
●文:おもちのビート ●まとめ:月刊自家用車編集部
愛車のビートは33年前のクルマ…どう維持する??
こんにちは。YouTubeで「おもちのビート」チャンネルを運営しているおもちです。
YouTubeチャンネル“おもちのビート【POV Drive ch】”最新動画↓
私の愛車、そして私のチャンネル名の由来になっている「ホンダ ビート」は、1991年から1996年にかけて製造されたホンダの軽自動車です。私が乗っているのは1991年式なので、もう33年前のクルマになってしまいました。
このことを聞くと、「そんな古い軽自動車なんて、めっちゃ壊れるんじゃないか」という考えを持つ人も少なくないと思います。
普通に考えて30年以上前の工業製品ですから、当然ですよね。ゲームで言うとスーパーファミコンが出たくらいの時代のクルマです。
そう考えるとなかなか…
それだけ古いクルマを安全に乗るためには、現行車よりもメンテナンスに気を遣う必要がやっぱりあります。
今回の記事では、私がどのようなことを意識してビートのメンテナンスを行っているか、そして私が体験した故障や不具合について書きたいと思います。ビートだけではなく、少し古いクルマを維持していく上で考え方は一緒だと思いますので、よかったら参考にしてみてください。
消耗品は当然ながら定期的に交換。乗ってなくてもケチらずに。
すごく当たり前ですが、消耗品類の定期交換は必須です。
特に一番気にしているのは、エンジンオイルを始めとした油脂類の交換です。
エンジンオイルは半年に1回は必ず交換。
オイルフィルターも2回に1回は交換するようにしています。
交換だけでなく、定期的にオイル残量もチェック。
ビートのエンジンはオーバーホール時期が近づいてくるとオイル消費が多くなる傾向があります。
そのほか、ミッションオイルやブレーキ・クラッチフルード、冷却水も必ず定期的に交換するようにしています。
私はセカンドカーなので走行距離はそこまで伸びないのですが、油脂類はどうしても空気に触れて劣化をするので、走っていなくても必ず交換するようにしています。
自分でやれる環境があれば自分でやっても良いですし、ビートは古いクルマですが、普通にディーラーや量販店にお願いしても断られることなく、ちゃんとやってもらえます。
整備書を片手に、人生初のプラグコード&プラグ交換に挑戦。
この車を所有してから自分でできることが増えました。
軽自動車でも高級車でも、年数が経てば部品は経年劣化を起こす
消耗品の交換は当たり前として、ここからが古い車と付き合う上でのメンテナンスの本番です。
新しいクルマと古いクルマ、何が大きく違うかといえば、各部品の「経年劣化」でしょう。
この世の中にある「モノ」というのは、使っていると必ず経年劣化を起こします。これは軽自動車でも、コストを掛けて作られる高級車でも共通です。なんなら人間も同じです。私も年々おじさんになるのを悲しんでいる日々です。
以前交換した冷却水タンクの新旧比較。
普通に乗っているだけでも、30年間で部品はここまで劣化します。
当然ながら劣化した部品を使い続けると、それが原因で不具合が発生してしまいます。なので、各所にある劣化した部品は、このクルマに乗り続けていく限り交換をし続ける必要があります。
ここが新しいクルマと古い車を維持する上での最大の違いですね。
経年劣化する部品の中では、特に
・ブッシュやホースなどのゴム製品
・燃料に関連する部品
・エンジンの制御に関連している電子部品
この3つの管理が大事かと思います。
「今は全然大丈夫でも、いつか急に壊れるかもしれない」
このような部品をどのタイミングで交換していくか。
これが古いクルマのメンテナンスを行う上での「キモ」かなと、ビートに乗りはじめて思いました。
クルマの下部にある、冷却水が通るパイプ。
いずれ錆で穴が空いてしまうので、問題が起きる前に交換です。
停車中の振動がすごかったので、エンジンマウント&ミッションマウントも交換。
運動性能に影響はありませんが、運転手が経年劣化を感じやすい部品の一つですネ。
専門店の知識・ノウハウはすごい。
私の場合、主に消耗品関係の交換は自分で行っています。
その際にパッと見で変なところがないか(例えばオイル漏れやブーツの破けなど)は確認することができるのですが、「異常を異常だと判断する能力」が整備士の方に比べると劣っています。
経験の無い、ただの素人ですからね。
そこで、非常に頼りになるのが「ホンダビート専門店」です。
日本各地に存在するのですが、どのショップもホンダビートという車を長年に渡って様々な個体を見てきているので、色々なノウハウが積まれています。
実際に自分のクルマをお店で点検してもらうと
「ここはまだ大丈夫だから変えなくても良い」
「ここはそろそろ変えたほうが良い」
「ここは最近トラブル事例が多くなってきたから注意」
というアドバイスを貰えます。
疑問に思ったことや、これからのメンテナンスの方向性について丁寧に教えてくれます。
実際の部品を見ながら具体的に説明を受けられるのも嬉しいところ。
自分が全然気にもしていなかった部分が劣化したり交換推奨だったりするので、第三者の目で見てもらうことの大切さは、専門店に出すと改めて感じます。
ところで、ビートって壊れやすいの?
