
ヒョンデの最新BEV「コナ(KONA)」は、お値ごろな価格設定や実用性に優れるキャビンパッケージが高く評価されているが、試乗してみたところ走りもなかなか侮れない実力派。BEVを検討しているならば、チェック必須のモデルだったのだ。
●文:川島 茂夫●写真:編集部
ヒョンデ
コナ Lounge Two-Tone
価格:489万5000円
世界シェア3位のメーカーが送り出した、最新BEVが日本上陸
1967年に設立された現代自動車(ヒョンデ)の昨年度の世界シェアは、トヨタ、フォルクスワーゲンに次ぐ第3位だった。日本市場には2001年に参入しているが、販売低迷が続き2010年に乗用車市場からは一時撤退し、昨年、再参入を果たしている。もっとも、撤退後も日本での研究開発や販売モデルのアフターサービスは継続されていたので、捲土重来を期しての休眠と捉えてもいいだろう。
再参入では、取り扱い車種をZEV(排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車)に絞り、その第一弾としてアイオニック5(BEV)とネッソ(FCV)の2モデルを昨年導入。その第二弾となるのが、今回試乗したコナ(BEV)になる。
個性優先のモデルにあらず、中身はとても優等生
コナは、海外では内燃機モデルを含む複数のパワートレーンが設定されているが、国内仕様車はあえてBEVのみで勝負する格好。
先鋭的な外観ながら、コンパクトSUVとしてバランスの採れたプロポーションが与えられており、全長は4.4m弱ながらもロングホイールベースを採用したことで、キャビンはなかなか広く、実用志向にも配慮したタウン&レジャー向けのSUVに仕上げられている。
外観の印象からすると、個性優先のモデルとも誤解しそうだが、「とても真面目」というのが試乗後に感じた第一印象。そう感じる理由のひとつは、キャビン実用性の高さ。後席のレッグスペースはコンパクトSUVの中では最大級であり、外観の印象以上に寛ぐことができる。ロングホイールベースのパッケージは、居住性とバッテリー積載の両面でメリットがあることを実感できる。
そして実用性以上に感心させられるのは、落ち着きのある走り。その特徴を一言でまとめるなら、ドライバーも含む乗員のストレス減を意識した味付けになっている。
例えば、モーター最高出力は150kwを発揮するが、ドライブモードを「スポーツ」にセットしても、乱暴な振る舞いは一切ない。いきなりアクセルを踏み込んでも、即応はするもの極端なトルク変化を抑えた制御で、品の良い力強さを感じることができる。「ノーマル」や「エコ」などの穏やかなドライブモードでは、狙った速度までの到達時間が長くなるが、つなぎの滑らかさは変わらない。ドライバーに余計な要求をせず、同乗者に運転上手と感じさせるようなタイプだ。
駆動モーターの最高出力/最大トルクは150kW/255Nm。Lounge Two-Toneはロングバッテリー仕様で容量は64.8kWhになる。一充電走行距離は541km(WLTCモード/自社測定値)。
フットワークも基本に忠実。過敏な反応を抑えながら応答遅れはなく、挙動に神経質になる必要もない。サスストロークの制御に重みを感じさせる余韻のある収束感は、車格以上のゆったりとした乗り心地に感じる。BEVならではの低重心と重みを上手に活かした乗り味には感心させられた。
生真面目な実用車らしく、走りに派手な印象はないが、走るほどに素性の良さが実感できる優等生タイプ。長く付き合えそうな気持ちになれるモデルだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヒョンデ)
Hyundai N × TOYOTA GAZOO Racing Festival 開催された「Hyundai N × TOYOTA GAZOO Racing Festival」は、世界ラリー選手権(W[…]
Hyundaiの⾼性能ブランド「N」のエッセンスを注入 今回導入される「KONA N Line」は、Hyundaiの⾼性能ブランド「N」の感性を加えたモデル。日本市場に導入される最初の「N Line」[…]
ライフスタイルに寄り添う家と車 ヤマダホームズは、ヤマダホールディングスグループが掲げる「くらしまるごと」戦略の下、グループシナジーを最大化した究極のスマートハウスである近未来スタンダード住宅「YAM[…]
