[第1回]「5分だけ」が命取り…乳幼児の熱中症死亡事故の78%は車内で起きる。短時間でも子どもを絶対に車内に置き去りにしないで│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

[第1回]「5分だけ」が命取り…乳幼児の熱中症死亡事故の78%は車内で起きる。短時間でも子どもを絶対に車内に置き去りにしないで

[第1回]「5分だけ」が命取り…乳幼児の熱中症死亡事故の78%は車内で起きる。短時間でも子どもを絶対に車内に置き去りにしないで

「コンビニで数分だけ」「子どもが寝ているから、そのままにしておこう」。
そんな何気ない判断が、取り返しのつかない事故につながることがあります。

実際、乳幼児の熱中症による死亡事故の78%は車内で発生。さらに、気温35℃の日にエンジンを止めた車は、わずか15分で人体に危険なレベルまで車内温度が上昇するとされています。

なぜ車内はこれほど危険なのでしょうか。また、なぜ赤ちゃんや乳幼児は、大人より短時間で熱中症になりやすいのでしょうか。

本記事では、長野県佐久総合病院佐久医療センターの小児科医長 坂本昌彦医師の書籍『小児科医が教える子どもを事故から守る本』で紹介されている内容をもとに、真夏の車内温度がどれほど危険なのか、そして赤ちゃんや乳幼児が熱中症になりやすい理由をデータとともに解説します。

●編集:月刊自家用車 ●原著:坂本昌彦医師『小児科医が教える子どもを事故から守る本』

車内温度は何分で危険? エンジン停止から15分が命を左右する

夏の炎天下に駐車した車は、エンジンを止めた直後から急速に温度が上昇します。

外気温35℃では、停止からわずか15分で人体に危険なレベルに達するとされ、車内は短時間で命を脅かす空間へと変わります。「5分だけだから」「すぐ戻るから」という感覚でも、決して安全とは言えません。
特に赤ちゃんや乳幼児は体温調節機能が未熟なため、大人よりもはるかに短時間で重症化する恐れがあります。

「エアコンをつけているから車内は安全」と考える人もいるかもしれませんが、エンジンが停止すれば冷房も止まります。車両トラブルによるエンジン停止や、子どもが誤ってスイッチを操作してしまう可能性もあります。
一度冷房が止まれば、車内温度は短時間で急上昇。「エアコンをつけているから大丈夫」という考えだけで子どもを車内へ残すことは避けるべきです。

「窓を少し開ける」「日陰に停める」は十分な対策にならない

車内温度の上昇を防ぐ方法として、

  • 窓を少し開ける
  • 日陰へ駐車する

といった対策を思い浮かべるいるでしょう。
しかし、窓を約4cm開けても車内温度の上昇速度はほとんど変わらないとされています。また、日陰に駐車した場合でも日なたとの差は約7℃程度で、危険な温度まで上昇すること自体を防ぐことはできません。
「少し対策したから大丈夫」という思い込みは禁物です。

乳幼児の熱中症による死亡事故の78%が社内熱中症

なぜ赤ちゃんは車内熱中症になりやすいのか

同じ車内にいても、赤ちゃんや乳幼児は大人より熱中症のリスクが高くなります。その理由は、身体のつくりにあります。

  • 体温が上昇するスピードは成人の3~5倍
  • 汗腺が未発達で、汗によって熱を逃がしにくい
  • 体重あたりの体表面積が大きく、外気温の影響を受けやすい
  • 背が低く、アスファルトからの照り返し(輻射熱)の影響を受けやすい
  • チャイルドシートでは自分で移動したり、不調を訴えたりすることが難しい

こうした特徴が重なることで、大人なら耐えられる環境でも、乳幼児は短時間で重症化する危険があります。

車内熱中症を防ぐために最も大切なことは、短時間でも子どもを車内に残さないことです。「寝ているから起こすのはかわいそう」「すぐ戻るから」という判断が、重大な事故につながることがあります。

また、乳幼児は自分で暑さを避けたり、「苦しい」と伝えたりすることができません。だからこそ、大人が危険な環境をつくらないことが最大の予防策になります。

赤ちゃんは高温多湿が大人以上に苦手

まとめ|「5分だけ」という油断が命取り

真夏の車内温度は、私たちが想像する以上のスピードで上昇します。

そして赤ちゃんや乳幼児は、体温調節機能が未熟なため、大人より短時間で熱中症に陥る危険があります。

「少しだけだから」「エアコンをつけているから」という思い込みを捨て、どんな短時間でも子どもを車内に残さないことが命を守る第一歩です。

次回は、「子どもの車内置き去り事故はなぜ起きるのか」をテーマに、「うっかり」は誰にでも起こりうるとされる理由と、事故を防ぐための仕組みづくりについて解説します。

坂本昌彦 著『小児科医が教える「子どもを事故から守る本」』

熱中症を起こさないことが大切

子どもの不慮の事故による死亡は、少子化の影響もあり、減少傾向ではあるものの、今でも病気を含むすべての死因のなかで上位を占めています。そして、不慮の事故による死者の過半数は4歳以下と、低年齢であることもわかっています。
事故が起こる場所別でみると、もっとも多いのは家庭内で、全体の4割を占めています。事故といえば家の外で起こるものと思いがちですが、そうとは限らないのです。

本書は、総合病院で小児救急を担当している著者が、保護者にむけてわかりやすく、家庭内での不慮の事故を予防するための内容をまとめました。項目ごとに「なぜ危険なのか」「ケガをしたり、事故に遭ったときの対応の仕方」「ケガや事故を防ぐためのポイント」「解説」で構成しています。
とくに「解説」では、事例とともに子どもを不慮の事故から守るための具体的な方法や考え方をアドバイス。「うちの子に限って」ではなく「もしかしたらうちの子にも」と自分ごととして捉え、「まさか!」「こんなことをするなんて!」とならないように、日頃から意識できるようにしましょう。

※本記事は、小児科専門医による書籍『小児科医が教える子どもを事故から守る本』で紹介されている内容をもとに、編集部が車利用時の視点から再構成しました。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。