メンテナンスについて書いてきましたが、実際に私が経験した故障や不具合についてお話ししたいと思います。
まず結論から言ってしまうと、「走行中に壊れて道路の真ん中で止まってしまった」というトラブルは一度もありません。
私が経験した故障および不具合は以下の通りです。
・燃料噴射装置のパッキン破損によるガソリン微量漏れ
・ブレーキの固着によるブレーキ引きずり
・ドライブシャフトブーツ破損
・トリップメーター不動
・エアコン故障(2回)
一番怖かったのが、最初に書いたガソリン漏れです。
「なんか燃料臭いな・・・」と思って専門店で確認してもらったところ、燃料噴射装置のパッキンが破損していて、そこからガソリンが漏れていたことが発覚しました。
大量にドバドバ漏れていた訳ではなかったそうですが、お店の方から「車両火災になってもおかしくないレベルの漏れ具合ではありました」と言われて、肝が冷えました。
この件があってから、燃料系の交換推奨部品に関してはケチらずに交換するようになりました。
Oリングの変形によるガソリン漏れ。もし引火していたら……
一番最後に書いたエアコンに関しては、ホンダビート最大の故障ポイントです。
全くエアコンが壊れないと言う奇跡の個体もありますが、基本的には壊れます。というより、車両を買った時は大体壊れています。
壊れているのがスタンダードで壊れていない車両の方が少ないです(ガチです)。
私のビートは2回壊れました。
最終的にはエアコンに関する部品を全て新品に交換し、修理から2年経った今も問題なく動いてくれています。
3回目の修理は当分先が良いのですが……
「夏と雨の日は絶対に乗らない!!」という強い意志があるなら最悪エアコンは壊れていても大丈夫ですが、それ以外の方については一番お金を掛けて直す部品になりそうです。
一度直してもまた壊れる・壊れやすいというのがネックですね…
古いクルマのメンテナンスは、劣化部品の交換費用との戦いです。
ビートを所有し初めて丸5年。
幸いにも大きな故障は発生していませんが、点検に出す度に、劣化している部品の交換費用見積書とにらめっこをするルーティーンを繰り返しています。
もちろん、気になっている箇所を全部交換しちゃえば良いのですが、そうなってくると行き着くところは「フルレストア」になってしまいます。
無限にお金が掛かってしまうので、「どのラインまでやるか」で頭を悩ませています。
そんな中、私が意識しているのは
・消耗品はあまり乗っていなくても定期的に交換
・燃料系統で交換推奨を受けたらケチらずに全部交換
・その他の交換推奨部品は重要度と金額を加味しながら決める
この3つです。
先日の車検では、燃料タンクの錆と燃料ラインの劣化が確認されたので全て交換。
全然予想していなかった痛い出費ですが、車が燃えるより100倍マシです。
古いクルマは普通のクルマに比べたら確かにお金は掛かるのですが、めちゃくちゃ壊れる訳でもなく、メンテナンスをちゃんとやっていれば普通に乗れてしまうんだな、と言うのが所有してきた中での感想です。
「案ずるより産むが易し」という言葉もありますが、買う前は不安でも、実際に所有してみるとなんとかなっちゃうものですね。
これからもホンダビートとの生活は、まだまだ続きそうです。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(旧車FAN)
国産初の2シーターミッドシップスポーツをトヨタが発売したことが驚きだった トヨタ「MR2」が発売されたのは1984年です。前年の東京モーターショーで「SV-3」というMRレイアウトの車輌が発表されまし[…]
「ダットサン・フェアレディ1600」がベースのスペシャリティクーペ 初代の「シルビア(CSP311型)」が誕生したのは、いまから60年も前の1965年です。型式名が表すように、ダットサン「フェアレディ[…]
ロータリーエンジンは、CVCCに続いて厳しい排ガス規制にもクリアし、販売台数を着実に伸ばしていった 自由の国、アメリカは、時に油断も隙もない国でもある。オイルショック直後の1973年秋にEPA(合衆国[…]
