ガチガチの足じゃない!? ロードスター新グレード「PS」に試乗して分かった“良い意味での裏切り”│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

ガチガチの足じゃない!? ロードスター新グレード「PS」に試乗して分かった“良い意味での裏切り”

ガチガチの足じゃない!? ロードスター新グレード「PS」に試乗して分かった“良い意味での裏切り”
新グレード「PS」は、精悍な走りのスペックを備えつつも、マイルドで上質な乗り心地を楽しめる走りが楽しい1台に仕立てられている。

「RS」があるのに「PS」は何が違うのか?そんな疑問を胸に、新グレードのロードスターPSで伊豆スカイラインを走行。実際に体験して見えたのは、良い意味で予想を裏切るマイルドで軽快なフットワークだ。20代の若い世代から長年のロードスターファンまでを引きつける最新モデルの魅力に迫ってみたい。

●文:瀬 イオナ

硬派なスペックを良い意味で裏切る、新グレード「PS」のしなやかな走り

マツダロードスターが6月26日に商品改良を受け、新たに「PS(ピュアスポーツ)」グレードが追加された。

PSという名前から、既存のRSグレードのように足まわりをしっかり固めたモデルを想像していたのだが、いざ実車に乗ってみるとその印象は明らかに異なる。伊豆スカイラインへ連れ出してみると、その予想は見事に、そしていい意味で裏切られることになったのだ。

PSの大きな見どころは、マツダスピリットレーシングロードスターの開発で培われた技術や知見を取り入れた専用の足まわりだ。ちなみにマツダスピリットレーシングロードスターとは、モータースポーツの現場で培ったノウハウを注ぎ込み、街乗りからサーキットまで走りの楽しさを突き詰めたハイパフォーマンスモデル。走りの質感を高めるチューニングやノウハウが、今回のPSにもフィードバックされている。

具体的には、ビルシュタインダンパーをはじめ、レイズの16インチアルミホイール、ブレンボのベンチレーテッドディスク&対向4ピストンキャリパーを備える。これだけのスペックを耳にすると、やっぱり硬派なスポーツモデルを想像してしまう。

ところが、実際に走り出してみるとその印象は良い意味で覆される。路面からの入力は確実に伝わってくるものの、不快な突き上げ感が驚くほど少ない。凹凸を通過する際の振動はシート越しに届くものの嫌なトゲがなく、ロールもきれいに抑えられて、旋回中も頭の位置がスッと安定している。

ただ硬いというよりも、車体の動きをきちんと抑えながら、路面にはしなやかに追従していく印象で、走りのために選び抜かれた装備が、操作に対して素直に応えてくれているのを実感できる。

ステアリングのフィーリングも絶妙だ。緩やかなカーブでも無駄な遊びがなく、余計な切り足しをすることなく思い描いたラインへスッと入っていける。ほんのわずかな操舵にもブレなく応えてくれるので、自分の手足のように操れる安心感がある。

ワインディングに入ると、その軽快な魅力はさらに深まった。ロードスターならではの軽やかさも手伝って、まるで自分の身体がそのまま向きを変えていくような感覚が強く、まさに「人馬一体」という言葉がしっくりとくる。それでいて路面の状況はしっかりと伝えつつ、ペダルへの不快な微振動はきれいに遮断されており、ドライバーに必要な情報だけが整理して届けられているのがよく分かる。

主要諸元(PS 2WD 6MT)
●全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm ●ホイールベース:2310mm ●車両重量:1030kg ●乗車定員:2名 ●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHC(136ps/15.5kg-m) ●トランスミッション:6速MT ●駆動方式:FWD ●WLTCモード総合燃費:16.9km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(F)/マルチリンク式(R) ●タイヤ:195/50R16 ●価格:366万3000円

PSにはブラック塗装のレイズ製16インチアルミホイールを装着。

絶妙な乗り味を支える、タイヤと足まわりの緻密なチューニング

このしなやかな乗り味を支えているのが、専用開発されたタイヤの存在だ。ヨコハマの「ADVAN Sport V107」をベースに、市販モデルと外観は同じでも内部構造を別物として再構築。柔らかめの新コンパウンドと横方向の剛性バランスを緻密にチューニングし、実車テストを重ねてベストな味付けを導き出したそうだ。

ビルシュタイン製ダンパーも、スプリングレートを高めつつ縮み側の減衰力をあえて緩める工夫が施されている。ただ足を硬く固めるのではなく、車体にかかる力の配分を巧みに変えることで、軽快なハンドリングと快適な乗り心地を見事に両立させている。

スポーツカーらしいシャキッとした芯がありながら、乗り心地は意外なほどマイルドに感じられる理由もここにある。入力をすべて力で受け止める「THEスポーツカー」のようなスパルタンさではなく、しなやかに路面を捉えて軽快に走りを楽しめる絶妙なバランスがある。簡単そうでなかなか実現するのが難しい絶妙な味付け感が、PSの大きな魅力なのだろう。

コーナー旋回中でも車体の傾きがきれいに抑えられるなど、、まるで手足の延長のように自然に向きを変えてくれる感触も心地よい。走りの楽しさが味わえる稀有な存在だ。

ベテランから若者まで引き寄せる、ロードスターの新たな魅力

ちなみにマツダによると、PSのターゲットは走りへのこだわりが強い50〜60代の既存ファンを想定しているそうだ。一方でロードスター自体は、最近20代の購入比率が約2割に達するなど若い世代からも選ばれているという。

20代にはSグレードやSスペシャルパッケージが人気で、走行性能を重視する既存ファンに対し、若い世代や女性ユーザーはデザインや小回りの良さ、オープンカーならではの非日常感を理由に選ぶ傾向があるそうだ。

今回の試乗で何より心に残ったのは、「運転することそのものが愛おしくなる」というロードスターの素直な魅力だった。

幌を開けて走れば自然と一体になれるような非日常なドライブ体験が可能で、ワインディング路を走れば操る楽しさがしっかり味わえる。

長年培われてきた技術で走る歓びをより洗練させたPSの登場で、ロードスターの物語にまた一つ、魅力的なストーリーが加わったと言えるのではないだろうか。

シックなブラック調で統一された「PS」のコックピット。余計な華美さを削ぎ落としたスパルタンで洗練されたインテリアに仕上がっている。

上質な肌触りと高いサポート性を両立したスエード調レガーヌ表皮の専用シートを採用。

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