
クルマに乗る直前、ほんの数秒の行動が小さな命を救う――。日産が10年以上にわたり続けてきた「のるまえに #猫バンバン」は、そんなシンプルな行動を社会に根付かせてきた取り組みだ。そのプロジェクトが11年目を迎え、2026年、新たな一歩を踏み出す。今回は“叩く”だけでなく、“投稿する”ことで猫を守るという新アクションが加わった。クルマと人、そして地域の猫が共存するための取り組みは、今どの段階にあり、どこへ向かおうとしているのか。その全体像を読み解いていく。
●文:月刊自家用車編集部
「#猫バンバン」が11年続いてきた理由
クルマのエンジンルームやタイヤの隙間に入り込んだ猫が、走行時に事故に遭ってしまう。そんな痛ましい出来事を減らすために生まれたのが「のるまえに #猫バンバン」だ。ボンネットを軽く叩き、音や振動で猫に気づいてもらうという行動は、誰にでもできるシンプルなものだった。
2015年にスタートして以降、このアクションは少しずつ浸透してきた。テレビCMやSNSを通じて認知は広がり、冬場になると「猫バンバン」という言葉を思い出すドライバーも増えている。一過性の啓発で終わらせず、毎年続けてきたことこそが、このプロジェクトの最大の価値だと言える。
駐車場で猫を見る人は多い、それでも行動には差がある
日産が実施した調査によると、駐車場などで猫を見かけた経験があるドライバーは約75%にのぼる。つまり、猫とクルマが同じ空間に存在する場面は、決して珍しくない。しかしその一方で、「猫バンバン」を知っている人は約3割、実際に行動したことがある人は2割未満にとどまっている。
猫がエンジンルームに侵入してしまった時には、猫バンバンが効果的
この数字は、危険性そのものよりも「行動へのハードル」が課題であることを示している。知識として理解していても、毎回実践できているかというと話は別だ。日常の中で、いかに自然に行動へつなげられるか。その問いに対する一つの答えが、今回の新アクションだ。
“叩く”から“投稿する”へ広がる猫バンバン
11年目となる2026年、日産は「#もっとひろがれ猫バンバン」という新たな取り組みをスタートさせた。これは、X上で猫の写真や動画を投稿することで、地域猫支援につながる仕組みだ。1投稿につき100円が協賛金として寄付されるため、直接的な保護活動に参加できなくても、日常の延長線で関われる。
このアクションの特徴は、クルマに乗らない日でも参加できる点にある。これまでの猫バンバンは、ドライバー自身の行動が中心だったが、今回は猫好きやSNS利用者など、より広い層を巻き込む設計になっている。参加のハードルを下げることで、プロジェクト全体の裾野を広げようという狙いが見えてくる。
地域の猫を支える団体とつながる仕組み
投稿による協賛金は、保護猫の医療支援や譲渡促進を行う「ピースニャンコ」と、人と動物の共生社会を目指す「ペット生涯ガイドwanyanc.」へ届けられる。どちらも、現場で猫と向き合い続けてきた団体だ。
クルマの下にいる猫。
重要なのは、単なる寄付ではなく「行動の可視化」が伴っている点だ。SNSに投稿することで、自分の行動が誰かの目に触れ、さらに次の行動を生むきっかけになる。猫バンバンという言葉が、ドライバーだけでなく、地域やコミュニティへ広がっていく導線がここに用意されている。
クルマ社会における“思いやり”をどう根付かせるか
自動車メーカーが猫の命を守る活動を続ける意味は大きい。クルマは便利である一方、使い方次第では命を脅かす存在にもなり得る。その現実に正面から向き合い、「乗る前の行動」を文化として根付かせようとしてきたのが猫バンバンだ。
猫バンバン認知調査の結果。
今回の新アクションは、啓発から参加型へとフェーズが移行した象徴とも言える。クルマを所有しているかどうかに関係なく、「知る」「広める」「支える」という関わり方が用意されたことで、プロジェクトはより社会的な広がりを持ち始めた。
キャンペーン情報と参加方法
「#もっとひろがれ猫バンバン」は、2026年1月14日から2月22日まで実施される。期間中、Xで猫の写真や動画にハッシュタグを付けて投稿することで、1投稿につき100円が地域猫支援団体へ届けられる仕組みだ。
「のるまえに #猫バンバンプロジェクト」
特別な準備や登録は必要なく、普段撮影している猫の写真でも参加できる。クルマに乗る前の猫バンバンと同様に、日常の中で無理なくできること。それがこのキャンペーンの根幹にある。小さな行動が積み重なり、やがて社会の当たり前になっていく。その過程に、今まさに参加できるタイミングだ。
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