
スバルインプレッサベースのSUVモデルである「XV」が北米向けモデルと同名の「クロストレック」に変更されて新登場。搭載されるパワートレーンは2.0L水平対向4気筒直噴エンジン+モーターの「e-BOXER」のみとなっている。車両本体価格は266万2000〜328万9000円。
●文:川島茂夫 ●まとめ:月刊自家用車編集部 ●写真:澤田和久/株式会社SUBARU
新型クロストレックの走りはオン&ラフロードの両面で優れた資質を備えている
クロストレック「Touring AWD」
2022年9月に先行公開されたスバル「クロストレック」。これまで販売地域ごとに「XV」と「クロストレック」を使い分けていたが、この3代目モデルから「クロストレック」に統一された。そもそも「XV」の原型モデルは、2010年に登場した「インプレッサXV」でクラッディングホイールアーチなど専用加飾が施されたが、車高はノーマルインプレッサと変わらずというモデルだった。
その後登場したのが、2012年に登場した初代「スバルXV」。200mmの最低地上高を確保しながらルーフレール無しという条件はあるが、全高が1550mmに抑えられ立体駐車場に入庫可能とした。2017年には2代目「XV」がデビュー。このモデルも最低地上高を200mmとし、ルーフレール非装着で全高を1550mmとした。
3代目となる新型「クロストレック」は、過去のモデルよりもクラッディングのエリアを拡大したエクステリアデザインを採用してアクティブな印象を高めている。ボディサイズは全長4480mm×全高1575mm×全幅1800mm、ホイールベース2670mmとし、最低地上高は歴代モデル同様200mmとなっている。ルーフレール/シャークフィンアンテナ非装着の場合、全高が1550mmとなるのは先代同様だ。
インテリアについては縦型11.6インチモニターの設定など最新のスバルデザインに準じたものになっている。シートはフロントに乗員の骨盤をしっかり支え、頭の揺れを抑制する構造を採用するなど大幅に進化。乗り心地の向上と疲労の軽減にも貢献している。
2.0L DOHC 直噴+モーターのe-BOXERを採用。エンジンは最高出力145PS、最大トルク188Nmを発生。モーターのスペックは最高出力10kW、最大トルク65Nm。
パワートレーンは2Lハイブリッドのe-ボクサーのみ。比較的容量の低い電動モーターを用いていることもあり、電動アシスト量はマイルド型とストロング型の中間レベルだが、従来型に比べると穏やかなアクセルコントロールに対する追従性が向上し、一般走行レベルでの扱いに余裕が増している。
また、従来はAWDモデルのみだったがFWD(前輪駆動)モデルを追加し、標準グレードのTouringと上級グレードのLimitedそれぞれに設定し、幅広いユーザーが選択できるラインアップとしている。トランスミッションは全車でCVT(リニアトロニック)を採用する。
では、公道インプレッションで判明したことをお届けしよう。まず長距離ツアラーと悪路踏破性を高水準で両立させるという点でクロストレックはトップクラスにある。基本車体はインプレッサと共有し、200mmの最低地上高を確保しながらもSUVでは低重心設計が特徴。その恩恵を歴代(XV系)でも最も感じられるのが新型だ。
動力性能以上に改善されていたのはフットワークだ。直進もコーナリングも挙動が落ち着いている。しかも硬いサスチューンで抑えているのではなく、ストロークを使いながらのしなやかチューン。操舵初期から回頭や旋回力の繋がりが良く、ちょっと深めの舵角で綺麗にラインに乗っていく。軽快とか切れ味を感じさせるタイプではないが、扱いやすく安定感も高い。
悪路性能を試せなかったが、諸元や機能からして最低でも従来型と同等以上だろう。つまりSUVではトップクラス。そしてオンロードの走りの質や信頼感はランクアップ。アウトドア趣味のレジャー用途では高速長距離走行の機会も多いと予想され、そこで疲労少なく過ごせるかもレジャー用途適性の要点のひとつ。新型クロストレックの走りはオン&ラフロードの両面で優れた資質を備えている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(スバル)
9月13日に富士スピードウェイで実車もお披露目 スバルBRZ「STI Sport YELLOW EDITION」は、「STI Sport」をベースにした特別仕様車。 ボディカラーには「サンライズイエロ[…]
もともと4WDはレース目的で造り出された駆動システムだった 4WDというとヘビーデューティなジープタイプのクルマを連想するが、ガソリンエンジン世界初の4WDはヒルクライムレースのために造り出されたもの[…]
