1980年代半ば以来となる歴史的な円安の影響で、輸入車の販売価格も上昇傾向。輸入車メーカーにとっては少し辛い状況になっているが、それでも欲しくなる魅力的なモデルがあるのも事実。ここでは予算500万円前後までで狙える、注目の輸入車をピックアップ。これからのクルマ選びの参考にして欲しい。
●文:川島茂夫/編集部
コスパ視点では国産車が優位だが、趣味嗜好が加わるならば輸入車も侮れない
現行モデルで車両価格400〜500万円のレンジを見ていくと、国産車ならばクラウンなどのアッパーミドルクラスまでが対象となり、その下のクラスのプリウスならばプラグインハイブリッド(PHEV)も選択できる。
一方、この予算感で輸入車を探していくと、車格的にも、機能的にも、国産車ほどのクルマは狙えない。購入後のメンテナンス費用も国産車のほうが有利であり、コスパベースの選び方ならば「500万円以下なら国産車がオススメ」という面白みのない結論に至ってしまう。
ただ、クルマは実用品であるのと同時に、嗜好品の側面があることも忘れてはいけないポイント。性能や運転しやすさが全体的に上昇した現代のクルマにおいては、嗜好的な要素やユーザーとの相性は、一昔前よりも重みを増している。性能や使い勝手の多少の優劣よりも、惚れられるかどうかが大切。そこでオススメしたいのが、「輸入車はいかが?」という選択肢だ。
高速走行に秀でた実力を体感できる、ドイツ御三家は外せない
予算500万円前後を目安に輸入車を選ぶなら、まず最初に検討したいのはドイツ御三家のメルセデス ベンツ、BMW、アウディの3メーカー。500万円を少し超えるレベルまで許容できるならば、メルセデスベンツはAクラス、BMWは2シリーズグランクーペ、アウディはA4の3モデルを挙げてみたい。
まずAクラスは、手頃なサイズでキャビン実用性を配慮した設計が見どころ。プレミアムコンパクトのセオリーに忠実なモデルであり、走りに関しても、ドライバーの運転ストレス軽減を強く意識した味付けが与えられている。
2シリーズグランクーペは、走りも含めてスポーティなキャラを持つことが強み。ボディタイプとしてはクーペになるが、4枚ドアを持つため後席へのアクセスも良好。実用面ではセダン感覚で使うことができる。予算500万円ではギリギリの予算感だが、BMWらしい楽しい走りを求める向きに面白い選択になるのは間違いない。
A4は端正なフォルムの正統派セダン。こちらも中級&上級グレードは少しアシが出てしまうが、このクラスのセダンに欲しいすべての機能が高レベルでまとまっている。
さらにこの3モデルは、いずれも高速長距離走行で信頼感のある走りを持つことも強み。これはドイツ御三家に共通した長所であり、ロングドライブの快適さを重視するユーザーならば、最優先で検討してもいいほどだ。
際立った個性と実用性を併せ持つ、SUV&ミニバンも見逃せない存在
また、国産車と違った風情や味わいを楽しみたいという視点では、キャラが濃い個性派モデルも有力候補に躍り出る。
500万円までという価格帯で筆頭に挙がってくるのがイタリア車のフィアット500Xだ。500シリーズに共通する愛嬌さとSUVらしい実用性を高いレベルで融合させたモデルで、現在のラインナップはFWDのみで走破性能はほどほどだが、ファミリー用途にも対応できるキャビン実用性や癖のない走行性能など、キャラを売りとするモデルに見えて、意外と汎用性にも優れている。なお、もう少しSUVらしい雰囲気が欲しいというならば、走行ハード面で姉妹車の関係になるジープ・レネゲードを検討するのもいいだろう。
高額車なのだからプレミアム感を……。こんな先入観を捨てられるなら、実用機能とお洒落な雰囲気を持つルノー・カングーやシトロエン・ベルランゴも魅力的。荷物をたくさん詰めるマルチパーパスバン(MPV)だが、機能にファッションアイテムの小粋さを織り込むのが巧みで、国産車にはない個性がある。性能的にも、キャビンの造作にしても、プレミアム感は乏しいが、乗って使い倒していくと本当に便利で重宝できる。国産車のミニバンに物足りなさを感じているユーザーならば、一度試して欲しくなるワクワク楽しめるモデルたちだ。
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