
原材料の高騰や為替の事情、さらに装備機能が進化したこともあって、全般的にクルマの価格は上昇しているが、コンパクトSUVはもともとの価格設定が高くないこともあって、値上がりの影響が小さなクラス。250~300万円の予算が用意できるならば、満足できるグレードを選ぶことができる。今回は性能と価格に優れ、比較的納期が早めな4つのモデルをピックアップしてみたぞ。
●まとめ:月刊自家用車編集部(ハラ)
SUBARU クロストレック【走り重視のユーザーには見逃せない有力候補】
SUBARU
クロストレック
価格:266万2000~328万9000円
車両本体目標値引き:18万円
納期の目安:4~5か月
リセール予想:C+
このクラスでまず注目したいのが、昨年秋に発表されたスバル・クロストレック。2BOXハッチバックのインプレッサと同等のパッケージを採用するため、必然的に室内高(1200mm)はSUVとしては低めで、キャビンのゆとりで勝負するタイプではないが、悪路走破性を含めた走行性能はクラストップレベル。アイサイトを筆頭に装備機能も最新設計が採用されている。寸法面ではレジャーワゴンとしては中途半端だが、走りや同乗者の居心地の良さはピカイチ。先代(スバルXV)よりも少し高くなってしまった価格設定も、性能&機能の伸びしろを考えれば納得できるレベルだ。
クロストレックの座面地上高はSUVとしてはかなり低く、小柄なドライバーでも足着きがいい。車体周辺の死角も少なく、乗用車からの乗り換えでも違和感が少ない。SUVらしさが物足りないという言い方もできるが、タウン&ツーリングとアウトドアユースを高い次元で両立できる独自のポジションを築いている。
室内高は低めでキャビンスペースは乗用車ライク。フロントシートはバックレストをプレートで受ける構造とすることでサポート性を向上させている。試乗した印象でも腰まわりの密着感が高まっており、サポート性とクッション性は良好だ。
MAZDA CX-30【走りとユーティリティのバランスの良さが持ち味】
MAZDA
CX-30
価格:245万8500~391万5980円
車両本体目標値引き:22万円
納期の目安:2~3か月
リセール予想:B-
CX-3の上級モデルとして、マツダ3をベースに開発されたコンパクトSUV。CX-3に対してはボディサイズ(全長☓全幅☓全高:4295☓1795☓1540mm)がひとまわりほど拡大されたことで、キャビン実用性を強化。特に後席まわりのゆとりが増した恩恵は大きく、ユーティリティ性能でも同クラスのライバル勢と互角に戦えるようになっている。多彩なパワートレーン設定も特徴で、マツダ定番のディーゼルターボはもちろん、2LのスカイアクティブXも選択できる。入念に煮詰めたシャシーがもたらすオンロードの走りの良さはこのモデルを選ぶ大きな理由といえる。
ガソリン車がスカイアクティブXを含めた2タイプ、ディーゼルターボ車が1タイプ選ぶことができるが、性能と価格のバランスが良いのはディーゼルターボ車。乗り心地は少し硬めだが、オンロードでの走りの良さは随一。ツーリング走行を重視する向きにとっては有力候補になりうる存在だ
走りやスタイリングを重視するユーザーがターゲットということは変わらないが、キャビンまわりのスペース効率も考慮して設計されたこともあって、後席まわりの余裕が拡大。CX-3の弱点を上手にカバーしている。
HONDA ヴェゼル【便利に使えるSUVを求めるならば、外せない選択】
HONDA
ヴェゼル
価格:227万9200~329万8900円
車両本体目標値引き:23万円
納期の目安:6~8か月
リセール予想:B
このクラスでキャビン&荷室のゆとりや使い勝手を重視するならば、広々としたスペースを稼げるヴェゼルは、明らかに上の存在。コンパクトSUVとしては比較的大きめのボディサイズだが、狭い場所での取り回しも良好で、幅広い用途で便利に使える。ベーシックグレードでもホンダセンシングなどが標準装着となるなど、装備水準も優秀。SUVをワゴン的に便利に使い倒したいユーザーにとっては全方位に隙がないヴェゼルは魅力的に映るはずだ。
ガソリン車も選べるが、動力性能に優れるハイブリッドのe:HEV車を選ぶのがベター。動力性能も燃費もコンパクトSUVの中でもトップ級の実力を持つ。
スペース効率に優れたパッケージと多彩なシートアレンジ機能を持つ。後席のゆとりも十分。使い勝手に優れる美点など、フル乗車が多いファミリーユーザーにも安心してオススメすることができる。
NISSAN キックス【e-POWERが生み出す力強い走りは唯一無二の魅力】
NISSAN
キックス
価格:299万8600~348万1500円
車両本体目標値引き:17万円
納期の目安:6~12か月
リセール予想:B–
キックスは、上級モデル相当の加飾やプロパイロットを筆頭とした上級装備が標準装着されることで、クラス上のSUVであることを上手にアピールしているが、先日実施された価格改定で価格が少し上昇。売りのひとつだったお買い得感が薄れてしまったのが残念な部分。
ただ、現行ノートから移植されたe-POWERのAWD仕様は、低中速ではクラスを超えた力強さがあり、内燃機車では得られない小気味よいドライブフィールが楽しめる実力派。後輪の駆動容量もゆとりがあるため、ある程度の悪路走破性も期待できる。タウンユースだけではなく、レジャービークルとしても侮れない実力を持っている。
