
最新のGA-Bプラットフォームを採用したこともあって、走りの面でも大きな進化を果たした現行アクア。実力ハイブリッドとして堅調な数字(2023年3月は1万945台が登録)を積み重ねているが、その人気の一翼を担っているのが、昨年11月に追加されたスポーティグレード「GRスポーツ」だ。この注目グレードの魅力をお伝えしよう。
●文:川島茂夫/編集部
上質なフットワークで、走りの楽しみが大きく向上
TOYOTA
アクア GRスポーツ
価格:259万5000円(FF)
トヨタが展開するスポーツブランド「GR(ガズーレーシング)」。そのラインナップの主力を担うGRスポーツは、内外装や足まわりなどに専用チューニングを施したコンバージョン仕様に相当するグレード。今回試乗したアクアGRスポーツは、走りはもちろんのこと、標準車とは違った武器が与えられているのが印象的だ。
まず走りに関して標準車との違いを実感できるのはフットワーク。標準車に対してやや硬めのサスチューンが与えられたことでスポーティ志向を強めているが、その塩梅が絶妙。ハンドリングの感触も速度変化やコーナー半径の大小による変化が少なく、山岳路でも高速走行でも余裕を持って扱える。標準車よりも大径低扁平のタイヤを履くが、突き上げなど乗り心地が荒くなった印象もない。むしろ揺れ戻しなどでの余計な挙動が減少した分だけ落ち着きが増し、乗り心地の質感が向上している。
骨格部の補強やGRヤリスから移植されたブッシュなどでシャシー全体を強化した恩恵も大きく、これも走行安定性の良さに繋がっている。安定感や落ち着きの良さを求めるユーザーにとっては、標準車よりも好ましく思えるはずだろう。
パワートレーンは基本的に標準車と変わっていないが、シャシー性能が向上したことで走りの質感が大きく向上。定評のあるハンドリング特性も専用制御によりライントレース性がさらに高まっている。
さらにバランスの良い装備設定が与えられていることも見逃せない特徴。GRスポーツのベースとなっているのは中間グレードの「G」だが、アクアに用意される主要OPの大半を選択可能。Gでは選べないカラーHUDを装着できるほか、狭い場所での乗降性向上に役立つ運転席イージーリターン機能(GRスポーツ専用シートにもかかわらず)もOPで追加することができる。
トヨタセーフティセンスやトヨタチームメイトといったクラストップ級の安全運転支援機能も含めて、アクアが持つ実用性能をまったく損なっていないことも魅力。控えめな内外装の仕立てもアクアのキャラには似合いに思う。ツーリング&スポーティ志向を狙ったモデルだが、アクア選びの第一の選択肢になりうる実力モデルでもあるのだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(試乗インプレ)
剛性の積み重ねが生む一体感 2024年に実施されたゲームチェンジャーとまで言われた20式から24式への進化。その革新的な変化と比べると、24式から25式への進化は「ブラッシュアップ」と表現するのが妥当[…]
氷上から雪上まで、新たなレベルの信頼感を獲得 スタッドレスタイヤを選ぶ上で、最も重要な性能の一つとなるのが氷上性能だ。 氷上性能を左右するのは、「水膜の除去」「氷面との密着性」「エッジによる引っ掻き効[…]
ラインナップを大幅拡充 「EX30」は2023年11月に日本に導入されたボルボ最小の新世代モデルEVだ。サスティナブルであることをテーマに、ボディのアルミニウムや鉄、プラスチックだけでなく内装材などに[…]
マツダ独自のハイパワーなPHEVシステムを搭載 美しく躍動感にあふれる魂動デザインと、心を浮き立たせる人馬一体の走りで、一定のファンを獲得したのが、近年のマツダだ。そのマツダが、北米向けに「よりステー[…]
