【ホンダ 新型フリード試乗記】e:HEV採用で、走行性能が格段に進化!日常使いから長距離ツーリングまで、難なくこなす1台に

2024年春にフルモデルチェンジした新型フリード。グレード構成の見直しやパワートレーンにe:HEVを採用するなど、コンパクトミニバンとして正統進化を遂げた。この記事では、そんな新型フリードを公道試乗したインプレッションをお届けする。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

需要の高い3列シートコンパクトミニバンのキャラクターはそのまま

レジャー&ファミリーのスペシャリストと述べるとクルマ好きに響く要素がないと錯覚されそうだが、ある意味ツウ好みのモデルでもある。街中で扱いやすいサイズに大人が座るに不足ない3列シートを備え、サードシートを畳めばクラス最大級の荷室容量と積載性を実現。これらは先代から継承しつつ、サードシート収納の作業性の改善などユーザーの現実に則した改良が加えられている。適応用途や使い勝手の点ではバリバリのキープコンセプト。だから信用できる!がフリードだ。

e:HEVと4WDの走行性能が魅力

現実に則して改良進化をしたのが新型の特徴なのだが、走りの面でいえばHEVモデルの動力性能と4WDの使い方が注目のポイントだ。HEVは従来のi-DCDからe:HEVに変更。最大加速性能のエンジン性能への依存度が高いパラレル式に対してシリーズ式と同じくモーター性能で加速性能が決まるe:HEVは1.5Lエンジンながら大トルクのモーターにより全域で従来のi-DCDを上回る加速性能を発揮。登坂や高速域加速性能に余裕が出来たため、これまであまり得意ではなかった高速長距離適性が大きく向上。ガソリン車も変速とエンジンの統合制御を勧めて、ドライブフィールの余力感を高めているがHEVモデルほど劇的な変化はない。

試乗したフリード e:HEV CROSSTAR 4WD (5人乗り)
全長×全幅×全高(mm):4310×1720×1780
車重(kg):1580
ホイールベース(mm):2740
パワートレーン:水冷直列4気筒DOHC

また、4WDを操安性向上のため、積極活用しているのも見どころだ。雪路など滑りやすい路面での発進性や安定性はもちろん、一般路面での高速安定や挙動収束、さらには車軸周りの揺動の減少などの効果を発揮。後輪への駆動伝達用の4WDカップリングは常時稼働状態とし締結圧を走行状況に応じて制御する。つまり正味でフルタイム4WDとして作用し、その前後輪の差動制限により安定性の向上や負荷変動の抑制される訳だ。

運転感覚はFF車のほうが軽快だが、4WDの雑味のないしなやかさや据わりのいい操縦感覚は走りの車格感向上に寄与している。

気になるシエンタとの違いは…?

4WD車に限定せずともこの長距離適性の高さと走りの質感は同クラス/カテゴリーで唯一のライバルと目されるシエンタに対する新型フリードのアドバンテージでもある。

キャビンユーティリティの面から見ても、ミニバン的なフリードに対して、シエンタはジャンプシート付きワゴンの流れが感じられ、走りの志向も違っている。

フリード e:HEV CROSSTAR 4WD (5人乗り)のキャビン空間

シエンタはタウンユース主体の気軽な運転感覚が特徴。また、4WDはHEVモデルのみの設定で、生活四駆型のE-fourとなる。走行感覚もカバーレンジもかなり違いを感じる。燃費はシエンタが有利だが、長距離ツーリング派にはフリードが優位だ。

街乗り主体で価格を抑えたいユーザーはシエンタ、長距離や悪路を走る場面が多いならばフリードを選択するのがおすすめだ。

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