
三菱自動車は、クロスカントリーSUV「パジェロ」をフルモデルチェンジし、ブランドを象徴する新世代のフラッグシップモデルとして世界初披露した。トライトン由来のメカニズムや強靱な骨格をベースにしながらも、最新の8速ATやS-AWC、さらにプレミアムキャラを加えた新型パジェロは、多くの注目を集めるのは間違いなさそう。まずは、現在公開されている情報をもとに、注目のスペック&機能を紐解いてみよう。
●文:月刊自家用車編集部
伝説の復活!世界で愛されたパジェロが新展開
世界初披露となった新型パジェロ。2026年度は生産拠点であるタイを皮切りに日本やオーストラリアへ投入され、その後世界約100カ国へと順次展開される計画という。
1982年に誕生した初代パジェロは、それまでの無骨な作業車というクロカン4WDのイメージを覆し、乗用車感覚で扱える全く新しい多目的4WDとして彗星のごとく登場した。その後、1990年代の日本に巻き起こった空前のRVブームでは中心的なモデルとなり、三菱のイメージリーダーとして人気を博したことでも有名だ。
世界でも過酷なパリ・ダカール・ラリーで鍛え上げられた圧倒的な走破性と耐久性は高く評価され、世界中で絶大な信頼を獲得している。
ちなみに初代から4代目までに積み上げたグローバル累計生産台数は329万台を超えるなど、まさに三菱のDNAそのものと言える名車といえる。その後、2019年に日本国内での歴史は一度幕を閉じることになったが、それから約7年、今回待望の復活となった格好だ。
トライトン由来の最新技術を用いることで、本物の走破性を約束
新型パジェロは、伝統の走破性と信頼性を継承しながら、新時代のフラッグシップにふさわしい上質さを身につけ、全方位にわたって劇的な進化を遂げているのだが、その実力を紐解く上で欠かせないのが、2024年に日本市場へも導入され話題を呼んだピックアップトラック「トライトン」の存在だ。
新型パジェロの基本骨格やメカニズムの多くは、このトライトンで新開発された高剛性ラダーフレームやパワートレーンをベースに発展開発されている。
世界中の極悪路やプロユースに耐えうるトライトンのタフな土台を受け継ぐことで、新型パジェロは近年の都市型プレミアムSUVとは一線を画す、伝統のパジェロらしい本物のクロカン性能をしっかりと担保していることになる。
さらに、トライトンと新型パジェロのスペックを見比べると、パジェロがフラッグシップSUVとして劇的な深化を果たしていることがよくわかる。
日本の「剣道」に通じる内面の強さを表現したフロントデザイン。
ハニカムタイプのフロントグリルとファントムブルーメタリックのボディカラーを採用した仕様も用意される。
伝統の背面タイヤを思わせるヘキサゴンモチーフと特徴的なT字型テールランプを採用。
本格ピックアップトラック「トライトン」。ワイドで立体的なフロントグリルと力強いフェンダー造形が、三菱の4WDラインアップに共通するタフな走破性能と圧倒的な存在感を感じさせてくれる。
パジェロ(全長4920mm)をも上回る、全長5300mm超の大迫力ボディを誇るトライトン。
新開発8速ATと専用サスで、劇的な走りを期待
まずパワートレーンは、トライトンが6速ATだったのに対し、新型パジェロでは専用開発の2.4Lクリーンディーゼルエンジンに新開発の8速スポーツモード付A/Tを組み合わせている。最大トルクもトライトンの470Nmから480Nmへと向上。これらの変更から、レスポンス性の向上や高速巡航時の静粛性、環境性能の強化も期待できそうだ。
足回りに関しても大きな進化が見られる。トラックベットを持つトライトンは貨物積載を前提とすることもあって、リヤサスペンションはリーフスプリング(板バネ)であったのに対して、新型パジェロは専用開発の5リンク式リジッドサスペンションを採用している。これにより、悪路での高い追従性や走破性を維持しつつも、オンロードでのしなやかで上品な乗り心地と悪路快適性を大幅に向上させていることが予想できる。
ほかにも4WDシステム(SS4-II)のブレーキ制御を車両運動統合制御システム「S-AWC」へと統合深化させることで、旋回性と安定性を高めたほか、予防安全技術でも三菱初となる緊急時車線維持支援機能や前進時交差車両検知警報を搭載。死角となる車体下部を透過表示するフロントアンダーフロアビューや、視認性に優れた14.3インチ大型2連モノリスディスプレイなど、フラッグシップに相応しい先進テクノロジーが惜しみなく投入されていることも、新型パジェロの大きな武器になりそうだ。