ボルボの主力モデルがビッグマイナーを実施 ボルボのミッドサイズSUV「XC60」は、これまで世界で150万台以上を販売してきた、ボルボの屋台骨を支えるモデル。現行モデルは2017年に日本に導入され、日[…]
最新の関連記事(アクア)
装備水準の引き上げで、プレミアムキャラを強化 今回のアクアの一部改良では、内外装デザインの刷新に加え、先進の安全装備やマルチメディア機能、基本性能を大幅に向上させることで、先進感や上質なイメージをさら[…]
アクア:モデル概要 ハイブリッド専用モデルとして、圧倒的な低燃費/静粛性を低価格で提供するアクア。10年ぶりのフルモデルチェンジとなった2代目も、先代の流れを汲んで圧倒的な低燃費を武器にしている。 エ[…]
特別仕様車Z「ラフィネ」 フランス語で「上質な」という意味を冠する特別仕様車Z「ラフィネ」は、ブロンズを意識した専用の装備を多数装着。 標準車の改良点 標準車には、グレード別で以下の一部改良が実施され[…]
コンパクトなのにゆとりの室内移住性 小さなボディでも家族がゆったり使えるクルマや、燃費が良くて遠出も安心なクルマを探しているなら、2代目となったハイブリッド専用コンパクトカーのアクアがオススメです。優[…]
トヨタアクア価格:199万7000~259万8000円・最新購入情報車両本体目標値引き額:20万円納期の目安:5~6か月リセール予想:C+トヨタのハイブリッド車の中には、オーダーストップが続いているモ[…]
人気記事ランキング(全体)
コンパクトに収まるベース仕様 RS1+のベースとなるのは、スズキ・エブリイワゴン。標準設定としてベッドマット、カロッツェリアの楽ナビ、そして諸費用を含む構成になっている。軽キャンピングカーを求める人に[…]
日本車が手本とした、美を優先する伊デザイン。その代表が117クーペ 日本において、商品のデザインが売れ行きを大きく左右することに最初に気づいたのは、松下電器器具製作所(後の松下電器産業、現パナソニック[…]
全方位型のツインタイプの小型ファン 先日、ヘッドレストに装着するタイプの扇風機を愛車に導入したのだが、ファンとしてはオーソドックスな丸型タイプの扇風機も使う機会があったので、便利そうな2種を紹介してい[…]
前席は快適でも、後席は意外と暑くて不快な場合も… まだまだ強い日差しが照りつけるこの季節、車内の冷房の稼働は必須と言える。クルマに乗り込んで、涼しい風に当たって「はぁ〜涼しい…」と、ひと息ついていると[…]
2人旅に特化したゆとりある空間 TR540S Joinの魅力は、まず「2人旅に特化」と割り切った設計にある。就寝人数を2名(乗車人数は5名)に絞ったことで、車内レイアウトに余裕を生み出し、広々としたダ[…]
最新の投稿記事(全体)
スズキのBEV世界戦略車が国内導入 新型eビターラは、2024年11月にイタリア・ミラノで初公開された、スズキのBEV世界戦略車第一弾となるモデル。 「Emotional Versatile Crui[…]
剛性の積み重ねが生む一体感 2024年に実施されたゲームチェンジャーとまで言われた20式から24式への進化。その革新的な変化と比べると、24式から25式への進化は「ブラッシュアップ」と表現するのが妥当[…]
コンパクトに収まるベース仕様 RS1+のベースとなるのは、スズキ・エブリイワゴン。標準設定としてベッドマット、カロッツェリアの楽ナビ、そして諸費用を含む構成になっている。軽キャンピングカーを求める人に[…]
プロポーショニングバルブの開発で、ブレーキ液圧を適正に制御 クルマは様々な要因で荷重変化が起こり、それによってタイヤの接地性が変化し、制動力が左右される。これを防ぐために開発されたのが前後のブレーキ液[…]
日本車が手本とした、美を優先する伊デザイン。その代表が117クーペ 日本において、商品のデザインが売れ行きを大きく左右することに最初に気づいたのは、松下電器器具製作所(後の松下電器産業、現パナソニック[…]
- 1
- 2