
昔憧れたクルマや、所有していたクルマ。もう一度「手にしたい」と思っても、昨今の旧車/ネオクラシックカーは目を疑うような価格帯になってしまったモデルも少なくない。そこで「120回ローンを組んででも買っておきたい国産車」と題して、モデル概要や現在の相場、「実際、買いか否か」などを考察してみた。
●文:松村 透/月刊自家用車編集部
ニッサン スカイラインGT-R[BNR34] 概要
1999年1月、ニッサン スカイラインGT-Rは、R34型(正確にはBNR34型)にフルモデルチェンジした。ちなみに先代モデルと同様に、東京オートサロンがお披露目の場であった。
エンジンには、先々代(R32)および先代(R33)と同様に、RB26DETT型を搭載。ただしカムシャフトを変更することでバルブタイミングを改良するなど、リファインを実施。
15.6kg-m/Lという、国産車で当時トップクラスとなるリッター当たりのトルクを達成した。さらに、新型ツインボールベアリングセラミックターボの採用により、まさにアクセルに対して瞬時に反応するような、鋭いレスポンスを実現している。
トランスミッションは、ドイツ・ゲトラグ社との共同開発による6速MTのみ。これまで採用されていた5速MTの1~4速を、1~5速に分割したクロスギヤレシオに変更されている。
さらにシフト操作力の低減やレバー剛性の向上を図り、強大なパワーを有効かつ存分に楽しめるシフトフィールを実現。
タイヤは専用に開発された245/40ZR18を装着。鍛造ワンピースの18インチホイールは、先代モデルと比較しても1台あたり4kgの軽量化を実現している。
スカイラインGT-R[BNR34]の外観。大柄と評された先代よりも、ボディをコンパクトにしている。
後方外観。全長などを小型化しただけではなく、剛性をさらに高めるなどして戦闘力を強化。
スカイラインGT-R[BNR34] 代表グレードの主要諸元
GT-R[STD]
- 全長×全幅×全高:4600×1785×1360mm
- ホイールベース:2665mm
- 車両重量:1540kg
- 駆動方式:4WD
- トランスミッション:6速MT
- エンジン:水冷直列6気筒DOHC24バルブインタークーラー付きツインターボ
- 排気量:2568cc
- エンジン最高出力:280ps/6800rpm
- 最大トルク:40.0kg-m/4400rpm
- タイヤサイズ:245/40ZR18(フロント&リヤ)
スタンダードグレードのエンジンルーム。なおスタンダードはレスポンスとコントロール性に優れるヘリカルLSDを採用。
GT-R Vスペック
- 全長×全幅×全高:4600×1785×1360mm
- ホイールベース:2665mm
- 車両重量:1560kg
- 駆動方式:4WD
- トランスミッション:6速MT
- エンジン:水冷直列6気筒DOHC24バルブインタークーラー付きツインターボ
- 排気量:2568cc
- エンジン最高出力:280ps/6800rpm
- 最大トルク:40.0kg-m/4400rpm
- タイヤサイズ:245/40ZR18(フロント&リヤ)
Vスペックの走行イメージ。こちらはカーボン製のリヤディフューザー(量産車世界初)を採用し、剛性はもちろん耐熱性と軽量化も両立。
Vスペックの外観。フロントにもディフューザーを装着。車体下面の空気の流れを整えて、スタンダードよりも強いダウンフォースを生み出す。
新車時の価格と中古車の価格帯比較
ニッサン スカイラインGT-R[BNR34]
- 販売期間:1999年1月~2002年12月
- 新車時価格:499.8万円〜630万円
- 中古車の価格帯:1378万円~7700万円
大手中古車検索サイトの情報を元に調べてみたところ、調査時点では安価な中古車であっても、新車時の価格(499.8万円)の約2.8倍、トップクラスともなれば約16倍にまで跳ね上がっていることが分かる。
平均値を算出すると2300万円台という結果だ。さらに、最高額は8000万円の域に達している。もはや、立派な豪邸が建つ価格と言っていいだろう。
「今なら買った値段の数倍で売れる」と、現オーナーはさぞかし喜んでいる…と思いきや、じつはそうでもないようだ。
知人に聞くと「盗難の心配もあるし、むしろ困惑している」という声も耳にした。今、手放せば大金が手に入ることは十二分に理解しつつも「これで手放したら2度と買えない」ことも知っている。
やはり大金を手にするよりも、大切な愛車との別れの方が辛い様子だ。
走行イメージ。ちなみにVスペックのLSDについては、従来通りのアクティブLSDを採用。
買いか否か:「120回ローンでも毎月の支払い額は…」
なにしろ、もっとも安価な中古車であっても1400万円近い価格だ。そこから安心して走れるようにするための整備費用などを加算すると、1500万円の予算ではかなり厳しいだろう。
子どもたちの手がかからなくなり、マイホームのローンを完済しているような人の“頑張った自分へのご褒美”。あるいは、ある程度以上の収入があって独身を貫くつもりの人など。
近い将来、劇的にライフプランが変わらない(予定の)人でなければ、これほどの大金を120回ローンを組んででも手に入れるのは、正直厳しいと思われる。
BNR34に対する愛の深さ、つまりは「本気度」が試される1台と言えるかもしれない。
