
CO₂(二酸化炭素)を出さないようにするカーボンニュートラルからCO₂を減らすカーボンネガティブという発想によってCO₂回収の技術開発を進めるマツダが、富士24時間レースなどのスーパー耐久シリーズで実証実験を展開しています。
●文:松永和浩(月刊自家用車編集部) ●写真:松永和浩/マツダ株式会社内外出版社
バイオディーゼルで走るMAZDA3のレーシングカー
6月6~7日に富士スピードウェイで開催された「ENEOS スーパー耐久シリーズ2026Empowered by BRIDGESTONE 第3戦 富士24時間レース」(富士24時間レース)。この中で MAZDA SPIRIT RACINGが走らせるST-Qクラスの55号車 MAZDA SPIRIT RACING 3 Future conceptに導入されたCO₂回収技術についてマツダからの説明がありました。
スーパー耐久 ST-Qクラス 55号車 MAZDA SPIRIT RACING 3 Future concept(写真提供マツダ)
そもそもマツダがMAZDA SPIRIT RACINGとしてスーパー耐久に挑んだ最初期からてんぷら油の廃油などから生成、そして藻類などから生成した炭化水素を混合したバイオディーゼル燃料を使用してカーボンニュートラルに取り組んできたことは知られています。2021年にトヨタが水素カローラをスーパー耐久のST-Qクラスに持ち込んだことで、このクラスがカーボンニュートラルの研究開発に用いられることとなりましたが、このクラスにトヨタに次いで参戦をしたのがマツダであり、2021年の最終戦岡山ではデミオ、2022年にはMAZDA2によってバイオディーゼルレーシングカーを走らせていました。GR86やスバルBRZがカーボンニュートラル燃料で競い合うよりも前に参戦していたのです。
2021年 スーパー耐久最終戦岡山 ST-Q クラス 37号車 MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO
そんなカーボンニュートラルでは先駆的なマツダが2025年から取り組んでいるのが、CO₂を出さないの先にあるCO₂を減らすというカーボンネガティブという発想です。
排出ガスからCO₂回収をする新システム
世界中で排出されるCO₂のうち半分は海に吸収されたり植物に吸収されたりするのですが、もう半分は大気に残ってしまいます。それが増え続けることで様々な弊害を生むのですが、この大気残留CO₂を積極的に減らしていこうという取組がカーボンネガティブとなります。
スーパー耐久 ST-Qクラス 55号車 MAZDA SPIRIT RACING 3 Future concept
マツダは昨年、2025年の富士24時間レースの際に初めて大気からのCO₂回収装置を装着してレースに挑みましたが今年、2026年の富士24時間レースでは排出ガスからのCO₂回収を行う装置を新開発し55号車 MAZDA SPIRIT RACING 3 Future conceptに導入。バイオディーゼル燃料が燃焼した際に発生する排出ガスには大気中の300倍ものCO₂が含まれており、効率よくCO₂を回収できるとしています。バイオディーゼルなどのカーボンニュートラル燃料の導入で70〜90%、さらにこのCO₂回収技術によって20〜40%のCO₂を削減でき、2つを組み合わせることで、理論上100%を超える削減、すなわち「カーボンネガティブ」が可能になるとマツダは試算しています
サイドステップのイルミネーションがCO₂の回収量を表す
そのシステム、CO₂回収物質ゼオライトを入れた回収装置と回収したCO₂を炭化カルシウムとして貯蔵するタンクをリアのトランク部分に装着します。そしてマシンの外からでもCO₂回収が可視化できるようにサイドステップのイルミネーションに色の変化をつけており、イルミネーションの色が青くなっていくほど回収量が増えているとのこと。
なお回収したCO₂は先述通り炭化カルシウムとして取り出されプラスチック原料やカーボンパーツの原料として活用されるとのこと。現段階では短時間での装置運用となりデータを蓄積していくことになりますが、2027年ではマシンに標準装着をしスーパー耐久全戦での継続的な運用を行い、将来的には市販車へも導入していくことを目標に開発を進めていくとのことです。
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