
半世紀以上の歴史を持つ空冷ビートル(VWタイプ1)。その愛らしいルックスはもちろんだが、実は年代によって足元の「純正ホイール」が大きく異なるのをご存知だろうか? 大きく分けると、1967年までの重厚な「5穴(PCD205)」と、1968年以降のモダンな「4穴(PCD130)」に分類され、ハブキャップの形状も丸型からフラット型へと進化していく。ここでは、ヴィンテージ感溢れるアーリーモデルから、実用性が高まったレイトモデルまで、空冷ビートルのホイールの変遷を年代別に分かりやすく解説しよう。愛車の年式確認やカスタムの参考にぜひ役立てて欲しい!
●文:ストリートVWs編集部
VWロゴのホイールキャップがついたビートルの純正ホイールは、とってもオシャレ。ずっと同じように見えるホイールも、実は長い歴史のなかで足元も進化していった。
純正ホイールの変遷は、単なるデザインの変更のみならず、空冷ビートルの走行性能や安全基準の進化を物語る重要な歴史の一部なのだ
空冷ビートル(フォルクスワーゲン・タイプ1)は、半世紀以上にわたる長い歴史の中で、足元の印象を決定づける「純正ホイール」も時代とともに大きな変遷を遂げてきた。
初期モデルから1967年までのモデルでは、PCD205の5穴(通称:ワイドピッチ)と呼ばれる重厚感のあるスチールホイールが採用されている。特に1950年代にかけての16インチから15インチへの変更や、中央に輝く丸みを帯びたドーム型の大きなハブキャップは、ヴィンテージ・ビートルの象徴的なディテールとして今も絶大な人気を誇っているのだ。
1968年モデル以降のモデルになると、足回りが大きく刷新されていく。ホイールはPCD130の4穴仕様へと変更され、外周にはブレーキ冷却用のスロット(通気穴)が設けられた。これに伴いハブキャップもフラットでシャープな形状になり、よりモダンな印象へと進化していくのだ。
さらに1970年代に入ると、派生モデルの登場に合わせてスポーティなスチールホイールのオプションも追加されることになる。
このように、年代ごとの純正ホイールの変遷は、単なるデザインの変更にとどまらず、ビートルの走行性能や安全基準の進化を物語る重要な歴史の一部なのだ。
スプリット時代は16インチ
スプリット・ウィンドーの時代のホイール径は16インチで、幅は3インチと細かった。PCDは205mmの5穴。ホイール本体は基本的に変わらないが、ハブキャップが大きく変化した時代だ。
【1938~1939年 16インチ/ドーム型ハブキャップ】
ビートルのオリジナルデザインである試作車のハブキャップは、なんの刻印もないスムースなドーム型だった。
試作車のハブキャップは、なんの刻印もないスムースなドーム型だった。
【1939~1941年 16インチ/プロペラロゴ・ハブキャップ】
プロモーションのために、プロペラと歯車をモチーフにした当時のVWロゴを刻印したハブキャップが一部の個体に装着されていた。
プロペラと歯車をモチーフにした当時のVWロゴを刻印したハブキャップが一部の個体に装着されていた。(写真はリプロダクション。本来はボディカラー単色で塗装される)
【1939~1948年 16インチ/ニップル型ハブキャップ】
1939年からニップル型のハブキャップが登場し、ドーム型から次第に置き換わっていった。
戦時中はプロペラを省略し歯車を残したVWロゴだったが、戦後は歯車をなくしたロゴになり、1948年初頭までこの形状のハブキャップが採用されていた。
戦後は歯車をなくしたロゴになり、1948年初頭までこの形状のハブキャップが採用されていた。
【1948~1949年 16インチ/ラージロゴ・ハブキャップ】
1948年にドーム型に戻り、大きなVWロゴが刻印されるようになった。まだ正式なVWロゴの様式もはっきりと決まっておらず、おなじみのVWロゴとは雰囲気が異なる。
まだ正式なVWロゴの様式もはっきりと決まっておらず、おなじみのVWロゴとは雰囲気が異なる。
【1949~1952年 16インチ/スモールロゴ・ハブキャップ】
1949年からおなじみのロゴに変わり、このハブキャップは1965年式まで使われていた。
ロゴはボディカラーでペイントされ、ボディカラーによってはホイールも2色に塗り分けられるようになった。
ロゴはボディカラーでペイントされ、ボディカラーによってはホイールも2色に塗り分けられるようになった。
低年式は5穴の15インチ
【1952年~1965年式 15インチ・スロットなし/ドーム型ハブキャップ】
1952年のスプリット最終型からホイールが15×4インチに変更された。ハブキャップは変わらず継承。ホイールは必ず2色に塗り分けられるようになり、多くのカラーバリエーションがあった。
ハブキャップは変わらず継承。ホイールは必ず2色に塗り分けられるようになり、多くのカラーバリエーションがあった。
【1966~1967年式 15インチ・10スロット/平型ハブキャップ】
1966年式からサスペンションとブレーキの改良に伴ってホイールも変更。10個のスロットがあけられ、オフセット変更とともにハブキャップの形状も平たく変更された。塗り分けは基本的に白と黒のみ。
1965年までのホイールとPCDは同じだが、ハブキャップの互換性はない。
0個のスロットがあけられ、オフセット変更とともにハブキャップの形状も平たく変更された。塗り分けは基本的に白と黒のみ。
高年式から4穴に変更
1967年式に登場したディスクブレーキ車はPCD130の4穴に変更され、翌1968年式からはドラムブレーキ車もすべて4穴になる。これも1967年で低年式と高年式を区切る大きなポイントである。
スロットの数は8個になり、ハブキャップも5穴とは互換性がない。低年式と高年式ではアフターマーケットホイールの選択肢も違うので、履きたいホイールがある場合はホイールピッチを優先してクルマを選ぶのも重要だ。
【1967~1969年式 15インチ・8スロット・白黒】
ホイールとハブキャップのデザインは2003年まで変わらなかったが、1969年式までは白と黒に塗り分けられるのが大きな特徴だ。
1969年式までは白と黒に塗り分けられるのが大きな特徴。
【1970~2003年式 15インチ・8スロット・シルバー】
1970年式からホイールがシルバー塗装に変更された。幅とオフセットのバリエーションはあるものの、2003年までこのスタイルのまま生産されていた。
1970年式からホイールがシルバー塗装に変更された。
純正ホイールは年式にマッチさせるのが基本
最後にマニア向けのアドバイス。純正ホイールは塗り分けひとつで雰囲気が変わってしまう。カスタムムードを高めたり、より古い年式に見せるために好きな色に塗るのも楽しいけれど、オリジナル車ならば年式にマッチさせることが基本。違和感のない自然な佇まいを生むからだ。個性を演出したいならばオリジナルをキープしたうえで、トリムリングやホワイトウォールタイヤなどのアクセサリー選びで差をつけよう。ホイール選びに悩んだら、まずは純正でビシッと仕上げるのがオシャレ! ハズしワザは、オリジナルを知っているからこそのハズしなのだ。
より古い年式に見せるために好きな色に塗るのも楽しいけれど、オリジナル車ならば年式にマッチさせることが基本。
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