
クルマのイメージをてっとり早く変えてくれるホイールの交換。アルミホイールを新調するのも、ひとつの手段だが出費はまあまあ痛い。そこで、年を追うごとに衰えが出てきた純正アルミホイールをオールペンすることで、イメージ一新を狙ってみた。正直、うまくいったら儲けものというマインドでしたが、これが、意外にもいい感じ! ガラリと印象が変えることができた、大満足の作業レポートをお届けします。
●文:オートメカニック編集部
今履いている古びたアルミホイールを、オリジナルカラーでイメージチェンジ
愛車をさりげなくドレスアップしたいと思ったら、足回りの印象を変えることがてっとり早い。そのため、市販のアルミホイールに履き替えるユーザーも多いと思う。
とは言うものの、4本すべてを履き替えるには、それ相応の出費が強いられる。
それに慣れ親しんだ純正ホイールも捨てたもんじゃない。そこで、ちょっとしたドレスアップ感覚で、今履いているアルミホイールをオリジナルカラーにチェンジしてみてはどうだろうか。
そんな思いつきから、この企画がスタートしたわけです。
純正アルミホイールはシルバー。年を重ねるごとにヤれが出てきたので、ここらでカラーをリフレッシュ。選んだカラーはGT-R色のガンメタを選択してみた。
ベースカラーは、強固な被膜のウレタン塗料がベスト
路面に近い位置にあるホイールは飛び石が当たりやすく、さらに高温のパッドカスやローターの削れカスにもさらされる。
このため、塗装の被膜には溶剤や衝撃への強い耐性が求められる。その条件を満たすためには、上塗りにウレタンクリアの塗布は必須だろう。
そして、ベースのカラー塗装もウレタン塗料がベストになるため、必然的にスプレーガンによる塗装となる。
スプレーガン塗装と聞くと、かなり難しく感じるかもしれないが、実際にやってみると意外に簡単。噴射圧が安定しているから、缶スプレーでもそこそこ塗れるスキルがあったなら、むしろ楽に感じるはず。
ちなみに、リム部にバランスウェイトが打ち込まれていると作業の邪魔になるので、作業開始前にタイヤ側面の打ち込み位置をマーキングして、ウェイトを外しておこう。
ホイールは表裏両面を隅々までキッチリ汚れを落とす
ホイールには路面から跳ねた油性の汚れが付着している。この油分は塗装の大敵! 隅々までキッチリ水洗いして油分を取り除く。
スポーク間やリム端の隙間に溜まったドロ汚れもキッチリ落としておく。
今回、裏面は塗らないが、手間はあまり変わらないので、油性の汚れは確実に落としておこう。
スポンジ研磨材を利用して塗装を傷めない程度に擦り洗いする。
表面は#400相当のスポンジ研磨材で隅々まで磨いて足付けする。
タイヤ面を隙間なくマスキングする
10 〜15㎝にカットしたマスキングテープをリムとビードの隙間の奥に接するまで、キッチリ押し込んで貼り付ける。
そのマスキングテープ面に、10 〜15㎝にカットしたマスキングシートのテープを重ね貼りする。
スキングシートを広げてトレッド面に密着させる。
タイヤ全周をカバーしたら、作業中にバタつかないようマスキングテープを巻き付けるように貼ってしっかり固定する。
プラサフを塗布してから、表面を研磨していく
使い捨て軽量カップにプラサフを100㏄(これだけあれば4本まるまる塗っても余る)取り出す。
重量比で40〜60%のシンナーを注入し、よく攪拌する。
ストレーナーでろ過しながら塗装カップに注入する。
1回目はうっすらと色付く程度に吹き付ける。
なお、スポークの側面は塗り残しやすいので、意識してスプレーすることが大切。
15分ほど放置し、乾燥して艶がなくなったところで2〜3回、塗り重ねる。
乾燥したら#1000で研磨して表面を滑らかに仕上げる。
塗料を混合して、オリジナルカラーを製作
攪拌棒を利用してベース色のシルバーをよく混ぜてから計量カップに取り出す(余裕をみて200㏄取り出した)。
同量のパナロックシンナーを計量カップに取り出し、調色した塗料に混入してよく攪拌する。
ストレーナーでろ過しながら、塗装カップに注入する。
乾いては塗りを繰り返して、ムラなく色をのせる
試し吹きして噴射パターンと噴出量を確認。必要に応じて調整する。
1回目は少し遠めから薄く吹き付ける。
2回目からは手の平ひとつ分くらいの距離から、艶が出るまでムラなく塗り重ねていく。
センターキャップも忘れずに塗っておく。
塗り艶が収まってきたら仕上げへ。その後、スプレーガンを洗浄する。
計量カップにウレタンクリアを取り出して重量比10%の硬化剤を混入。10 ~ 20%シンナーを注入して希釈し、ろ過しながら塗装カップに注入する。
塗り肌を確認しながら、2~3回に分けてクリアを塗り重ねる。
クリア塗料が半乾きになったところで、マスキングを取り除く。
外しておいたウェイトを、元の位置に組み付けて完成
マスキングを取り除いても最低一晩はそのままの状態で放置して完全に乾かす。そして、完全に乾燥したところで作業前に外しておいたバランスウェイトを、タイヤ側面に記したマーキング位置に元通り打ち込む。これで完成だ。
R32GT-Rの純正ホイール色で調色したため、スポーティなイメージが増幅された、と思う(大満足)。
コーティング剤を塗布すれば、汚れにくくなる
ホイールにコーティング剤を塗布しておけば汚れが付きにくく、汚れても水洗いで簡単に落とせるようになる。お色直ししたなら、きれいな状態を保つために組み付ける前に塗布しておきたい。そんな用途に最適なのが多用途に使えるワコーズ「バリアスコート」。スプレーして拭き取るだけと、施工が簡単なのが嬉しい。
4本仕上げた完成カット。予想以上にキレイに仕上げることができたので大満足。
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