
F1で培った技術を注いだ輸入車唯一のフルハイブリッド「E-TECH HYBRID」によって、なめらかでスポーティな走りと低燃費を両立しているミッドサイズSUVのルノー・アルカナ。良質な走りに加え、燃費性能でも大きな注目を集めているモデルだが、その潜在力を確認できる機会がやってきた。はたしてその実力は如何に?
●文:まるも亜希子 ●写真:奥隅圭之
ドライブコースは、神奈川県川崎市から東京湾アクアラインを渡った千葉県君津市のかずさ公園まで走り、その後、再び川崎市に戻ってくるルート。走路は自由で、走行距離の目安は往復で80kmほど。今回の相棒となったのは、アルカナR.S LINE E-TECH FULL HYBRID。
アルカナのリアルな燃費性能を、ゆる〜くジャッジメント
ルノー・アルカナのデビュー当初から、普通に走ってもそこそこ燃費がいい、という噂は聞いていたのですが、ついにその実力のほどを試す時がやってまいりました。アルカナに登場した新グレード「E-TECH エンジニアード」の試乗会で、プチ燃費チャレンジが開催されたのです。
とはいえ、そのレギュレーションはとってもユルいもので、1チーム1台のアルカナに乗車して、神奈川県川崎市にあるキングスカイフロント東急REIホテルを出発し、千葉県木更津市にあるチェックポイントの公園で証拠写真を撮り、再び出発地へ戻ってくるということだけ。乗車人数の縛りはなく、ルートも自由。おまけに、最初のバッテリー残量も統一しておらず、その時の運しだい。どこまでガチでやるかは、媒体ごとの意気込みにおまかせという雰囲気です。
私たち「月刊自家用車Webチーム」は、燃費にはちょっと不利な3名乗車で、当日は外気温35度超えの猛暑日。受け取ったアルカナのバッテリー残量はわずかにメモリ2つで、しょっぱなからエンジンをかけて充電するハメになりました。私としては少しでもいい結果を出したいので、こっそりとエアコンの温度設定を上げ、風量を最小にしてみたのですが、出発して数分もたたないうちに助手席から「なんか暑くない?」と言われ、「ハイ、すいません」と24度にして風量も強くし、健康第一の走行となったのでした……。
最適解を探りながらのドライブでも、28.8km/Lの好結果を記録
なんとかアルカナのWLTCモードである22.8km/Lは超えたいので、まずはエコドライブのセオリー通りに運転しながら、アルカナならではの燃費アップにつながるポイントを探るところからはじめます。一般的に、トランスミッションがATの場合はじわりじわりと速度を上げ、CVTの場合はスッと早めに40km/hくらいまで加速する方が効率がよいと言われていますが、さて、ルノーの電子制御ドッグクラッチ マルチモードATはどちらでしょうか。
エンジン側に4速、モーター側に2速のギアがあり、ハイブリッドモードでは4×2で8段変速になるのがドッグクラッチ マルチモードAT。アクセルを踏んだ感触では、あまりゆっくりだとモタつく感じだったので、気持ち早めに速度を上げていくようにしました。
また、もう1つ難しかったのがシフトのBモードの使い方です。バッテリーのメモリを見ていると、電気が溜まるのは比較的早いのですが、メモリの半分を少しでも下回ると、すぐにエンジンがかかるようになってしまいます。そこで、減速する際にBモードに入れてなるべく多くの回生を狙いましたが、そうすると減速も強くなって再加速が必要になるため、結局のところどちらが良かったのか、最後までわからずじまい。もう少し探って、正解を掴みたかったというのが正直なところです。
さらに、トライすれば良かったなと後悔しているのが、高速道路をADASに任せてみるというやり方。もっと効率良い走りを見せてくれたのかもしれません。でも、3名乗車でエアコンもしっかり効かせて走った結果として、我がチームは28.8km/Lという燃費をマーク。これは27チーム中15位で、3名乗車のチームとしてはベストカーWebさんに次ぐ2番手ということで、バッテリーもないところからスタートしたにしては、まずまずの結果かなと自負しています。
それにしても、すべての参加チームがWLTCモード燃費を大幅に超える低燃費をマークしたという結果を見て、あらためてE-TECH HYBRIDの素晴らしさ、実用性の高さに感服したのでした。でも次こそは、30.0km/L超えを狙うぞ〜!
