トヨタRAV4(2019/04-)〈いま新車で買えるクルマカタログ〉プレミアムキャラの強化でイメージ一新

トヨタRAV4

●文:月刊自家用車編集部

RAV4 モデル概要:プレミアムキャラの強化でイメージ一新、トヨタ自慢のミドルSUV

現行RAV4の開発コンセプトは「Robust Accurate Vehicle With 4 Wheel Drive(SUVらしい力強さと使用性へのきめ細かな配慮を兼ね備えた4WD)」。現行型は5代目となるモデルで、国内向けのモデルとしては2005年に登場した3代目以来の復活になる。

ガソリン車の上級グレードを中心に搭載される新4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、走行状況に応じて、前後トルク配分に加え、後輪トルクを左右独立で制御する“トルクベクタリング機構”により、ドライバーの狙い通りのラインを安定した車両姿勢で駆け抜ける高い旋回性能を発揮。また、4WD走行が不要と判断した時には、後輪に動力を伝達させる駆動系を切り離すディスコネクト機構の採用により、燃費向上を図っている。

パワートレーンは、直列4気筒直噴エンジン「2.0Lダイナミックフォースエンジン(Direct Shift-CVT)」と、ダイナミックフォースエンジンを搭載した新型2.5Lハイブリッドシステムを採用。また、ハイブリッド車の4WDシステムとして、最新のハイブリッド技術を継承した新型E-Fourを採用。後輪の最大トルクを増加させるとともに、前後輪トルク配分を100:0~最大20:80まで変更可能な制御を行う。

RAV4:スタイリング&パッケージ

新型の全長は歴代最大となる4600mm。全幅は1855mm。3代目と比較してもひと回りほど大きくなっているのだが、ワイドサイズのミドルSUVが普及してきていることもあって、数値ほどの大きさを感じさせない。

また、ウインドウエリアを大きく取ったこともサイズ感を感じさせない工夫のひとつ。これはおもに運転視界の改善を狙ったものだが、上端ラインの絞り込みを抑えたサイドウインドウ形状や大きなクオーターウインドウの採用により、キャビンのボリューム感を増加させたのも効いている。2BOX的な印象を強めるとともに、実用面にも優れたパッケージを与えている。

標準仕様車のフロントマスクは、ランドクルーザーなどのトヨタクロカン系と、カローラ スポーツに代表される最新のキーンルックを融合させたイメージ。オフロード感を積極的に狙っているアドベンチャーに対して、標準仕様車系は最近のクロスオーバーSUVトレンドを意識した顔付きに仕上げている。

巧みなアプローチ/ディパーチャーアングルの設定や埋め込み型のルーフレールの標準化など、実用性も考慮している点もトヨタ車らしい。細部に到るまで使い勝手も考慮した実践的デザインが採用されていることも見逃せない。

ハイブリッドG(標準ボディ)

2Lガソリン車に設定されるアドベンチャーは、専用意匠や樹脂製フェンダーの装着などでアウトドア志向を強化したグレード。パワートレーンや基本装備などは標準ボディのガソリンモデルと共通だが、アクティブな加飾をプラスすることで上級設定に仕立ている。

標準車ともっとも異なるのはフロントマスク。標準車のフロントグリルの横桟はパンチングメタル調だが、アドベンチャーは半光沢の黒となり、桟幅も太い。デザインモチーフでもあるオクタゴン(八角形)を強調したグリル枠デザインを採用しており、最近のモデルとしては珍しく、バンパーラインを明確にしていることも特徴。エアダムまわりの重厚なスキッドプレートの造形も存在感に富んでいる。ボディ色設定も標準車とは異なり、ルーフを白とした2トーンの車体色は、アドベンチャーのみがOPで選べる設定だ。

【TOYOTA RAV4 ADVENTURE(2019年4月モデル)】●全長×全幅×全高(mm):4610×1865×1690 ●ホイールベース(mm):2690 ●車両重量(kg):1630 ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:1986cc直4DOHC(171ps/21.1kg-m) ●トランスミッション:ダイレクトシフトCVT ●WLTCモード総合燃費:15.2km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:235/55R19 

サイドパネルに凹凸を巧みに組み合わせるなど、洗練さと力強さを両立。アドベンチャーはフェンダーアーチモールが大型化されたほか、全長や全幅、最低地上高なども標準仕様車に対して、5〜10mmほど拡大されている。