高い戦闘力や映画での活躍から、海外での人気も高いBNR34。手に入れたい、という気持ちはあっても価格が……。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※中古車価格は2024年11月時点での調査です。
最新の関連記事(旧車FAN)
フルラインナップ化を図る、東洋工業(現マツダ)のロータリーエンジン車 数々の課題を独自の技術で乗り越え、東洋工業(現マツダ)が1967年に発売にこぎ着けたコスモスポーツは、世界初の2ローター量産ロータ[…]
“継承”と“革新”を繰り返したクラウンの開発の歴史を辿る 今回開催される「クラウン70周年記念展~なぜ70年生き続けているのか~」では、誕生から今年で70年を迎えるトヨタ クラウンに注目。 1955年[…]
「4A-G」エンジンとは? トヨタ中型エンジン・A型の4世代目にあたる高性能ユニット ハチロクの心臓部ともいえるエンジン。その形式は「4A-GE」で、1587cc直列4気筒DOHCユニットになります。[…]
スバル360初期型 【1958 スバル360増加試作型K-111】おもに航空機で使われたこの言葉を使ったのがスバルらしい。増加試作型は東京地区で50台が販売され、第1号車は松下幸之助が購入したことは有[…]
クーペこそ若者クルマの象徴だった 「クーペ」と聞いて胸をときめかせるのは、年配の人ばかりかもしれません。今の子供たちにクルマの絵を描かせると、四角いハコに車輪のついたミニバンばかりになるといいます。で[…]
最新の関連記事(スカイライン)
R32型スカイラインGT-R(BNR32)が令和に蘇る! 2025年1月10日(金)~1月12日(日)、千葉県の幕張メッセで開催されるカスタマイズカーショー、東京オートサロン2025。 日産自動車株式[…]
そもそも「GT-R」という名称の由来は? 現在の日産のラインナップの中でも燦然と輝いている「GT-R」。日産の技術力を誇示するスポーツ系車種の頂点として、日産のハイパフォーマンスカーの象徴と言える存在[…]
念願のスカイライン34 GT-Rをレンタル こんにちは。YouTubeで「おもちのビート」チャンネルを運営しているおもちです。 YouTubeチャンネル“おもちのビート【POV Drive ch】”最[…]
トラクションを使ってじわりと前輪を押し込むようなFRらしい感覚が楽しめる、良質なファン・トゥ・ドライブを実現 性能面の頂点モデルとして「スカイライン」には「400R」が設定されている。400PSを超え[…]
より速く、気持ちよく、安心して走れる究極のGTカーを目指して開発。搭載される3.0LV6ツインターボエンジンはノーマル比、最高出力15PS/最大トルク75Nmアップの420PS/550Nmへ 「スカイ[…]
人気記事ランキング(全体)
最高出力は435馬力仕様! ラストを飾るにふさわしい特別な1台 『大阪オートメッセ』のTOYOTA GAZOO RACING(TGR)ブースに、半艶なブラックのGRスープラが展示されていました。これが[…]
フルラインナップ化を図る、東洋工業(現マツダ)のロータリーエンジン車 数々の課題を独自の技術で乗り越え、東洋工業(現マツダ)が1967年に発売にこぎ着けたコスモスポーツは、世界初の2ローター量産ロータ[…]
「4A-G」エンジンとは? トヨタ中型エンジン・A型の4世代目にあたる高性能ユニット ハチロクの心臓部ともいえるエンジン。その形式は「4A-GE」で、1587cc直列4気筒DOHCユニットになります。[…]
走りはどんなクルマなの?:レヴォーグよりもコンフォート志向が強め、家族も納得できる高速ツアラー スバル レヴォーグレイバック(以下レイバック)は、レヴォーグをベースにサスペンションまわりのセッティング[…]
シリーズパラレル式ハイブリッドを搭載。燃費の改善も見どころのひとつ 今回発表された北米向けのフォレスターハイブリッドは、日本国内でもクロストレックに導入済みの2.5リッターボクサーエンジンに、電動モー[…]
最新の投稿記事(全体)
レヴォーグ:モデル概要〈見た目はキープコンセプトながら、中身はまるで別物に進化〉 初代モデル(先代)の大成功を引き継いで登場した現行レヴォーグ(2代目)。エクステリアはキープコンセプト路線を採用したた[…]
テールランプのオリジナルデザインは目を引くこと間違いなし! オリジナルデザインのテールランプやヘッドライトをアッセンブリすることを得意とするVALENTI(ヴァレンティ)が、『東京オートサロン2025[…]
激レアマシンは初代NSXがベースの量産スーパーカー LEDライトブランドのスフィアライト。ハロゲンランプからのリプレイスにジャストフィットのLEDバルブが揃います。色や明るさも多岐にわたり、豊富な種類[…]
最高出力は435馬力仕様! ラストを飾るにふさわしい特別な1台 『大阪オートメッセ』のTOYOTA GAZOO RACING(TGR)ブースに、半艶なブラックのGRスープラが展示されていました。これが[…]
雰囲気を高める内外装加飾に加え、ショックアブソーバーも専用品が奢られる 今回導入される「スーパーGL“DARK PRIME S”」は、ハイエース200系型の誕生20周年を記念した特別仕様車。 外装には[…]
- 1
- 2