スバル スバルXV・オン/オフを問わない万能ぶりが光る、クロスオーバーSUV【国産車カタログ】

●文:月刊自家用車編集部(ハラ)

【プロフィール】スバル自慢の新世代技術を惜しみなく注入

スバル
スバルXV
発売日:2017年5月
価格:213万8400〜267万8400円(2017年5月当時)

インプレッサ・スポーツをベースに開発されたクロスオーバーSUV。
最低地上高を確保するために拡大された足まわりを除けば、ボディやパワートレーン、SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)などの基本メカニズムはインプレッサと共有関係にある。

デビュー当初のパワートレーンは、1.6ℓ水平対向4気筒NA(115PS/15.1kg・m)と2ℓ水平対向4気筒NA(154PS/20.0kg・m)の2本立てだったが、2018年10月に2ℓ水平対向4気筒NA+モーター(145PS/19.2kg・m+10kW/65Nm)のe-BOXER車を追加している。いずれもトランスミッションはスバル独自のCVT(リニアトロニック)が組み合わされる。駆動方式は全車シンメトリカルAWDのみ。


先代スバルXVもインプレッサ(先代)をベースに開発されたモデルだが、現行スバルXVはプラットフォームがSUV用途も考慮して設計開発されたSGPに刷新されたことにより、オンロードの動的質感や走行安定性が大きく向上。先代とは別物といっていいほどに進化している。オフロード性能も悪路走破性を高めるX-MODEが搭載されるなど、カジュアルな見た目とは裏腹に確かな実力が与えられている

SUVであることを主張するホイールアーチのクラッディングパネルは、スバルXVのデザインアイコンの一つ。

インパネはインプレッサと共通のデザイン。質感が向上した美点も同様だ。ハッチバックボディゆえに、SUVにしては室内高はやや低め(1200mm)だ。

【モデル変遷&グレード構成】マイルドハイブリッドのe-BOXERを、2018年秋に導入

2017年5月にフルモデルチェンジを実施。次世代プラットフォーム「SGP(SUBARU GLOBAL PLATFORM)」を採用したほか、スバル共通のデザインフィロソフィー“DYNAMIC×SOLID”を注いだスタイリング、2ℓ直噴エンジンやX-MODE、アイサイト(バージョン3)など、スバルの新世代技術&機能が投入されている。

デビュー当初は1.6ℓ車に「1.6i EyeSight」と「1.6i-L EyeSight」、2ℓ車に「2.0i-L EyeSight」と「2.0i-S EyeSight」を設定。

発売1か月の受注台数は1万1085台を記録。排気量別構成比は1.6ℓ車が21%、2ℓ車が79%だった。

2018年10月にマイルドハイブリッドのe-BOXER車を追加設定(グレード:Advance)。

2019年10月に改良モデルを発表。e-BOXER車の拡充が図られ、新たに「2.0e-L EyeSight」と「2.0e-S EyeSight」を設定(既存の2ℓ車は廃止)。高速道路で操舵支援を行うアイサイト・ツーリングアシストが全車に標準装着されるほか、X-MODEの機能強化が図られた。ヘッドライトまわりの意匠変更も実施されている。

2020年10月に大幅改良モデルを発表。フロントフェイスやアルミホイールに新デザインを採用したほか、新ボディカラー「プラズマイエロー・パール」を設定。シートのカラーコーディネートと表皮パターンも変更されている。サスペンションの改良も実施され、e-BOXER車にはSI-DRIVEと協調するアダプティブ変速制御「e-Active Shift Control」が採用されている。

2021年12月に一部改良モデルを発表。ファブリックシート×フロントシートヒーターの組み合わせを設定したほか、1.6ℓ車のボディカラーにサファイアブルー・パールを新設定。
スバルXVを記念した特別仕様車「Advance Style Edition」を発売した。

左が2017年の「2.0i-S EyeSight」、右が2021年導入の特別仕様車「Advance Style Edition」。

【試乗インプレ】オンロードの走りの質感はクラストップレベル。1.6ℓ車も侮れない実力車

SUV用途も考慮して設計されたSGPの恩恵もあって、先代よりもオンロード性能が向上。硬めな味付けは変わらないが、コーナー時の荷重のかかり方も自然で、しっかりと踏ん張ったあとに穏やかな挙動をみせる。乗り心地と操縦性の良さはスバル車はもちろん、このクラスのライバルの中でも際立った存在だ。

動力性能は400cc(+モーター)の余裕がある分、2ℓ車(e-BOXER車)の方が幅広いステージで高い適性を示すが、1.6ℓ車も変速制御がなかなか巧みで、中速域までの伸びやかな加速感は2ℓ車にも負けていない。ロングドライブが多いユーザーなら2ℓ車(e-BOXER車)をオススメするが、1.6ℓ車を選んでも後悔することはないだろう。

荷室のアレンジ性能や積載性はSUVとしては高いモデルではないが、オン/オフを問わず良質な走りを楽しむことができる。最新モデルは強力な運転支援機能を持つアイサイト・ツーリングアシストが標準装着されるなど、ロングドライブ適性も優秀。高いレベルでまとめられた実力モデルだ。

高速走行が多いユーザーには2ℓ車がオススメ。編集部で実施した燃費テストでは13〜14km/ℓ前後をコンスタントに記録するなど、スバル車の中では燃費も良好なモデルだ。

泥路やぬかるんだ路面でも安定した駆動力を発揮するX-MODEは、ほぼ全てのグレードに装着。オフロード性能の高さも大きな武器といえる。


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