたハイブリッドとガソリンエンジンを用意していたが、2025年5月に実施された改良でガソリン車は廃止されている。ハイブリッド車はクラストップレベルの燃費性能26.4km/L を達成するなど、優れた経済性を実現している。また、悪路走破性や雪道での安定性を高める4WDのE-Fourも選択することが可能だ。
シャシーには熟成されたGA-Cプラットフォームを採用。軽量かつ高剛性のボディ骨格と相まって、優れた走行性能に貢献する。サスペンションは、フロントにはマクファーソンストラット式、リヤには2WD車は専用開発のトーションビーム式、4WD車にはカローラシリーズで実績のあるダブルウィッシュボーン式を採用。大型ゴムブッシュやアーム類の取り付け位置を最適化することで、高い安定性と優れた応答性を両立している。これにより、凹凸のある路面でもしなやかに追従することで、上質な乗り心地を実現する。
最小回転半径はクラス最小レベルの5.2mを実現。狭い路地や駐車場での取り回しが容易で、都市部での運転のストレスを軽減する強みを持つ。カローラシリーズのフラッグシップにふさわしい高性能ぶりも魅力のひとつになっている。
カローラ クロス:スタイリング&パッケージ
カローラシリーズ共通の流れるようなベルトライン、クォーターウィンドウまで続くサイドウィンドウグラフィック、そしてリアエンドからピラーへの滑らかな繋がりといった基本シルエットを踏襲しながらも、その雰囲気を壊すことなく実用的なSUVスタイルを実現している。ボディサイズは、全幅 1825mmとカローラシリーズで最もワイドだが、最小回転半径は 5.2mと良好な取り回しを維持している。
【トヨタ カローラクロス ハイブリッドZ 2WD(2021年9月モデル)】 ●全長×全幅×全高(mm):4490×1825×1620 ●ホイールベース(mm):2640 ●車両重量(kg):1410 ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:1797cc直4DOHC(98ps/14.5kg-m)+モーター(53kW/163Nm) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:26.2km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)/トーションビーム式(R) ●タイヤ:225/50R18
都会的な上質感と堂々としたたくましさを具現化した「アーバン・アクティブ」デザインを採用。ボディカラーは全8色が設定される。全高1620mm/最低地上高160mmとカローラシリーズ最大の高さを確保。後席にも十分なスペースを確保した正統派SUVにふさわしいパッケージだ。
国内仕様車のフロントマスクはキーンルックに大型グリルを組み合わせた精悍さを際立たせたマスクデザインを採用。収納BOXなどが装着できるボディ一体タイプのルーフレールは、SとZに標準装着される。
【トヨタ カローラクロス ハイブリッドZ 4WD(2025年5月モデル)】 ●全長×全幅×全高(mm):4455×1825×1620 ●ホイールベース(mm):2640 ●車両重量(kg):1560 ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:1797cc直4DOHC(98ps/14.5kg-m)+モーター(フロント:70kW/185Nm リヤ:30kw/84Nm) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:24.6km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:225/50R18
2025年5月の改良でフェイスリフトを実施。Zグレードには、1つの光源でロービームとハイビームを切り替えるBi-Beam LEDヘッドライトと、左右のヘッドランプから直線的につながるLEDクリアランスランプを採用している。
カローラクロス:インパネ内装&シート
コラム高から上のインパネの造形は他のカローラ系とほぼ同じ。カウルトップやベルトラインの高さに合わせて前面部の傾斜を強めたり、センターコンソールとの接続部を再設計したりしているものの、一目でカローラ系列と認識できるデザインは維持されている。
後席の格納には一般的な分割式のシングルフォールディング方式を採用。これにより、格納時に荷室床面との間に段差が生じるのは残念だが、後席使用時においてもクラストップレベルとなる487Lという広大な荷室容量を実現するなど、カローラらしい高い実用性を誇っている。
