
8月8日に発表された「NISMO」が手がけたロードカー「スカイラインNISMO」。1000台限定で9月上旬から発売されるが、いち早くテストコースでステアリングを握ることができた。専用チューンの3.0LV6ツインターボエンジンや作り込まれたハンドリングの実力を探る。
●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部 ●写真:澤田和久/日産自動車株式会社
トラクションを使ってじわりと前輪を押し込むようなFRらしい感覚が楽しめる、良質なファン・トゥ・ドライブを実現
性能面の頂点モデルとして「スカイライン」には「400R」が設定されている。400PSを超える最高出力を発生するV6の3.0Lツインターボを搭載。スーパーカーに進化したGT-Rに対して「スカイラインGT-R」の血統を意識させるモデルである。
この400Rを日産直系カスタマイズブランドとなる「NISMO」の手で走りのグレードアップが施されたのが。試乗した「スカイラインNISMO」だ。開発コンセプトは「 “スカイラインGT” 原点への敬意とグランドツーリングカーとしての集大成」。
スペックを見ればスカG-R再臨かと思えたし、全開性能もそう名乗るに相応だが、熱さに偏らない走りを知ればコンセプトに語られた「GT」へのこだわりも理解できる。
動力性能で言えば加速Gもエンジンフィールも粗暴な印象は皆無。エンジン最高出力は「400R」の405PSよりも15PSアップしているが、全開加速でもドライバーを威圧しない。もっとも、速いだけでこだわりの「GT」と評せるわけもなく、「スカイラインNISMO」の長距離ツーリングに用いられる低中負荷域でのリズミカルで心地いいファン・トゥ・ドライブにある。刺激ではなく対話感の良さと言い換えてもいい。
それはフットワークも同様である。専用サスチューンに20mmワイドなリアタイヤ、ワイドリムのホイールなど、一見すると限界性能狙いにも見えるが乗ってみれば過渡特性と穏やかな収束性が狙いと容易に理解できる。
綱渡りするような危うさもなく、トラクションを使ってじわりと前輪を押し込むようなFRらしい感覚が楽しめる。攻め込まなくてもそういったコントロール感覚が味わえるのが印象的だった。
加えて乗り心地も洗練されていた。硬めでもしなやかなストローク感があり、質感を低下させるような振動や刺激的な突き上げが少ない。プレミアムセダンらしい良質な硬さに感心させられる。
ハイアベをストレスなく維持できる長距離ツアラー。もちろん、その下支えは圧倒的な高性能にあるのだが、その全行程にクルマとの対話を楽しむような操り心地を織り込まれている。
400R対比で約200万円高の価格は手頃とは言い難いが、広範囲かつ良質なファン・トゥ・ドライブにこだわるドライバーならば十分な投資価値があるモデルだといえる。
■スカイライン NISMO/スカイライン NISMO Limitedバリエーション&価格
・スカイラインNISMO:788万400円
・スカイラインNISMO(RECARO製スポーツシート+カーボン製フィニッシャー装着車):847万円
・スカイライン NISMO Limited:947万9800円
■スカイライン NISMO主要諸元
・全長×全幅×全高:4835mm×1820mm×1440mm
・ホイールベース:2850mm
・トレッド前/後:1540mm/1560mm
・車両重量:1760kg(1740kg)
・駆動方式:後輪駆動
・エンジン:VR30DDTT型2997ccV6DOHCツインターボ
・エンジン最高出力:420PS/6400rpm
・エンジン最大トルク:550Nm/2800〜4400rpm
・使用燃料・タンク容量:無鉛プレミアムガソリン・80L
・トランスミッション:7速オートマチック
・サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式
・ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク
・タイヤ前・後:245/40R19・265/35R19
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ニスモ)
「モータースポーツ事業」「カスタマイズ事業」「ヘリテージ・レストア事業」の3事業を強化 日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)は、1936年からの日産モータースポーツ活動を起点とし、19[…]