川崎~君津の往復で約90kmを走行。ゴール直前まで車載の燃費計は29km/L台だったのに、最後に大台から陥落。ただ、普通に近い感覚で走って、これだけの実燃費が記録できるのはお見事です。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(SUV)
最高峰のカスタマイズとラグジュアリーが注がれた、日本限定モデル 今回導入される「アーバン トワイライト コレクション」は、都会の空の色や近代建築に反射する光からインスピレーションを得た「アーバン ドー[…]
スウェード素材をふんだんに用いた、贅沢なキャビン空間 今回導入される限定車「オーバーランド」は、コマンダー リミテッドをベースモデルに、エンペラドールブラウン色のスウェード素材内装を採用。 ほかにもユ[…]
PHEVモデル「P300e」を全グレードにラインアップ 今回導入されるディスカバリー スポーツ2026年モデルでは「DYNAMIC S」「LANDMARK」「METROPOLITAN」」の3つのグレー[…]
マット調のブラックカラーとブラック加飾で、特別感を演出 「THE LIMITED-MATTE METAL」は、2.5Lプラグインハイブリッドシステムを搭載するエステートRSをベースに、ブラックカラーと[…]
1989年「レクサス」誕生。最初は「LS」と「ES」の2本立て レクサスの最初の商品は、日本では初代セルシオとして販売されたLSと、カムリのV6エンジン車、プロミネントがベースのES。LSの完成度と比[…]
最新の関連記事(ルノー)
ビッグマイナーで商品力を強化。国産ライバルがひしめく超激戦区に殴り込み ルノー・キャプチャーは2013年に初代モデルが誕生し、2019年に現行の2代目モデルが登場している。全長4.3mほどのBセグメン[…]
「エスプリ アルピーヌ」と「テクノ」の2グレードを新設定 今回導入される新型キャプチャーは、内外装加飾とパワーユニットを刷新。グレード構成は新たに「エスプリ アルピーヌ」と「テクノ」の2タイプが用意さ[…]
姉妹誌「ルアーマガジン」とコラボして、北陸の名釣り場へ! 月刊自家用車編集部のデスクは、姉妹紙である釣り雑誌『ルアーマガジン(以下ルアマガ)』編集部の隣にある。かなり至近距離にあるため、誰が何を話して[…]
4月20日(日)に富士スピードウェイで実施 4月20日(日)に富士スピードウェイで実施される「ルノー・アルピーヌデイ in MFF 2025」は、ルノーオーナーとアルピーヌオーナーが一同に集まり、オー[…]
古の名スポーツカーが、100%電動EVとして現代に復活 「ルノー5(サンク)ターボ 3E」は、1980年代にラリーで活躍した小型ミッドシップモデルの「ルノー5ターボ」「ルノー 5ターボ2」が、100%[…]
人気記事ランキング(全体)
馬車の時代から採用されていたサスペンション サスペンションを日本語にした懸架装置という言葉が長く使われていた。その名のとおり、初期のサスペンションは車輪を車体から吊すものととらえられていたのだ。 サス[…]
ファミリーカーの顔と、キャンパーの実力を両立 「デッキワン」は、単なる車中泊用のクルマではない。平日はファミリーカーとして活躍し、週末はアウトドアフィールドで「動くリビング」に早変わりする。選べるルー[…]
快適装備で本気のアウトドアを。走破力と居住性を両立した「デリカMV」という選択 三菱のオールラウンドミニバン「デリカD:5」をベースに、快適な車中泊を可能にする専用装備を架装したこのモデルは、“遊びの[…]
使い勝手と快適性を両立した室内空間 名前の「アーレ」はドイツ語で“すべて”を意味する言葉。その名に違わず、このモデルには、軽キャンパーに求められるほとんどすべての装備が標準で備わっている。電子レンジや[…]
一旦気づいてしまうと、目について仕方がないワイパーの水滴のスジ残り。 雨の日が多いこの季節。梅雨前線、ゲリラ豪雨、不安定な空模様……そんな天気の中、クルマを走らせていて気になったのが、ワイパーを使用し[…]
最新の投稿記事(全体)
濡れ物・汚れ物も気にしない。唯一無二の「防水マルチルーム」 イゾラ最大の特徴とも言えるのが、車両後部に備えられた「防水マルチルーム」だ。これはレクビィ独自の装備であり、実用新案登録もされている。アウト[…]
可愛らしいワーゲンバスを、現代風にオマージュ 試乗したのは、ロングホイールベースモデルの「ID.Buzz Pro Long Wheelbase」。全長4965mm、全幅1985mm、全高1925mmと[…]
フロントガラスの油膜を除去して良好な視界を確保 普段の走行で、フロントガラスには油分が付着する。これは、排気ガスなどが原因で、避けがたい現象だ。蓄積されていくと、ウォッシャー液などでは簡単には落ちず、[…]
規制の逆風の中、速さを誇ったREスポーツ 2ローターのロータリーエンジン(RE)を積んだコスモスポーツを世に送り出して以降、マツダはロータリー車のバリエーションを増やし、1970年代を「ロータリゼーシ[…]
マツダの戦略を支える「ものづくり革新」とは? マツダは2030年代を本格的な電動化時代と捉え、2028~2030年にバッテリーEV投入を予定している。ただし、マツダは年間120万台規模の、マツダ曰く […]
- 1
- 2