
昨年秋にレヴォーグ レイバックが発売されたことで、スバルのクルマ選びに変化が出てきていることをご存知だろうか? 想像以上にレイバックが売れており、今年1~4月の登録台数はスバル車の中ではフォレスター、クロストレックに次ぐ、3位となる5678台を記録するなど、スバルファンはもちろん、ミドルクラスのSUVを探しているユーザーにとっても見逃せないモデルになっているのだ。ここではレヴォーグ、レイバック、そしてフラッグシップのアウトバックの魅力と選び分けのポイントをお教えしよう。
●文:月刊自家用車編集部
3モデルとも設計時期は同世代だが、レガシィベースのアウトバックが少し格上のモデル
もともとレヴォーグは、北米市場を意識して大きくなりすぎてしまったレガシィのポジションを埋めるために生まれたモデル。現行世代(2代目)はフルインナーフレーム構造を持つ第2世代のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用したことで、シャシー性能が大幅に強化。コーナーでの安定感や乗り心地が向上したことで、動力性能やスポーティな走りだけではなく、走りの質感の面でも他社のライバル勢と勝負できることが、評価が高い理由だ。
レヴォーグ レイバックは、レヴォーグをベースにSUV風に仕立てたモデル。ラインナップとしてはレヴォーグと別モデル扱いになっているが、パワートレーンや主要メカニズム&装備はレヴォーグと共通で、レヴォーグの1グレードとして見るとわかりやすい。
レガシィ アウトバックは、1.8Lターボや第2世代のSGPの採用、最新の装備機能設定が与えられているなど、レヴォーグ/レイバックと開発時期が近いスバル最新世代のモデル。ただ、レヴォーグよりも格上のレガシィとして開発されているため、クルマの車格はレヴォーグ/レイバックより1ランク上だ。
レヴォーグには高性能スポーツバージョンとして2.4Lターボ車も設定されているが、1.8Lターボ車同士でおのおののグレードを見比べていくと、400万円前後の価格帯から競合関係が生まれている。スバルの上級モデルを検討しているユーザーならば、この3モデルの比較はどうしても必要、というわけだ。
●現行レヴォーグ&レヴォーグレイバック グレードバリーエーション&価格 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【AWD】 |
1795cc水4DOHCターボ 177PS/30.6kg・m | Smart Edition EX【リニアトロニック】 | 363万円 |
GT-H EX【リニアトロニック】 | 379万5000円 | |
STI Sport EX【リニアトロニック】 | 434万5000円 | |
STI Sport EX Black Interior Selection【リニアトロニック】 | 440万円 | |
レイバック Limited EX【リニアトロニック】 | 399万3000円 | |
2387cc水4DOHCターボ 275PS/38.2kg・m | STI Sport R EX【リニアトロニック】 | 502万7000円 |
STI Sport R EX Black Interior Selection【リニアトロニック】 | 508万2000円 |
●現行レガシィアウトバック グレードバリエーション&価格 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【AWD】 |
1795cc水4DOHCターボ 177PS/30.6kg・m | X-BREAK EX【リニアトロニック】 | 425万7000円 |
Limited EX【リニアトロニック】 | 440万円 | |
Active×Black【リニアトロニック】 ※特別仕様車 | 451万円 |
レヴォーグ/レイバックは、日本の道路事情を意識したジャストサイズを実現
まず、3モデルを見比べていくと、ボディ寸法やホイールベースは、北米を主戦場として開発されたアウトバックの方が一回り大きい。国内のスバルのラインナップからすればレヴォーグもレイバックも大柄に思えるだろうが、アウトバックと比べるとコンパクトで、狭い路地が多い日本の道路にも高い適性を持っていることが分かる。