フォレスター:モデル概要 6代目として登場した現行モデルは、レジャービークルとしての本質を追求し続けてきた歴代モデルのコンセプトを継承。スバル伝統の水平対向エンジンと独自の4WDシステムを採用するほか[…]
内外装をダークトーンでコーディネート 今回導入される「Black Selection」シリーズは、1.8L直噴ターボエンジンを搭載する「SPORT」「SPORT EX」をベースに、内外装をダークトーン[…]
シンメトリカル・レイアウトの祖は「スバル1000」にあり 今では完全にスバル車のアイデンティティになっている水平対向エンジンですが、歴史を辿ってみると、あるときに“戦力外通告”される寸前に陥っていたそ[…]
最新の関連記事(試乗インプレ)
剛性の積み重ねが生む一体感 2024年に実施されたゲームチェンジャーとまで言われた20式から24式への進化。その革新的な変化と比べると、24式から25式への進化は「ブラッシュアップ」と表現するのが妥当[…]
氷上から雪上まで、新たなレベルの信頼感を獲得 スタッドレスタイヤを選ぶ上で、最も重要な性能の一つとなるのが氷上性能だ。 氷上性能を左右するのは、「水膜の除去」「氷面との密着性」「エッジによる引っ掻き効[…]
ラインナップを大幅拡充 「EX30」は2023年11月に日本に導入されたボルボ最小の新世代モデルEVだ。サスティナブルであることをテーマに、ボディのアルミニウムや鉄、プラスチックだけでなく内装材などに[…]
マツダ独自のハイパワーなPHEVシステムを搭載 美しく躍動感にあふれる魂動デザインと、心を浮き立たせる人馬一体の走りで、一定のファンを獲得したのが、近年のマツダだ。そのマツダが、北米向けに「よりステー[…]
ボルボの主力モデルがビッグマイナーを実施 ボルボのミッドサイズSUV「XC60」は、これまで世界で150万台以上を販売してきた、ボルボの屋台骨を支えるモデル。現行モデルは2017年に日本に導入され、日[…]
人気記事ランキング(全体)
全方位型のツインタイプの小型ファン 先日、ヘッドレストに装着するタイプの扇風機を愛車に導入したのだが、ファンとしてはオーソドックスな丸型タイプの扇風機も使う機会があったので、便利そうな2種を紹介してい[…]
前席は快適でも、後席は意外と暑くて不快な場合も… まだまだ強い日差しが照りつけるこの季節、車内の冷房の稼働は必須と言える。クルマに乗り込んで、涼しい風に当たって「はぁ〜涼しい…」と、ひと息ついていると[…]
2人旅に特化したゆとりある空間 TR540S Joinの魅力は、まず「2人旅に特化」と割り切った設計にある。就寝人数を2名(乗車人数は5名)に絞ったことで、車内レイアウトに余裕を生み出し、広々としたダ[…]
普段はコンパクトに収納、車に常備しておくのもアリ! 乗り物に関するグッズを多数展開するブランド「CAMSOP(キャムショップ)」が、人気のジムニーをモチーフにした便利なアイテムをリリースしたので紹介し[…]
乗用ミニバンの優れた居住性と走行性に車中泊のための快適機能をプラス メティオのラクネルシリーズはバンコンから軽キャンパーまで様々なタイプの人気モデルがそろうが、今回紹介するラクネル ステイ•スイートは[…]
最新の投稿記事(全体)
剛性の積み重ねが生む一体感 2024年に実施されたゲームチェンジャーとまで言われた20式から24式への進化。その革新的な変化と比べると、24式から25式への進化は「ブラッシュアップ」と表現するのが妥当[…]
コンパクトに収まるベース仕様 RS1+のベースとなるのは、スズキ・エブリイワゴン。標準設定としてベッドマット、カロッツェリアの楽ナビ、そして諸費用を含む構成になっている。軽キャンピングカーを求める人に[…]
プロポーショニングバルブの開発で、ブレーキ液圧を適正に制御 クルマは様々な要因で荷重変化が起こり、それによってタイヤの接地性が変化し、制動力が左右される。これを防ぐために開発されたのが前後のブレーキ液[…]
日本車が手本とした、美を優先する伊デザイン。その代表が117クーペ 日本において、商品のデザインが売れ行きを大きく左右することに最初に気づいたのは、松下電器器具製作所(後の松下電器産業、現パナソニック[…]
多目的次世代アリーナを10月3日に開業 開業記念式典には、小池百合子東京都知事やBリーグの島田慎二代表理事CEOなど多数の来賓が出席。トヨタ自動車の豊田章男会長は、アリーナへの思いを語るとともに、室伏[…]
- 1
- 2