
「火事だ!」となったとき、現場へ駆けつけるのは大きな消防車だろう。しかし、そんなイメージを覆す、ちょっと変わった車両が登場した。それが、オートアベニューの「EV消防トライク【魁】SAKIGAKE」だ。
名前の通り、3輪のEVに消防ポンプやホースなどを搭載した“超小型消防車”。工場や物流倉庫などの広い敷地で、初期消火や防災活動を行うための車両として開発された。しかも、2026年10月には大手タイヤメーカーへの導入も予定されているという。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:オートアベニュー
全幅約1.1m! 大型消防車では入れない場所へ
「魁」のサイズは、全長約2450mm×全幅約1100mm×全高約1800mm。最小回転半径は2.9mだ。大型消防車と比べれば圧倒的にコンパクトで、狭い通路や工場・倉庫の敷地内を小回りよく移動できるのが特徴。
これまで企業の自衛消防では、可搬ポンプなどをリヤカーに載せ、人力で火災現場まで運ぶケースもあったという。しかし、火災発生時に重い資機材を人が運ぶのは大きな負担になる。
そこで「魁」は、消防資機材そのものを3輪車で運び、素早く現場へ向かうという発想を採用した。
EV消防トライク【魁】SAKIGAKE。 車体寸法: 全長 約2,450mm × 全幅 約1,100mm × 全高 約1,800mm
中身は本格派! 毎分500Lの放水に対応、浸水時の排水にも活躍
コンパクトな見た目とは裏腹に、搭載される装備は本格的だ。トーハツ製の消防ポンプはB-3級クラスで、毎分500Lの放水に対応。さらに帝国繊維製「キンパイホース」の65mm・20mホースを5本搭載する。
このほか、吸管や消火器なども備えており、必要な資機材を車両にまとめて運べる。「消防車」というより、“走って現場へ行ける消防設備”考えると分かりやすい。
「魁」が面白いのは、火災だけを想定しているわけではないこと。搭載したポンプを利用することで、工場や建物内に溜まった水の排水にも対応できるという。
浅い水源からの吸水に対応するフローティングストレーナーも備えており、火災だけでなく、豪雨や浸水などの水害時にも活用できる。
毎分500ℓの放水が可能
EVだから排ガスなし! 100Vコンセントで充電
動力源は三相交流モーターで、出力は2kW。100%電動仕様となっている。EVなので走行時に排気ガスを出さず、工場や倉庫内での巡回にも使いやすい。
充電も特別な設備を必要とせず、一般的な単相100Vコンセントから行えるとしている。車両区分は側車付軽二輪車で、普通自動車免許(AT限定可)で運転できる。
家庭用100Vコンセントで簡単充電
「消防車が入れない」を3輪EVで解決
消防活動では、火災現場へいかに早く人や資機材を届けるかが重要になる。特に工場や物流倉庫では、敷地が広大だったり、建物の間に狭い通路があったりする。
そこで、大型消防車とは別に、小さくて機動力のある車両をあらかじめ敷地内に用意しておくというのが「魁」の狙いだ。
実際、オートアベニューでは2026年10月の大手タイヤメーカーへの納車を予定。さらに関東1都6県では、企業向けの出張実車見学会・試乗デモも開始している。
「消防車なのに3輪?」一瞬そう思ってしまうが、広い工場や倉庫の中で火災が起きたとき、必要なのは必ずしも“大きな消防車”だけではない。
火事に3輪車が駆けつける。そんな新しい企業防災のカタチが、これから広がっていくのかもしれない。
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