当時のクルマ造りで最も重要視されたのは”壊れない”ことだった 1950年代に、外国車の見よう見まねで乗用車造りを始めた日本のメーカーと、それを使うユーザーにとって、なによりも重視されたのが“壊れない”[…]
キープコンセプトが、クラウンの宿命だった時代 エクステリアを一見しただけでは6代目と区別が難しい7代目クラウン(MS125系)。数少ない特徴を挙げるならば、きらめくパネルを透明な樹脂で覆ったクリスタル[…]
最新の関連記事(クリエイターポスト)
ジムニーからセルシオへ乗り換え!? こんにちは。YouTubeで「おもちのビート」チャンネルを運営しているおもちです。 YouTubeチャンネル“おもちのビート【POV Drive ch】”最新動画↓[…]
ビートオーナーがAZ-1を試乗!ABCトリオって? こんにちは。YouTubeで「おもちのビート」チャンネルを運営しているおもちです。 YouTubeチャンネル“おもちのビート【POV Drive c[…]
日本には、ドライブの楽しさを倍増させる”メロディーロード”という道が全国各地に存在します。 メロディーロードを走ると、運転中に音楽を奏でるという楽しい体験ができます。 ただ走るだけで音楽が聞こえるこの[…]
クルマの世界では、環境への配慮と技術革新が重要なテーマとなっています。 特にクルマの排出ガスの問題は以前から問題視されており、現在は地球温暖化/大気汚染への対策として、エコフレンドリーな電動化技術が注[…]
日本の高速道路は、経済の動脈として不可欠な役割を果たしています。 しかし、多くの高速道路が建設されてから数十年が経過し、老朽化が進んでいます。 こうした中、高速道路の安全性と機能性を維持し、さらに向上[…]
人気記事ランキング(全体)
国内自社工場一貫生産による高品質。1Kのような間取りが特徴 キャラバンZEROを製作するOMCは東京都武蔵野市にあり、オーダーメイドのキャンピングカーを製造販売。そのこだわりは国内自社工場一貫生産で、[…]
個性が異なるエクステリア、キャラの違いは明白 まず注目すべきはエクステリアの違いだろう。 「アドベンチャー」はSUVらしい力強さを前面に押し出していて、専用デザインのフロントバンパーやラジエーターグリ[…]
クルマの内窓掃除が面倒になる理由はクルマの進化にあった 車内のガラス掃除は、外装洗車に比べて軽視されやすい。しかしフロントガラス内側の汚れは、夜間や逆光時に視界を大きく損なう要因になる。にもかかわらず[…]
耐久性抜群でスタイリッシュ。便利な開閉式のリアラダー クラフトワークス(Fun Standard株式会社)は、実用性とデザイン性が高い、自動車用アクセサリーを多数リリースしているブランドだ。そのクラフ[…]
ショックレスリングとは? 一般の金属とは異なる原子の規則相と不規則相が存在する“特殊制振合金”を採用した金属製のリングで、シート取付ボルトやサスペンションアッパーマウントのボルトに挟み込むだけで、効果[…]
最新の投稿記事(全体)
専用エンブレムとタグで、特別感も巧みに演出 今回導入される30周年特別仕様車は、初代ステップワゴンから一貫して追求してきた、家族の使い勝手とクラス最大級の室内空間を継承しつつ、マルチビューカメラシステ[…]
大胆フェイスリフトで、外観イメージを刷新 デリカは、1968年の初代誕生から「様々な道路状況において、確実に乗員や荷物を目的地まで運ぶクルマ」として半世紀以上の歴史を積み重ねているモデル。現行の5代目[…]
パナソニック オートモーティブシステムズが提案する「移ごこち」とは? パナソニック オートモーティブシステムズ(株)は、2026年1月9日(金)から1月11日(日)に幕張メッセ(千葉県)で開催される東[…]
横浜「ザ・ムービアム」で味わう進化感覚の芸術体験 ザ・ムービアム ヨコハマは、約1800m2の広大な空間を舞台に、音と映像が融合した進化感覚の芸術体験を提示するイベント。 まず、イベントの核となるシア[…]
●家族に寄り添ってきたミニバンの王道セレナがさらに進化! 1991年に誕生した「セレナ」。家族のためのクルマとしてファミリー層を中心に高く支持され続け、2026年には35周年を迎えるという人気のロング[…]
- 1
- 2

































