
2003 年にメキシコ工場での生産が中止されるまで、実に65年という超ロングセラーだったフォルクスワーゲンタイプⅠ(ビートル)。基本的なデザインは変えることなく、時代とともに細かな変化は施されてきた。今回は、その前編として、1964年までのモデルについて紹介していこう。
●文:ストリートVWs編集部
実に65年間、モデルチェンジされることなく造り続けられたタイプ1。今回は1964年までのモデルに注目しよう
空冷フォルクスワーゲンタイプⅠ(ビートル)は、1938年に試作車が造られてから、2003年に生産中止になるまで、実に65年にわたり作り続けられた超ロングセラーモデルである。それらすべての年式を網羅すると長くなるので前後編に分けて紹介することにする。今回は、タイプ1の試作車(1938年)から1964年式のスモールスクウェア時代までをひと区切りとしてお見せしよう。
長年にわたって変化してきたビートルをパッと見て、特徴的なパーツから年式がわかるようになったら、もうビートルマニアの仲間入りだ。
スプリット・ウィンドー時代
スプリットウィンドーの時代は4つのスタイルに大きく分けることができる。
【1938年 最初の試作車“VW38”】
ビートルのオリジナルデザインである試作車の「VW38」。あくまでハンドメイドの試作段階だが、デザインの原点はこれであることを踏まえたい。
【1939~1949年 戦中・戦後型スプリット】
工場ラインで量産が開始された当初のスタイル。目立った変更点はバンパーとハブキャップだ。
戦時中のビートルの生産台数は多く見積もっても2000台に満たないと思われ、ナチ政権下であったことからもビートルの量産には含まないとする見方もある。そのスタイルを継承したまま、終戦後の1945年から1949年までに約5万台が生産された。
【1949~1952年 市販型スプリット】
1949年から、ようやくビートルの本格的な販売と輸出が開始された。バンパーとハブキャップのデザイン変更、ボディモールの追加など、よりラグジュアリーな雰囲気を演出した。
【1952~1953年 最終型スプリット“ツヴィッター”】
1952年10月から1953年3月までという短い期間に、リアウィンドーはスプリットのままでありながら、バンパーやテールランプ、ウィンドーモールなどがすでに変更されたスタイルで生産されていた。
リアウィンドー以外は前期型オーバルとほぼ同じ特徴を持ち、スプリットとオーバルの中間であることから、ドイツ語で両生類を意味する「ツヴィッター」と呼ばれている。
オーバル・ウィンドー時代
オーバル・ウィンドーはスタイルだけで見ると前期と後期の2つに分けることができる。
【1953~1955年 前期型オーバル】
リアウィンドーがオーバル型に変更された。バンパーやテールランプは、実は前述のツヴィッターから採用されていたので、このときの変更点はリアウィンドーのみといっても過言ではない。
特徴的なハート・テールが人気のモデル。また、ヨーロッパ仕様と北米仕様に大きな差がないのはこの時代までとなる。
1955年~1957年式 後期型オーバル(ヨーロッパ仕様)
後期型オーバルになると、テールランプが大型化し、マフラーパイプが1本から2本に変わったのが外見上の特徴。ヨーロッパ仕様はまだセマフォーのままだ。
【1955年~1957年式 後期型オーバル(北米仕様)】
アメリカでの本格的な販売が開始されたことにより、後期型オーバルからは北米仕様が明確に設定された。ヨーロッパ仕様との違いは、USバンパーとブレットウィンカー、そしてシールドビーム・ヘッドライトが大きな特徴だ。
スモールスクウェア・ウィンドー時代
スモールスクウェア時代は細かな変更が多いが、これまで見たテールランプとウィンカーで分けると3つの時代になる。
【1958~1961年式 前期型スモールスクウェア(ヨーロッパ仕様)】
リアウィンドーがスクウェア型になるとともに、実はフロンド・ウィンドーもやや拡大。しかし、ヨーロッパ仕様はまだセマフォーのままで、ウィンドー以外の特徴は意外と変わっていない。
なお、ヨーロッパ仕様は1961年式から北米仕様と同様のウィンカーを採用した。
【1958~1961年式 前期型スモールスクウェア(北米仕様)】
北米仕様では、前後ウィンドーの他にフロントウィンカーの装着位置が変更された。
【1962~1964年式初期 中期型スモールスクウェア(ヨーロッパ仕様)】
テールランプにウィンカーが組み込まれ、リアからの印象が大きく変わった。ヨーロッパ仕様のウィンカーレンズは前後ともアンバー色だ。
【1962~1964年式初期 中期型スモールスクウェア(北米仕様)】
ヨーロッパ仕様と同じく、目立った変更点はテールランプのみ。ウィンカーレンズの色こそ違えど、ヨーロッパ仕様と北米仕様のカタチの違いはバンパーのみとなった。
【1964年式 末期型スモールスクウェア】
1964年式の途中からフロントウィンカーが大きくなり、ヨーロッパ仕様も北米仕様もアンバー色になった。また、ライセンス灯のハウジングが大きくなった。
後編はミディアムスクウェア~ラージスクウェア時代