ヘッドライトやボンネットなどは標準仕様車と共通だが、フロントグリル/フォグランプ/アンダーカバーはアドベンチャー専用意匠を採用する。

RAV4:インパネ内装&シート

段重ねで立体感を強めたインパネは、流麗さに加えて機能感を意識していることも大きなポイント。インパネやドアトリムに施されるメタル調の加飾は豪華さを狙った演出というよりも、金属感を追加することでツール的な趣を高めるのが狙いのひとつ。豪華な内装加飾が人気のハリアーとは明らかに違ったアプローチで、RAV4の魅力を表現している。

標準仕様車の内装色は、黒系モノトーンと黒白2トーンの2パターンを設定。モノトーンは落ち着いた印象であり、2トーンはスポーツカジュアル的な印象。実車の印象はカタログで見る以上に異なっている。

ハイブリッドG(標準車)

一方、アドベンチャーはオレンジ色のステッチや縁飾りが施され、シートデザインも専用タイプ。スポーツカジュアルな感覚が一層強化されている。細部の造り込みや組み付け精度は、クラス標準以上で、丁寧に作られた道具やスポーツギアのようなインテリアだ。

キャビンスペースも広々としており、後席のニースペースやヘッドクリアランスもゆとり十分。後席にリクライニング機構がないのは残念だが、見晴らしの良さも手伝って開放感も良好。

ラゲッジも奥行き&幅も十分な余裕。2段式の床面ボードを高い位置にセットしても大容量が確保されている。トノカバーはアクセサリー設定になるが、専用アクセサリーとして防水型のラゲッジトレイなども用意されるなど使い方に応じた選択も可能になっている。

アドベンチャー

RAV4:パワートレーン

ガソリン車は、実用域の豊かなトルクと軽快なレスポンス、高回転までスッキリ回るフィーリングを持ち、久々にいいNAエンジンに出会った印象すら覚える優れもの。発進ギア付きのダイレクトシフトCVTとの相乗効果もあって自然な変速を実現。従来のCVT車の印象とはまったく異なる走りを堪能できる。

4WDシステムは、標準仕様のダイナミックトルクコントロールAWDでも十分な機能を持つが、上級のダイナミックトルクベクタリングAWDはその数段上を行く。ボディサイズが小さくなったかのようなキビキビした動きと、ノーズがインにスッと入っていく軽快感が印象的。

ハイブリッド車は、十分なパフォーマンスのエンジンとモーターの応答性の良さのおかげもあって、力強さや加速感はガソリン車より明らかに1ランク上。スプリット式のラバーバンドフィールもかなり抑えられており、重さを活かしたシットリした乗り味と動的質感の高さ、そして豊かな後輪トルクから導かれる立ち上がりでのググッとくる力強さは、ガソリン車では味わえない味になっている。

RAV4:モデル変遷

【2019年4月:初期型】新型RAV4を発売

パワートレーンは1.8Lガソリン車(NA)と1.8Lハイブリッド車を設定。駆動方式はガソリン車もハイブリッド車もFFと4WDが選べるが、ハイブリッド車の4WDは、リヤにモーターを組み込むE-Fourとなる。また、ガソリン車は、アウトドアテイストを強めた外装加飾と、上級4WDのダイナミックトルクベクタリングAWDを組み合わせたアドベンチャーを選ぶことも可能だった。当時の月販目標台数は3000台。

●RAV4 グレードバリエーション&価格【2019年4月モデル】
パワートレーングレード【トランスミッション】FF/4WD
1986cc直4DOHC
171ps/21.1kg-m
X【CVT】260万8200円/283万5000円
G【CVT】−/320万2200円
G “Z Package”【CVT】−/334万8000円
Adventure【CVT】−/313万7400円
2487cc直4DOHC
178ps/22.5kg-m

モーター
88kW/202Nm
HYBRID X【CVT】320万2200円/−
2487cc直4DOHC
178ps/22.5kg-m

ツインモーター
フロント:88kW/202Nm
リヤ:40kW/121Nm
HYBRID X【CVT】−/345万600円
HYBRID G【CVT】−/381万7800円

【2020年6月:車種追加】プラグインハイブリッドの「RAV4 PHV」を追加

RAV4のプラグインハイブリッドモデルとして「RAV4 PHV」を追加導入。RAV4のハイブリッドシステムよりもフロントモーターとインバーターを高出力化し、大容量/高出力の新型リチウムイオンバッテリーと組み合わせることで、システム最高出力225kWを達成。スポーティで力強い走行を可能としている。EV走行モード距離は95km。月販目標台数は300台とされていた。価格は469万円〜539万円。

