苦手な人も多い? 新車の匂いは何が原因なのか
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
納車したばかりのクルマの匂いを嗅いだ瞬間、新車を購入した満足感や充実感を感じる人は多いでしょう。
この独特な匂いは喜びの一部とも言えますが、意外と苦手な人が多いのもまた事実。
実際、新車の匂いが原因で体調不良を起こすこともあり、この匂いを早く消したいと考える人も多いはずです。
ではそもそも、この新車特有の匂いはなにが原因で発生するのでしょうか。
人によって感じ方が違う? 新車の匂いの原因とは
一般的に「新車の匂い」と言われているものは、自動車の内部材料や製造過程で使用される化学物質が関係しているとのことです。
この化学物質は「揮発性有機化合物(VOC)」と呼ばれ、自動車の内装やシートの製造過程で使用される接着剤/塗料/プラスチック/ウレタンなどに含まれています。
VOCとは、常温・常圧で気体になりやすい有機化合物の総称のことで、家庭やオフィスなどの身近な場所でも利用されています。
ただしひとくちにVOCと言ってもさまざまな成分があり、その種類は代表的なものだけで200種類以上。
なかにはホルムアルデヒド/ベンゼン/トリクロロエチレンなど人体に有害な影響を及ぼす可能性があるものも含まれており、シックハウス症候群を引き起こす一因ともされています。
新車の匂いは時間が経つにつれ自然と減少しますが、新車が工場から出荷されたばかりのときは化合物が最も多く揮発し、新車特有の匂いとして車内に充満しています。
人によってはこの匂いを快適な新車の香りと感じる一方で、頭痛/吐き気/目の痛みなどの体調不良を訴えるケースも。
これらの症状は「シックカー症候群」と呼ばれるもので、空気中の化学物質濃度が高い環境に長時間滞在することで引き起こされる症状です。
車内は密閉空間であるため、揮発性の化学物質が濃縮しやすく、VOCの影響を受けやすいとされています。
匂いに敏感な人/化学物質に対する体質的な反応が強い人などは、新車購入時の環境に特に注意し、適切な対策をとらなくてはいけません。
新車の匂いをなるべく早く消すためにはどうすればいい?
では、新車の匂いをなるべく早く消すためには、どのような方法が考えられるでしょうか。
この匂いを消すためには、まず車内の換気を積極的におこなうことが重要です。
新車を購入したらドア/窓を全開にし、こもった匂いを外へ追い出して新鮮な空気を取り入れましょう。
ただし、ドア/窓を開けたままクルマのそばから離れるのは防犯上危険なので、自宅敷地内で換気をおこなうか、常に目の届く位置にいる場合に換気をするのがおすすめです。
また、車内の温度が上昇するとVOCの発散が促進されるため、直射日光の当たる場所での長時間駐車は避け、日陰や地下駐車場などを利用するとよいでしょう。
市販されている車用の芳香剤を使用するのもひとつの手ですが、香りの強いものだと新車の匂いと混ざり合って不快感が増す可能性があります。
そのため、天然成分を使用した消臭剤を選ぶか、備長炭/活性炭など自然由来の吸着剤を車内に置いて匂いを吸収させるのがよいでしょう。
また時間に余裕があるなら、車内を水拭きするのも効果的な対策です。
ぬるま湯で湿らせた雑巾/タオルなどで隅々まで拭くことで、ある程度匂いを消すことができます。
ただし、過度に濡らしすぎると雑菌が繁殖して不快な臭いが発生する可能性があるため、固く絞ってから拭いてください。
新車の匂いに敏感な人は、購入前にディーラーで匂いの程度を確認し、可能であれば内装材のタイプを指定してみましょう。
最近では、低VOC材料を使用している車種も増えているので、新車の匂いを感じにくい車両を選ぶのもひとつの対策と言えます。
このように、新車の匂いはVOCと呼ばれる揮発性有機化合物が原因であり、これらは内装材やシートの製造過程で使用される接着剤/塗料に含まれていることがわかりました。
VOCの臭いは時間が経つにつれて徐々に減少するものの、車内の換気/消臭剤の使用/水拭きなどの対策を講じることで、さらに減らすことができます。
新車の匂いは体調に悪影響を及ぼすこともあるため、自分に合った対策を見つけ、快適なカーライフを楽しんでください。
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