オーラを走りに振ったノートオーラNISMO ノートに続いて上級発展仕様として開発されたオーラもマイナーチェンジが施され、新型ベースに日産モータースポーツ&カスタマイズ会社から2タイプのコンプリートカー[…]
駿足の電動シティレーサー 新型ノートオーラNISMOの開発コンセプトは、「駿足の電動シティレーサー」。NISMOロードカーが目指す「より速く、気持ち良く、安心して走れる車」という思想に基づく、レース技[…]
発売されるNISMOパーツ ■フロントグリルガーニッシュフロントグリルに配したチェッカー柄のグラデーションが、外観をスポーティに仕上げる。材質:塩化ビニル樹脂(ハイボスカル) 仕様:カラー:ダークシル[…]
東京オートサロン2024で披露された「アリア NISMO」 「日産アリア NISMO」は「日産アリア」e-4ORCEに、NISMO専用の加速チューニングを施し、元から備わっていた圧倒的な動力性能をさら[…]
最新の関連記事(セダン)
最高のマイバッハを唯一無二の特別装備で、さらなる高みへ この特別仕様車は、究極のラグジュアリーを追求するメルセデス・マイバッハに大自然からインスピレーションを得た特別な要素を組み合わせていることが特徴[…]
仕向け地に合わせて作り分けられた”双生児”の個性 最近では少なくなってきましたが、かつてはいわゆる兄弟車がたくさんありました。トヨタならカローラとスプリンター、日産ならサニーとパルサーとラングレーにロ[…]
コンテッサ1300クーペ(1965年) 高い技術から生み出された美しいクルマは、大きな注目を集めることに 今では、日野自動車が乗用車メーカーだというと、首を傾げる人も多いかもしれない。日本初の国産トラ[…]
コストパフォーマンスに優れた、本格スポーツセダン アルファロメオ・ジュリアは、ブランドの象徴であるトライローブグリルや流麗なボディライン、優れたハンドリング性能を兼ね備えた、イタリアンスポーツセダンの[…]
1989年「レクサス」誕生。最初は「LS」と「ES」の2本立て レクサスの最初の商品は、日本では初代セルシオとして販売されたLSと、カムリのV6エンジン車、プロミネントがベースのES。LSの完成度と比[…]
人気記事ランキング(全体)
国内自社工場一貫生産による高品質。1Kのような間取りが特徴 キャラバンZEROを製作するOMCは東京都武蔵野市にあり、オーダーメイドのキャンピングカーを製造販売。そのこだわりは国内自社工場一貫生産で、[…]
個性が異なるエクステリア、キャラの違いは明白 まず注目すべきはエクステリアの違いだろう。 「アドベンチャー」はSUVらしい力強さを前面に押し出していて、専用デザインのフロントバンパーやラジエーターグリ[…]
クルマの内窓掃除が面倒になる理由はクルマの進化にあった 車内のガラス掃除は、外装洗車に比べて軽視されやすい。しかしフロントガラス内側の汚れは、夜間や逆光時に視界を大きく損なう要因になる。にもかかわらず[…]
耐久性抜群でスタイリッシュ。便利な開閉式のリアラダー クラフトワークス(Fun Standard株式会社)は、実用性とデザイン性が高い、自動車用アクセサリーを多数リリースしているブランドだ。そのクラフ[…]
ショックレスリングとは? 一般の金属とは異なる原子の規則相と不規則相が存在する“特殊制振合金”を採用した金属製のリングで、シート取付ボルトやサスペンションアッパーマウントのボルトに挟み込むだけで、効果[…]
最新の投稿記事(全体)
30周年記念車にも適合 ステップワゴン スパーダの力強く伸びやかなシルエットを強調し、フロントフェイスの存在感を高める「バンパーワイドガーニッシュ」。 フロントバンパーに重厚感とワイドな印象を付与する[…]
専用エンブレムとタグで、特別感も巧みに演出 今回導入される30周年特別仕様車は、初代ステップワゴンから一貫して追求してきた、家族の使い勝手とクラス最大級の室内空間を継承しつつ、マルチビューカメラシステ[…]
大胆フェイスリフトで、外観イメージを刷新 デリカは、1968年の初代誕生から「様々な道路状況において、確実に乗員や荷物を目的地まで運ぶクルマ」として半世紀以上の歴史を積み重ねているモデル。現行の5代目[…]
パナソニック オートモーティブシステムズが提案する「移ごこち」とは? パナソニック オートモーティブシステムズ(株)は、2026年1月9日(金)から1月11日(日)に幕張メッセ(千葉県)で開催される東[…]
横浜「ザ・ムービアム」で味わう進化感覚の芸術体験 ザ・ムービアム ヨコハマは、約1800m2の広大な空間を舞台に、音と映像が融合した進化感覚の芸術体験を提示するイベント。 まず、イベントの核となるシア[…]
- 1
- 2
