頭上空間にゆとりをもたせた実用的なキャビンパッケージ。センターコンソール上にはディスプレイオーディオが配置される。
コンパクトSUVとしては最大級のスペースを確保。もっともベーシックなG”X“を除いたグレードのフロントシートは、サイドサポートを備えるスポーティシートを採用。また、Zにはヒーター機能も標準装備される。
2025年5月の改良時にフロアコンソールのデザインを変更。シフトノブも上質感のある形状に変更されている。
カローラクロス:パワートレーン
デビュー当初は、1.8Lガソリン車と1.8ハイブリッド車をラインナップ。いずれもカローラクロスに最適化されたエンジンを採用している。
ハイブリッド車は、クラストップレベルの低燃費26.2km/Lを達成し、優れた環境性能と経済性を両立。さらに、悪路や雪道での走行安定性を高める4WDのE-Fourモデルも設定されている。これにより、様々な路面状況に対応する高い走破性を実現している。2023年の一部改良で、電動モジュールが刷新されたことで、モーター駆動力が向上。2025年には2Lハイブリッド車も追加されている。
ガソリン車は、力強い加速とスムーズな走りが特徴で、日常使いからレジャーまで幅広いシーンで活躍する。トランスミッションはCVTが組み合わされ、シームレスな加速フィールを提供。2023年の一部改良で1.8Lガソリン車が廃止され、2Lガソリン車に置き換えられたが、2025年5月に2Lガソリン車も廃止されている。
サスチューンは乗り心地を強く意識した味付け。切れ味を勝負するタイプではないが、高速安定性も高く、ツーリングモデルとして高い資質を持っている。初期型のガソリン車はパワー不足が否めず、ハイブリッド車に比べると見劣りしてしまうが、2023年10月からの一部改良モデルの2Lガソリン車は、最新のダイナミックフォースエンジンを採用したことでハイブリッド車との差が大きく縮まっている。
2025年8月にはGRの独自のチューニングが注がれる「GR SPORT」が追加設定。GRモデルのみハイブリッドが2Lエンジンベースとなり、専用内外装やGR専用サスチューンなどが与えられている。
カローラクロス:モデル変遷
【2021年9月:初期型】カローラクロスを発売
パワートレーンは1.8Lガソリン車と1.8Lハイブリッド車を選択可能。駆動方式はガソリン車は2WD(FF)のみになるが、ハイブリッド車には2WDとリヤに駆動モーターを配置する4WDも選ぶことができる。グレードはガソリン車は4タイプ、ハイブリッド車は3タイプが用意される。発売当時の月販目標台数は4400台とされていた。
カローラクロス
●カローラクロス グレードバリエーション&価格【2021年9月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【2WD/4WD】 |
1794cc直4DOHC 140ps/17.3kg-m | G“X”【CVT】 | 199万9000円/- |
G【CVT】 | 224万円/- | |
S【CVT】 | 240万円/- | |
Z【CVT】 | 264万円/- | |
1794cc直4DOHC 98ps/14.5kg-m + モーター(フロント) 53kW/163Nm | ハイブリッド G【電気式CVT】 | 259万円/- |
ハイブリッド S【電気式CVT】 | 275万円/- | |
HYBRID Z【電気式CVT】 | 299万円/- | |
1794cc直4DOHC 98ps/14.5kg-m + モーター(フロント) 53kW/163Nm モーター(リヤ) 5.3kW/55Nm | HYBRID G【電気式CVT】 | -/279万9000円 |
HYBRID S【電気式CVT】 | -/295万9000円 | |
HYBRID Z【電気式CVT】 | -/319万9000円 |
【2023年10月:一部改良】パワートレーンを刷新するとともに、安全装備・コネクティッド機能を充実
ハイブリッド車は、すべての電動モジュールを刷新した1.8Lハイブリッドシステムに変更。ガソリン車は、従来の1.8Lエンジンから、低燃費・高出力を実現する2.0Lダイナミックフォースエンジンに変更されている。
メーターパネルをフル液晶化し、視認性が向上した12.3インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイをZグレードに標準装備している。
ボディカラーは新色マッシブグレーを含む8色を設定。ハイブリッド車にはツートーン3色を追加している。
さらに安全支援システムを進化。ドライバーのステアリング・ブレーキ操作をサポートするプロアクティブドライビングアシストや、プリクラッシュセーフティに交差点右折時の対向直進車および右左折時の対向方向からの横断歩行者検知機能を追加するなど、Toyota Safety Senseの機能が拡大されている。