スタイリングの方向性が違うことも見逃せないポイントのひとつで、アウトバックは悪路走破性を考慮して最低地上高を213mmに設定するほか、ボディ各所にSUVらしいプロテクター系の加飾を積極的に盛り込んでいる。全幅に関してもワイドボディを採用しているため、国内仕様車の全幅も1875mmと、レヴォーグの全幅1795mmと比べると少し幅広サイズになっている。最小回転はいずれも5.5m前後と小回り性能は大差ないが、少し大柄なアウトバックは狭い道が苦手というユーザーにとっては、持て余す可能性も……。
一方レヴォーグは、一目でステーションワゴンと分かるプロポーション。先代よりも少し全幅は広がっているが(先代の全幅は1780mm)、国内市場を意識した手頃なサイズ感を堅守している。ディーラーOPで用意されるSTIエアロや、STI系グレードを選ばなくても、スポーティな雰囲気を楽しめることが人気を集めている理由のひとつ。
レイバックは、レヴォーグに比べて60mmほどリフトアップし、プロテクター類を追加することでSUV風味を加えたハイトワゴンに仕立てているが、基本的なプロポーションはレヴォーグと同じだ。
レヴォーグ レイバックの全長×全幅×全高は4770×1820×1570mm。ホイールベースは2670mm。撮影車はリミテッド EX。レヴォーグのSTI系グレードと比べると、外観まわりの印象は大人しめ。それが普通のクルマを求めるファミリー層から人気を集めている理由にもなっている。
荷室まわりの使い勝手に少し差はあるが、キャビン快適性と内装質感は互角
いずれも国内導入のスバル車の中では、キャビンにゆとりをもたせたモデルで、ロングドライブが多いユーザーから重視されるリヤシートまわりも余裕十分。レヴォーグ/レイバックは、アウトバックに比べると頭上空間は少し狭まるが、深く腰をおろせるシート形状の恩恵もあって、その差はほとんど気にしなくていいレベルで、フル乗車でも快適に過ごすことができるはずだ。
インパネのデザインは、中央部に縦型のタッチディスプレイを配置するスバル車共通のレイアウト。ただコンソールからフロアにかけての造形は、アウトバックとレヴォーグ/レイバックは異なっている。
荷室容量はサブトランクも含めてVDA法で561リッターを確保。開口部も広く後席シートの格納時は長物も楽々と積載できる。荷室を隠す伸縮タイプのトノカバーは、手で触れるだけで収納可能なポップアップ式を採用している。
撮影車はレヴォーグSTIスポーツR EX。室内長×室内幅×室内高は1900×1515×1205mm。ボディサイズの影響が出やすい左右と天地の長さはアウトバックよりも若干短いが、実用面で気になる差とはいえない。細部の意匠に違いはあるものの、中央に11.6インチディスプレイを配置するお馴染みのレイアウトを採用。
完全にフラットになるシート格納機能を含めて、基本的な使い勝手はアウトバックとほぼ同じと考えていい。荷室床面が低い分だけ荷物の出し入れはこちらの方が楽だろう。街中からレジャーシーンまで活躍する場は多そうだ。
最新スバル車に共通する内装質感の仕上がりの良さも共通。レヴォーグ/レイバックもアウトバックにまったく負けていない。特にSTI系グレードの本革シートは、豪華な気分にひたれる人気アイテムのひとつ。レヴォーグでもSTI系グレードを選んでおけば、内装加飾はアウトバックと同等と考えていいだろう。
荷室は、3モデルともサブトランクを含めた容量は561リッター(VDA法)を確保。両手がふさがっている時に重宝するハンズフリーゲートにも対応している。SUVのアウトバックは最低地上高が高い分だけ荷室床面の高さも高くなるが、テールゲート部に段差がないフラットフロアのおかげもあって、荷物の出し入れに苦労しない。積載性もほぼ同等と考えていい。どのモデルを選んだとしても、レジャーユースに強さをみせるスバル車の美点をしっかりと継承している。
レイバックのインパネはレヴォーグと共通だが、内装色の設定で差別化される。唯一選べるグレード「リミテッドEX」は、11.6インチディスプレイや本革シートなど、一通りの装備がコスパ良く揃っている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(スバル)
争奪戦必至のSTIコンプリート、ボディカラーは5色を設定 S210は、WRX S4をベースに、スバルが2008年から参戦しているニュルブルクリンク24時間レースで得られたノウハウが投入されている500[…]
インプレッサ:モデル概要 現在の国内スバルラインナップの中では、エントリーモデルとなっているインプレッサ。6代目となる現行型は先代まで設定されていたセダン系が廃止され、5ドアハッチバックのみのラインナ[…]