会員登録&アンケート回答で、24時間お得に試乗 本キャンペーンは、Hyundai公式ページでの会員登録およびアンケートに回答するだけで、もれなくお得なクーポンが発行されるというもの。さらに、体験後のア[…]
見た目は普通だが、宿る戦闘力はトップ級。まさに羊の皮を被った狼 システム最高出力は478kW(650ps)。サーキット走行に対応した設計となれば、試乗するまではロードコーイングレーサーなんだろうと考え[…]
最新の関連記事(EV)
バッテリーEVにも、スバルらしいアクティブイメージをプラス 発表された新型「トレイルシーカー」は、スバルのグローバルバッテリーEVとしては2番目に登場するe-SUVモデル。スバルとトヨタが、互いに強み[…]
古の名スポーツカーが、100%電動EVとして現代に復活 「ルノー5(サンク)ターボ 3E」は、1980年代にラリーで活躍した小型ミッドシップモデルの「ルノー5ターボ」「ルノー 5ターボ2」が、100%[…]
バッテリーEV専用工場の新設や生産性向上の施策に加えて、企業価値向上の取り組みも強化 マツダは、2030年までを「電動化の黎明期」と捉えており、マルチソリューションで電動化を進めているが、その具体的な[…]
3気筒ターボ+モーターのマイルドハイブリッドを搭載 フィアット600は、アイコニックなイタリアンデザインに快適性、革新性、テクノロジーを詰め込んだ、コンパクトモデル。電気自動車の「600e」は、昨年9[…]
ホワイトコーデでドレスアップされた特別な「600e」 今回導入される「600e La Prima White Package」は、600e La Primaの装備をベースに、ホワイトルームミラー、ホワ[…]
人気記事ランキング(全体)
ベース車両は日産のNV200バネット 日産「NV200バネット」は、2009年に登場した小型商用バン。全長4400mm、全幅1695mmという取り回しのしやすいサイズ感で、都市部でも扱いやすいことが大[…]
ラグジュアリーと機能性を融合した“移動する部屋” 「escort」は全長5380mm、全幅1920mm、全高2390mmと、堂々たるボディサイズを誇るハイエースキャンパー。乗車定員は4名、就寝定員も4[…]
ベース車両はダイハツのハイゼットカーゴ ハイゼットカーゴキャンパーの魅力は、軽自動車ならではの取り回しの良さと維持費の安さにある。コンパクトな車体は狭い路地や駐車場でも扱いやすく、女性ドライバーやシニ[…]
ソニーの最新技術を採用、夜間も強いニューモデル コムテックは、様々なタイプのドライブレコーダーをリリースしており、ハイエンドから普及機、ユニークなモデルなど、多様なユーザーの要望に対応する。また、ドラ[…]
大人3人+子ども3人が就寝可能な“住める空間” 最大の魅力は、その就寝スペースだ。ベッド展開をフルに活用すれば、大人3名と子ども3名が同時に就寝できる。チャイルドベッドは120×160cm、メインベッ[…]
最新の投稿記事(全体)
燃料でもマルチパスウェイ戦略を! トヨタがS耐富士24時間レースでで“液体水素”と“低炭素ガソリン”のダブル挑戦する根底にあるのは、「モビリティの未来は1つの道ではない」というトヨタのマルチパスウェイ[…]
スーパー耐久出場を目指すドライバーのための耐久レース入門カテゴリーの創出 S耐チャレンジは2025年1月の東京オートサロン2025のなかで行われたSTMOの公開理事会のなかで構想が発表された。その構想[…]
生産規模を約3300台に増やすことで、供給不足の早期解消を図る スズキの新型ジムニーノマドは、1月30日の発表からわずか4日間で約5万台もの受注を獲得。これは月間計画販売台数1200台の約41か月分に[…]
草木の緑がどんどん濃くなって、躍動感にあふれるこの時期。春から夏に向かうちょうどいい気候だからこそ、クルマ&ドライブ好きの方におすすめしたいのが峠道を通るドライブ。 峠道と聞くとどうしてもガンガン攻め[…]
現代技術と伝統が融合 ─ ハイブリッドで蘇るヘリテージ ポルシェ911スピリット70のベースとなるのは、高効率なパフォーマンスハイブリッドを搭載した現行の911カレラGTSカブリオレ。新開発の3.6リ[…]
- 1
- 2