RAV4 PHV

【2020年6月:一部改良】一部改良を実施。ディスプレイオーディオとインテリジェントクリアランスソナーが全車標準化へ

スマートフォンとの連携が可能なディスプレイオーディオを全車に標準装備したほか、駐車場などでのアクセルとブレーキの踏み間違いやアクセルの踏み過ぎなどで起こる衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナーも全車に標準装備。価格は274万3000円〜402万9000円。

【2020年10月:車種追加】アグレッシブなスタイルと走破性を高めた特別仕様車「Adventure “OFFROAD package”」を設定

ブリッジ型ルーフレールやマットブラック塗装の18インチ専用アルミホイールを装備することで、アグレッシブなスタイルと走破性を実現する外観装備&メカニズムをプラスした、特別仕様車「Adventure “OFFROAD package”」を発売。インテリアもレッドステッチを施した専用合成皮革シート表皮やインストルメントパネルで差別化されている。外板色は、特別色のスーパーホワイトIIを含む全3色を設定。価格は346万円。

専用サスペンションと18インチオールテレインタイヤ装着で最低地上高を10mm高めている。

【2021年12月:一部改良】Adventureグレードにハイブリッド車を追加。同時にRAV4/PHVの一部改良を実施

RAV4のAdventureにハイブリッド車(E-Four)を追加。ほかには外板色にアッシュグレーメタリック×グレイッシュブルーを新設定(RAV4 Adventure)し、ヘッドランプの意匠変更/アルミホイールの意匠変更が行われた。

【2022年10月:最新型】一部改良を実施。プラグインハイブリッド車を追加したほか、オフロードイメージをより強化した特別仕様車を設定

一部改良を実施。プラグインハイブリッドシステム搭載車をZグレードとして設定したほか、Adventureグレードに特別仕様車 Adventure “OFFROAD package II”を設定。

  • RAV4 PHVをRAV4のZグレードとして設定
  • プリクラッシュセーフティに交差点右折時の対向直進車、および右左折時の対向方向から横断してくる歩行者を検知する機能を追加するなど、Toyota Safety Senseの機能を拡大
  • コネクティッドナビ対応のディスプレイオーディオを採用。10.5インチの大画面ディスプレイを設定したほか、クルマがWi-Fiスポットになる「車内Wi-Fi」を採用
  • デジタルインナーミラーに録画機能を採用
  • ナノイーXを標準装備

特別仕様車Adventure“OFFROAD package II”。外板色にアティチュードブラックマイカ×アーバンカーキなど専用のツートーンを2色設定。フロントバンパー/ドアミラーなどに、塗料を塗り重ねつくり出した、凸凹があり艶を抑えた質感の「GORI GORI BLACK塗装」を施すことで、オフロードイメージを強調している。

●RAV4 グレードバリエーション&価格【2022年4月モデル】
パワートレーングレード【トランスミッション】FF/4WD
1986cc直4DOHC
171ps/21.1kg-m
X【CVT】293万8000円/316万9000円
G【CVT】−/366万6000円
G “Z Package”【CVT】−/383万6000円
Adventure【CVT】−/368万4000円
特別仕様車 Adventure“OFFROAD package II”【CVT】−/388万4000円
2487cc直4DOHC
178ps/22.5kg-m

モーター
88kW/202Nm
HYBRID X【電気式CVT】353万8000円/−
2487cc直4DOHC
178ps/22.5kg-m

ツインモーター
フロント:88kW/202Nm
リヤ:40kW/121Nm
HYBRID X【電気式CVT】−/379万1000円
HYBRID G【電気式CVT】−/430万4000円
HYBRID Adventure【電気式CVT】−/430万3000円
特別仕様車 Adventure“OFFROAD package II”−/450万3000円
2487cc直4DOHC
177ps/22.3kg-m

ツインモーター
フロント:134kW/270Nm
リヤ:40kW/121Nm
PHEV Z【電気式CVT】−/563万3000円

RAV4:最新値引き額/納期情報(2024年7月現在)

  • 車両本体目標値引き額:23万円
  • 納期の目安:2〜6か月
  • リセール予想:B+

価格帯が近いZR-Vやエクストレイルをぶつけるのも有効だが、それ以上に効果的なのは“経営の異なるトヨタ販売店同士をぶつける同士競合”だ。車両本体と付属品の値引き合計が30万円を超えれば特上クラスだ。納期はガソリン車/ハイブリッド車は2〜4か月、プラグインハイブリッド車は5か月程度が目安になって