昨年夏に実施された改良時にノートのe-POWER・AWDを移植した4WD車を追加したことで、このクラスのSUVの中ではトップレベルの動力性能を手に入れている。電動ならではの力強い走りに興味があるなら有力候補になりうる存在だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(SUV)
RS専用の内外装加飾をプラスすることで、スポーティさをプラス 新グレード「e:HEV RS」のグランドコンセプトは「URBAN SPORT VEZEL(アーバン スポーツ ヴェゼル)」。RSグレードに[…]
最もパワフルなリヤアクスル電気モーターを搭載 今回導入されるマカンGTSは、優れたドライビングダイナミクスと卓越した加速性能を特徴とする、伝統の名前を受け継ぐパフォーマンスモデル。2024年に国内導入[…]
世界中から支持されるランドクルーザー、その人気は永遠なり! もともとランドクルーザーは、単なる移動手段ではなく、人々の命を預かる「道具車」として、特に僻地や未開の地で切実なニーズに応え続けてきた歴史を[…]
原点回帰の先に生まれた、愛すべき弟分 新型「ランドクルーザー“FJ”」は、250シリーズに続く、ランクルの原点回帰を強く意識して開発されたモデル。「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として信[…]
ターボモデルが登場!人気を呼びそうだ SUBARUが10月16日に、人気のコンパクトSUV「REX(レックス)」に4WDモデルを追加することを発表した。「REX」はダイハツからのOEM供給モデルだが、[…]
最新の関連記事(メンテナンス)
洗ってもツヤが戻らない理由は「見えない鉄粉」にあった どんなに高性能なカーシャンプーやコーティング剤を使っても、ボディ表面のザラつきが消えないときは鉄粉汚れが原因の可能性が高い。走行中のブレーキングで[…]
パーツなどの使用限界を確認する手段が、計測器具による測定 クルマは「消耗パーツ」の塊!一台のクルマを構成するために、それこそ星の数ほどの「消耗パーツ」が使われている。 その各部に使われている「消耗パー[…]
自動車整備の現場では、かなり昔から利用されているリペア法 金属パーツの補修材として整備現場ではかなり昔から、アルミ粉を配合したパテ状の2液混合型エポキシ系補修材が利用されている。 最も名が通っているの[…]
見逃しがちなエアコンフィルター、交換しないと「ヤバい」ことに クルマのエアコンにはフィルターが装備されていて、花粉や粉じんなど外気中に含まれる様々な微粒子を取り除くようになっている。 エアコンへの空気[…]
アルミホイールもキズがつけば腐食する! 早めの対処が必要だ アルミは腐食しないと思ってる方、結構いるんじゃないですか? 実は、アルミも鉄などと同様にキズついたまま放っておけば腐食するのです。単にアルミ[…]
人気記事ランキング(全体)
車内には、活用できる部分が意外と多い カーグッズに対して、特に意識を払うことがない人でも、車内を見渡せば、何かしらのグッズが1つ2つは設置されているのではないだろうか。特に、現代では欠かすことができな[…]
洗ってもツヤが戻らない理由は「見えない鉄粉」にあった どんなに高性能なカーシャンプーやコーティング剤を使っても、ボディ表面のザラつきが消えないときは鉄粉汚れが原因の可能性が高い。走行中のブレーキングで[…]
家族のミニバンが、心地よい旅グルマへ 「フリード+ MV」は、ホンダのコンパクトミニバン「フリード+」をベースにしたキャンピング仕様。もともと使い勝手の良い車内空間をベースに、旅にも日常にもフィットす[…]
給油の際に気付いた、フタにある突起… マイカーのことなら、全て知っているつもりでいても、実は、見落としている機能というもの、意外と存在する。知っていればちょっと便利な機能を紹介しよう。 消防法の規制緩[…]
ピラーに装着されたエンブレムやバッジの謎とは? 今のクルマはキャビン後部のCピラーには何も付けていない車両が多く、その部分はボディの一部としてプレーンな面を見せて、目線に近い高さのデザインの見せ場とな[…]
最新の投稿記事(全体)
優勝したSTANLEY CIVIC TYPE R-GT 予選は日産フェアレディZ勢がワンツー独占 2025年SUPER GTシリーズ第7戦は、10月18日(土)-19日(日)に大分県のオートポリスで開[…]
1957年に誕生したダットサン1000(210型)。1958年、210はオーストラリア一周ラリーに参加。19日間1万6000kmの過酷なラリーを完走、クラス優勝を果たした。 国産黎明期の「売れるクルマ[…]
意欲作だった「1300」の失敗と厳しくなる排気ガス規制のダブルパンチというピンチ 初代「ホンダ・シビック(SB10型)」が発売されたのは1972年です。1960年代にはすでに2輪の業界で世界的な成功を[…]
無骨な角ばったフォルムが生み出す存在感 「Filbert」の印象を一言で表すなら“無骨で愛らしい”。アメリカンレトロをモチーフにしたその外観は、丸みの多い現代の車とは一線を画している。大きく張り出した[…]
関東大震災からの復興時に活躍した円太郎バス。T型フォード1tトラックの車台に客室を作ったため乗り心地は酷かったという。評判回復を図りスプリングを入れた改良が行われたり、女性客室乗務員を導入なども行われ[…]
- 1
- 2