1938~1964年の26年間でも、おおまかに9つの時代区分にわけられ、ヨーロッパと北米の違いを含めると12以上のスタイルが存在する。実際には、見えない部分も含めればなにも変更が加えられなかった年式はなく、また年式の途中で変更された部分も多い。これがビートルの奥深さなのである・・・・
次回は、再びヨーロッパと北米の違いが大きくなる時代に突入していく。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(旧車FAN)
大衆車からスポーティクーペへ:カローラ派生モデルの歩み 日本全体が高度経済成長の波に乗り、マイカーの存在が人々の憧れから現実的な選択肢へと移り変わっていた1960年代後半。トヨタはファミリー層を狙った[…]
1960年代も中盤に入ると、ヨーロッパでは長距離旅行にも使用されるグランドツアラーが流行する。その流れは北米にも。 フェアレディZ登場前のフェアレディは、のちにフェアレデーと改名されるダットサン・スポ[…]
1位 「今見てもやはり美しい…」45年前のトヨタ・ソアラ。日本が世界に誇った“大人のクーペ” この記事で分かること 45年前に登場した初代ソアラが、なぜ当時の日本では珍しかった「大人のための高級GT」[…]
ライバルであるフェラーリを性能で凌駕した“奇跡のモデル” ランボルギーニ・ミウラはスーパーカー世代でなくとも、クルマ好きなら誰もが憧れる名車中の名車かと。 1966年にP400(ちなみに、PはPost[…]
低年式はリアウィンドーが大きな特徴となる ビートルは1967年式までが「低年式」、1968年式以降が「高年式」とざっくり大分類した。さらに細かく分類するにあたり、いちばん目立つ部分がリアウィンドーだ。[…]
最新の関連記事(フォルクスワーゲン)
低年式はリアウィンドーが大きな特徴となる ビートルは1967年式までが「低年式」、1968年式以降が「高年式」とざっくり大分類した。さらに細かく分類するにあたり、いちばん目立つ部分がリアウィンドーだ。[…]
ビートルの愛称で親しまれているフォルクスワーゲン・タイプⅠ。ほぼ初期デザインを踏襲しているが、時代とともにバンパーは進化を遂げてきた 自動車の前後に備わるバンパーは、多少ぶつかってもクルマ本体に大きな[…]
上質な音響システムに、洗練されたエクステリア&インテリアをプラス 今回導入される「プレミアムサウンドエディション」は、各モデルの量販グレードとして初めて設定される特別仕様車。クリアで臨場感あふれるサウ[…]
ワーゲンバスのDNAを未来へ!フル電動ミニバン「ID.Buzz」とは 1950年代に登場し、世界中で親しまれてきたフォルクスワーゲンの名車「Type2(通称:ワーゲンバス)」。そのアイコニックで愛らし[…]
専用ツートーンカラーと装備で特別感を演出 「ID. Buzz 1st Anniversary Edition」は、「Pro」と「Pro Long Wheelbase」の2グレードを設定。両モデル共通で[…]
人気記事ランキング(全体)
2026年後半、日本導入へ Hondaは、米国で生産する「ACURA INTEGRA Type S」と「PASSPORT TRAILSPORT ELITE」の2モデルを日本市場へ導入し、2026年後半[…]
角が丸くなったナットを切断して外す! 作業を滞らせない「ナットブレーカー(ナットスプリッター)」 自動車やバイクのメンテナンス、あるいは日常のDIY作業において、誰もが一度は直面するのが「ナットの角が[…]
16歳以上なら免許不要! 4輪+外装ボディで公道を走れる Blue Jayは、道路交通法上の「特定小型原動機付自転車」の規格に対応しており、16歳以上なら運転免許が不要で、公道を走行できる。もちろん、[…]
街乗りもこなせる絶妙なボディサイズと高い信頼性のベース車両 キャンピングカー選びにおいて、車体のサイズと居住性能のバランスは永遠の課題である。ハイエースクラスの大型バンコンバージョンは広くて魅力的だが[…]
最新の投稿記事(全体)
default 車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推進する「RVパーク」は、キャンピングカーやマイカーで旅行を楽しむユーザーに向けた、車中泊専用の有料宿泊施[…]
実に65年間、モデルチェンジされることなく造り続けられたタイプ1。今回は1964年までのモデルに注目しよう 空冷フォルクスワーゲンタイプⅠ(ビートル)は、1938年に試作車が造られてから、2003年に[…]
釣り好きゆえに、愛車の足まわりはいつも汚れがち…… 筆者は大の釣り好き。休日ともなれば野山を走り、湖や川へ行くことも多い。舗装された道だけでなく、釣り場によっては未舗装の道や、泥でぬかるんだ場所を走る[…]
都市部でも抜群に扱いやすいピクシスバンをベースに採用 キャンピングカー選びにおいて、多くのドライバーが最初にぶつかる壁が、車体サイズによる妥協である。広大なキャブコンバージョンは快適だが、高さ制限のあ[…]
Lean3はどんな三輪EV? 169万円から買える一人乗りの電動モビリティ Lean3は、全長2470mm、全幅970mm、全高1570mmというコンパクトなボディを持つ一人乗りの電動モビリティだ。車[…]
- 1
- 2












