インプで好評の「サンブレイズ・パール」を身に纏う期間限定モデル 今回導入される「Limited Sun Blaze Edition」は、インプレッサで好評のボディカラー「サンブレイズ・パール」がチョイ[…]
「ST」をベースに、パワーシートなどの機能装備を強化。ブラックアクセントも随所にプラス 今回導入される特別仕様車「ST Black Selection」は、「ST」をベースに、運転席10ウェイ&[…]
好評の特別仕様車を1.8L車にも設定 昨年12月に2.4Lターボ車に設定された特別仕様車「STI Sport R-Black Limited」を1.8Lターボ車にも設定。内容としては「STI Spor[…]
最新の関連記事(SUV)
ドルフィンに新グレードを設定。価格は299万2000円 今回の価格改定&ラインナップ変更の対象となるのは「ドルフィン」「ATTO 3(アット スリー)」の2モデル。 エントリーモデルのドルフィンは、従[…]
ドイツ・インゴルシュタットの本社工場で生産される初の電気自動車 アウディQ6 e-tronシリーズは、ポルシェとの共同開発から生まれた次世代電動SUV。卓越した走行性能に加え、最長672km(SQ6 […]
「RACEモード」や「AMGダイナミックエンジンマウント」をGLC 43に初採用 今回導入される2つのモデルは、エクステリアは、マット塗装の迫力ある外装色に専用加飾としてブラック&レッドのアクセントを[…]
装備設定の変更で、人気のブラック系パーツ&ホイールが、全グレードにOP設定 今回導入される「レンジローバー・イヴォーグ」2026年モデルでは、PHEVモデルの「P300e」に「S」と「DYNAMIC […]
法規対応&盗難防止機能の強化を実施 今回実施される一部改良では、法規対応を含めた機能装備の強化に加え、マイカー始動ロック&スマートキー測距システムなどの最新セキュリティ機能を追加することで、盗難防止機[…]
人気記事ランキング(全体)
ショックレスリングとは? 一般の金属とは異なる原子の規則相と不規則相が存在する“特殊制振合金”を採用した金属製のリングで、シート取付ボルトやサスペンションアッパーマウントのボルトに挟み込むだけで、効果[…]
車の足元は暗くて見にくい、そんな時のコンパクトライト 車の座席の下は暗くて、何か物を落とすと見つけにくい。例えば夜、足元に小銭を落とした際などは、車内はとても暗くて、次の日の明るい時間にならまいと見つ[…]
ベース車両はトヨタのノア トヨタ・ノアの最大の魅力は、広い室内空間と高い実用性にある。3列シートを備え、7人または8人乗りの設定があり、多人数での移動に適している。スライドドアを採用しているため、狭い[…]
争奪戦必至のSTIコンプリート、ボディカラーは5色を設定 S210は、WRX S4をベースに、スバルが2008年から参戦しているニュルブルクリンク24時間レースで得られたノウハウが投入されている500[…]
大人数でもOK! ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。大型の荷室は、快適な車中泊空間や収納スペース、キッチンやベッドなどのレイアウトに柔軟に対応可能。カスタムの幅が広く、[…]
最新の投稿記事(全体)
プロトタイプといいつつも、スガタカタチはほぼ完成形 このたびインテリアやメカニズムが公開された次期プレリュードは、“プロトタイプ”こそ取れないものの、そのスガタカタチはどうみても製品仕様に限りなく近い[…]
パーキングメーターの時間を超過した…いったいどうなる? ゲート式駐車場/クイック式駐車場など、一口に駐車場といってもその形態は多種多様。都市部の大通りに設置されていることの多い「パーキングメーター」も[…]
ベース車両はトヨタのハイエース 圧倒的な耐久性と広い荷室を備えた日本を代表する車種の1つ、トヨタ・ハイエース。ビジネスユースからアウトドア、さらにはキャンピングカーのベース車両としても高い人気を誇る。[…]
軽自動車でも『車中泊』は『快適』にできます。ベース車両はスズキのエブリイ。 エブリイの最大の強みは、その広い荷室空間にある。軽自動車でありながら広い荷室空間は、後部座席を畳めば大人が横になれるほどのス[…]
見た目は普通でも中身はスペシャル、あえて別ネームで差別化 「トヨタ・1600GT」は、1967年に発売されたトヨタのスポーツクーペです。 もしこの段階で名称をWEBで検索してその画像を見たとしたら、「[…]