今年の東京オートサロンの日産ブースの目玉となる「R32 EV コンバージョン」は、日産の名車「スカイラインGT-R」を、電気やデジタルの技術を用いて再現した一台。日産の次世代BEV戦略を占うことができる新機軸が満載されているだけに、会場では大きな注目を集めるはずだ。
●文:月刊自家用車編集部 ●撮影:澤田和久
緻密な前後駆動制御を活用することで、ガソリン車特有の加速感を再現
まずバッテリーEV(BEV)の命綱になるパワーユニットは、日産リーフの高出力モーターを前後に搭載。ともに160kW/340Nmを発揮する2つのモーターは、緻密な制御を行うことでエンジン車特有の加速の味を再現しているとのこと。なお車両重量に合わせてモーターの出力&トルクをチューニングすることで、パワーウェイトレシオはR32 GT-Rに合わせられているそうだ。
制動力の要になるブレーキシステムはR35 GT-R用を採用。サイズの拡大に合わせてホイールを18インチ化。オリジナルGT-Rの5スポークデザインに合わせたものを制作したという。
GT-Rのエンジン音を再現したサウンドシステムを搭載
インテリアもステアリングやシフトノブはオリジナルを忠実に再現しながら、メーター&センターコンソールには液晶パネルを採用。BEVならではの演出として面白いのが、オリジナルGT-Rに搭載されていたRB26DETTの音や振動を再現したサウンドシステムを搭載していること。アイドリングから空ぶかしした時の音や振動、さらにはバトルシフトでシフトチェンジした時のエンジンの音の変化まで楽しませてくれるという。
クルマの「デジタルリマスター」を狙った意欲作
R32EVは、この先のBEV戦略のスタディモデルという位置づけ。このまま商品化というのは正直ありえないが、アナログの味をデジタルで再現する「デジタルリマスター」という狙いは興味深く、佳き時代の走りを求める向きにとっては面白いチャレンジに映るだろう。いずれにせよ、ここで開発された技術や部品が、この先の製品車に影響を与えるのは間違いなさそうだ。
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