パワートレーンは、2.4Lクリーンディーゼルの強力なトルクと8速ATの組み合わせ。統合制御S-AWCの恩恵により滑りやすい未舗装路でも意のままのハンドリングを実現している。
7つのドライブモードから「ROCK」を選択すれば、岩場でも駆動力を最適配分することが可能。最新制御により抜群の走破性も兼ね揃えている。
ラダーフレームは、トライトンで定評のある骨格技術を踏襲。さらなる軽量化と剛性アップを実現している。
デジタル技術で現代風に再現したマルチメーター。高度や傾斜角などの車両情報をリアルタイムで直感的に表示してくれる。
新型パジェロのために専用開発されたリヤの5リンク式リジッドサスペンション。
新開発ラダーフレームと5リンク式リジッドサスが優れた足まわりの追従性を発揮し、大柄な車体を安定して支えてくれる。
まさに「どこへでも行ける」走破性を証明する迫力の登坂パフォーマンス。鍛え上げられた4WD性能が宿っていることを雄弁に物語ってくれる。
高級SUV並みの上質感を持つ、唯一無二のキャビン設計も見どころ
また、近代的な装いとなったキャビンまわりの充実ぶりも見逃せないポイントのひとつ。
水平基調のインパネに伝統の3連メーターを現代風に再現したデジタルマルチメーターを配置し、日本の伝統工芸である木目込みに着想を得た縫製技法を施すなど、手触りや質感の高さにも徹底的にこだわっている。タフな骨格を持ちながらも、キャビン空間はプレミアムSUVそのものといっていい。
シートレイアウトも、2列目シートに150mmのロングスライド&タンブル機構を備え、3列目にも大人がしっかり座れるスペースを確保。さらにフロントおよび前後ドアガラスに遮音ガラスを採用して車体全体の防音対策を徹底したほか、3ゾーン独立エアコン、シートベンチレーション、電動パノラマサンルーフ、そしてヤマハと共同開発した12スピーカーの最高峰オーディオ「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を搭載するなど、現時点の三菱モデルの頂点に君臨しているアウトランダーPHEVを凌駕しているのは間違いない。
ボディサイズは全長4920mm、全幅1925mm、全高1910mm、ホイールベースは2870mm。最低地上高は230mmを確保し、アプローチ角30.4度、ランプブレークオーバー角22.6度、デパーチャー角25.8度と卓越した悪路走破性を実現しながら、最小回転半径は5.8mに抑えられており、6.2mのトライトンよりも取り回し性は良好だ。
キャメルとブラックの2トーンで彩られた新型パジェロのキャビン空間。上質なレザーの風合いと広々とした視界が、フラッグシップに相応しい高級感を演出している。
自然素材の色合いを追求したキャメルレザーのフロントシート。ホールド性と快適性を高次元で両立し、シートベンチレーション機能も備えている。
ゆとりある居住空間を誇る2列目シート。150mmのロングスライド機構とタンブル機構を備え、優れた乗降性と多彩なシートアレンジに対応している。
3列目シートも余裕十分の設計。大人が着座しても余裕のあるヘッドクリアランスが確保されるほか、つま先が前席下に収まる足元レイアウトも採用している。
全長4920mm×全幅1925mmの存在感あるボディサイズでありながら、扱いやすい取り回しの良さと最小回転半径5.8mを実現。
日本国内では10月1日から先行予約をスタート
新型パジェロは、トライトン譲りのタフで頼もしい骨格と高い悪路走破性をベースに持ちながら、8速ATや5リンク式リジッドサス、先進インフォテインメントによって、極上の上質さと快適性を手に入れている。単なる懐古的な復刻モデルではなくシティユースにも対応できる、本物のタフネスと洗練されたラグジュアリーを持つ、世界的にも稀有な存在であることが分かる。
ライバルと目されるのは、トヨタ・ランドクルーザー250/300となるだろうが、すでに三菱の販売店には多くのユーザーからの問い合わせが寄せられているようで、日本国内では10月1日から先行予約を受け付けるという。
新世代のクロカン4WDの雄として、再び日本の道を、そして世界の荒野を駆け巡る日が今から楽しみでならない。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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