車載ITのコネクティッドナビ対応のディスプレイオーディオを設定したほか、10.5インチの大画面ディスプレイ、車内Wi-Fiを設定。
カローラクロス(ハイブリッドZ・2023年10月モデル)
●カローラクロス グレードバリエーション&価格【2023年10月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【2WD/4WD】 |
1986cc直4DOHC 170ps/20.6kg-m | G“X”【CVT】 | 218万4000円/- |
G【CVT】 | 241万円/- | |
Z【CVT】 | 290万円/- | |
1794cc直4DOHC 98ps/14.5kg-m + モーター(フロント) 70kW/185Nm | HYBRID G【電気式CVT】 | 276万円/- |
HYBRID S【電気式CVT】 | 298万円/- | |
HYBRID Z【電気式CVT】 | 325万円/- | |
1794cc直4DOHC 98ps/14.5kg-m + モーター(フロント) 70kW/185Nm モーター(リヤ) 30kW/84Nm | HYBRID G【電気式CVT】 | -/296万9000円 |
HYBRID S【電気式CVT】 | -/318万9000円 | |
HYBRID Z【電気式CVT】 | -/345万9000円 |
【2025年5月:最新型】一部改良を実施。ガソリン車を廃止して、ハイブリッド車のみのラインナップに変更。フラッグシップとしてGRスポーツを追加設定
一部改良を実施。ガソリンモデルが廃止されて、ハイブリッド(HEV)モデルのみのラインナップへと刷新。
エクステリアは、バンパーとヘッドランプの一新により都会的かつアクティブな印象を強化。ボディ同色グリルの採用により、上質感も高まっている。インテリアでは、シフトノブ周辺のデザイン刷新で質感と操作性が向上。
装備機能は、E-Fourの制御を緻密化し雪道での安定性を向上させるトヨタ初となる「SNOW EXTRAモード」と、路面に矢印を投影し、見通しの悪い交差点での安全性を高める、国内初の「シグナルロードプロジェクション」の2つの新機能を設定。Zグレードにはシートベンチレーションも標準装備されるなど、快適性と安全装備も充実している。
また新グレードとして、デザインと走行性能がさらに磨かれた「GRスポーツ」が登場(2025年8月発売)。システム最高出力199PSの2.0Lハイブリッドエンジンの搭載や、専用チューニングサスペンションと19インチタイヤの採用により、意のままの走りを実現する。スポーティーな個性を際立たせる専用内外装も施される。
カローラクロス(Z・2025年5月モデル)
カローラクロス(GRスポーツ・2025年5月モデル)
●カローラクロス グレードバリエーション&価格【2025年5月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【2WD/4WD】 |
1794cc直4DOHC 98ps/14.5kg-m + モーター(フロント) 70kW/185Nm | G【電気式CVT】 | 276万円/- |
S【電気式CVT】 | 298万円/- | |
Z【電気式CVT】 | 343万円/- | |
1794cc直4DOHC 98ps/14.5kg-m + モーター(フロント) 70kW/185Nm モーター(リヤ) 30kW/84Nm | G【電気式CVT】 | -/301万9000円 |
S【電気式CVT】 | -/323万9000円 | |
Z【電気式CVT】 | -/368万9000円 | |
1986cc直4DOHC 152ps/19.2kg-m + モーター(フロント) 83kW/206Nm モーター(リヤ) 30kW/84Nm | GRスポーツ【電気式CVT】 | -/389万5000円 |
カローラ クロス:最新値引き額/納期情報(2025年7月)
- 車両本体目標値引き額:18万円
- 納期の目安:−
- リセール予想:B
2025年5月に一部改良を実施したが、受注は好調で、すでに多くのディーラーで注文受付を停止している。再開時期は未定。「すぐにでも欲しい」というならばキャンセル待ちの列に並ぶしかない状況だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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