
スバルの新しいプレミアムツアラー「レヴォーグ レイバック」を試乗する機会がやってきた。ベースモデルのレヴォーグと、どう違うのか? スバルが自信をもって送り出した最新モデルの実力をお教えしよう。
●文:川島茂夫 ●写真:奥隈圭之
レイバック独自のサスセッティングで、より万人向けのモデルへ
スバル
レヴォーグ レイバック
価格:399万3000円
レヴォーグ レイバック(以下レイバック)が開発された経緯は、インプレッサとクロストレックの関係とほぼ同じ。レイバックは、レヴォーグをベースに、悪路走行も考慮したサスセッテイングを採用することで、性能と使用用途の拡大を狙ったモデルだ。
車名との関係が示すように、レヴォーグのバリエーションともいえ、車両型式はレヴォーグの1.8Lモデルと共通。グレードもリミテッドEXのみになっている。価格はレヴォーグGT-H EXの約20万円高。ミドルSUVとしても少し高めの価格設定だが、装備の充実ぶりと、ある程度のラフロード適性を持つプレミアムツアラーとすれば、価格的には納得できる。
リフトアップやクラッディング処理の影響で、レヴォーグよりもボディサイズは若干大きくなるが、見た目の印象はまさにレヴォーグそのまま。既存ユーザーからの買い替えも視野に入れているのだろう。
搭載している1.8Lターボは、低中回転域からトルクが伸びるタイプで、それでいて高速巡航でのパワーフィールも良好。レイバックのキャラや適応用途からしても相性がいい。巡航時のエンジン回転数は1500回転弱から2000回転で制御され、高速域の緩加速もダウンシフトなし、あっても僅かであり、トルクで引っ張っていく感覚が車格以上の余力を感じさせてくれることも好印象。ドライバーの扱いやすさも考慮しているダウンサイジングターボのお手本のような特性だ。
ACCとの相性もよく、ACC制御モードのコンフォートでは前走車の加減速にもエンジン回転は変化少なく追従してくれる。さらに車載計での高速燃費は、ACCを用い100km/h弱で走った状態だと平均で約17km/L。WLTCカタログ燃費との乖離が少ないことにも好感を覚えた。
キャビンまわりの基本形状と機能はレヴォーグとほぼ同じ。前後シートはトリコット/ファブリック地が標準だが、メーカーOPで本革シート(写真)も選択可能。プレミアムの演出も巧みだ。
ストレスフリーのハンドリングの良さも好感、迷いなく買ってヨシ!
フットワークは一人の乗車ではちょっとバネが勝ったような感じもあるが、うねりやコーナリングで負荷が大きくなるとしなやかなストローク感を示す。硬さのレベルで言えば少しスポーティといった感じだが、乗車人数や積載荷物が多いレジャー用途にちょうどいい。
ハンドリングは最近のスバル車の掲げる安全志向、つまりはストレスフリーを意識した特性。操舵からの応答遅れを少なくし、回頭は穏やか、揺れ返しを上手に抑制していることが分かる。標準装備のオールシーズンタイヤとの相性もよく、ワインディングも身構えずに走れる。
フラットダートも問題なく、悪路踏破性も期待どおり。極狭な林道といった例外的状況を除けば、レイバックに苦手な道がない。どこに出かけるにも頼もしい相棒になってくれる。
レヴォーグが持つ基本性能の高さに、SUVの便利さや気軽さを上手に織り込んだ味付けは、これまでスバル車に漠然とした敷居の高さを感じていたユーザーにも、自信を持ってオススメできる。乗ってみると、狙いと違いは一目瞭然。オールシーズン/オールロードで活躍できる良質なツアラーなのだ。
応答性に優れるハンドリング感覚と乗り心地の良さを両立。上級プレミアムにふさわしい良質な走りを楽しめることが強み。パワーユニットは、最高出力177PSを発揮するCB18型1.8Lターボを搭載。低中速域から自然に盛り上がってくる出力特性は、レイバックのキャラにお似合いだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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