トヨタ ハリアー(3代目)・ハリアーの名を不動のものとした功労者【国産車カタログ】

●文:月刊自家用車編集部(ハラ)

【プロフィール】RXとの共存路線と決別し、国内専用モデルとして開発

初代、2代目モデルはレクサスRXと兄弟関係にあったが、2013年12月に発売された3代目ハリアーは、RXとの共存路線と決別。日本人の感性を意識した上級仕立てと洗練されたデザインに加えて、日本の道に合わせてボディサイズをダウンサイジングするなど、国内独自開発のミドル級SUVとして登場した。

デビュー当初のパワートレーンは、2L直4ガソリンNA(151PS/19.7kg・m)と前後に駆動モーターを搭載した2.5L直4ハイブリッド(152PS/21.0kg・m+Fモーター105kW/270Nm、Rモーター50/139Nm)を設定。2017年のマイナーチェンジ時には2L直4ターボ(231PS/35.7kg・m)も追加している。ハイブリッド車は4WD仕様のみとなる。

初代&2代目ハリアーも上級仕立てのキャビンを売りしていたが、3代目はボディサイズこそダウンサイジングしたものの、内装や装備機能のレベルを強化することで1ランク上を実現している。

撮影車は2017年マイナーチェンジ後のプログレス。

上質感を主張するインテリアを採用し、プレミアムキャラを大きくアピール。

後席まわりの余裕も十分。広く使える荷室など、実用性も考慮した設計を持つ。

【モデル変遷&グレード体系】内装&装備にこだわった最上級仕様を積極的に展開

2013年11月にフルモデルチェンジを実施。これまで培ったハリアー独自のデザイン要素を取り入れたスタイリングや、高級感かつ洗練さを意識したインテリアデザインを採用。吸遮音材の効果的な配置で上級SUVにふさわしい静粛性を実現するなど快適性も配慮したパッケージを採用している。

デビュー当時のグレード構成は、ガソリン車もハイブリッド車も4タイプ設定。ベーシックな「グランド」、機能装備を強化した「エレガンス」、LDAやパワーバックドアなどの上級装備を標準とした「プレミアム」、プリクラッシュセーフティやパノラミックビューモニターなどの当時の先進装備を標準とした「プレミアム アドバンスパッケージ」を選ぶことができた。

なお、発売開始1か月の受注台数は約2万台(月販目標台数は2500台)を記録。初期の内訳はガソリン車が約1万2000台、ハイブリッド車は約8000台だった。

2014年12月に専用スポーツサスやアップデートパーツ、エアロを装着したエレガンス“G’s”を追加。

2015年6月に一部改良を実施。プレミアム アドバンスパッケージにパノラミックビューモニターや安心で快適なドライブを支援するT-Connect SDナビゲーションシステムを標準装着。特別仕様車「PREMIUM“Style MAUVE(モーヴ)」「PREMIUM“Advanced Package・Style MAUVE」を設定。

2016年6月に特別仕様車「PREMIUM“Style ASH(アッシュ)」「PREMIUM“Advanced Package・Style ASH”」を設定。

2017年6月にマイナーチェンジを実施。内外装の意匠変更に加えて、新たに2L直噴ターボエンジン搭載車を追加設定。フロント・リヤにパフォーマンスダンパーを搭載し直進安定性や操縦安定性を強化されたほか、衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」をはじめとした先進装備も充実。グレード体系も「エレガンス」「プレミアム」「プレミアム メタル&レザーパッケージ」「プログレス」「プログレス メタル&レザーパッケージ」の5タイプに変更されている。

2018年9月に特別仕様車「PROGRESS“Style BLUEISH(ブルーイッシュ)”」「PROGRESS“Metal and Leather Package・Style BLUEISH”」を設定。

2019年7月に特別仕様車「PREMIUM“Style NOIR(ノアール)」を設定。

2020年6月にフルモデルチェンジした4代目ハリアーの登場により販売終了。

【試乗インプレ】1ランク上の走りが楽しめるハイブリッド車。ターボ車のスポーティさも魅力十分

2017年に登場した2Lターボ車は、ダウンサイジングターボにしては珍しく低回転域のトルクの立ち上がりにややもたつき感を感じるが、中高速域の加速の伸びと余力感はスポーティという言葉がぴったり。高速操安性を意識し硬めに仕立てたサスチューンもあって、ロングドライブ適性はかなり高い。

THS Ⅱと4WD (E Four)が組み合わされるハイブリッド車は燃費に優れるだけではなく、動力性能も最もパワフルな仕様になる。スムーズな加速や即応性、余力感はターボ車以上で、さらに四輪駆動の利点もあって走るステージを選ばない万能タイプに仕立てられている。ガソリン車と比べると価格はやや高くなってしまうが、最もハリアーにふさわしい上質な走りを楽しむことができる。

ドライバビリティが優れる上位2モデルに比べると2L NA車は非力さが否めない。トランスミッションもターボ車はキレの良い6速ATを搭載するに対して、NA車はCVTを採用している。走りに見所があるターボ車&ハイブリッド車に対すると、走行性能は平凡。プレミアムモデルに見合った走りを求める向きにはオススメしにくい。

価格の制約がなければ燃費も優れるハイブリッド車がベストだが、ターボ車の力強い走りも魅力十分。ともに中古車として高い人気を集めている。

ハイブリッド車も余力十分のパワーユニットを搭載。走り重視で選ぶユーザーも多かった。

2.5Lエンジン+ツインモーター仕様のハイブリッド車(左)も2Lターボ車(右)も熱効率に優れたエンジンを搭載。


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