新しいクルマの車載システムとして注目を集めているディスプレイオーディオ。従来のカーナビゲーションシステムとは異なる特徴を持ち、代わりに導入する人も増えているそうですが、両者にはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか。
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
ディスプレイオーディオとナビゲーション(カーナビ)の違いって?
まずディスプレイオーディオは、地図機能のないディスプレイがついた車載機で、最大の特徴は、スマホとの連携機能にあります。
「Apple CarPlay」や「Android Auto」を使用することでスマホと連携でき、ナビアプリや音楽アプリなどのスマホで普段使っているアプリが利用可能になります。
そしてナビゲーションシステム、通称カーナビは、ドライバーの目的地への到着をサポートする車載装置です。GPSを利用して自車位置を正確に把握し、目的地までの最適なルートを算出して案内をおこないます。
カーナビの性能は年々進化しており、音楽再生やハンズフリー通話、テレビ視聴といった多彩な機能を備えています。中にはスマホとの連携機能を持つモデルもあり、さらに使い勝手が向上しています。
上記のような機能だけに注目すると、ディスプレイオーディオとカーナビに大きな違いはないように見えますが、実はそれぞれメリット・デメリットがあります。
たとえばディスプレイオーディオの1番のメリットは、価格の安さ。従来のカーナビと比較して、ディスプレイオーディオは大幅に安価であり、クルマのオプション選択時に出費を抑えられます。
高価なメーカー純正ナビとディスプレイオーディオでは、10万円近いコストの差が生まれることも少なくありません。また、地図データ更新の手間がかからない点も魅力です。
カーナビは定期的な地図データの更新が必要ですが、スマホのナビアプリは自動的に更新されるため、常に最新の地図情報を利用できます。無料更新期間を終えたカーナビの更新には数万円のコストがかかりますが、ディスプレイオーディオであれば一切費用がかかりません。
さらに、ディスプレイオーディオは一般的に薄型でスタイリッシュなデザインを採用しており、クルマのインテリアデザインを損なうことなく、高級感を演出することができます。
ただし、その便利さと経済性の裏側にいくつかの注意すべき点があります。
最も顕著なデメリットは、カーナビより劣るナビ性能です。
一般的な地図アプリは、高速道路や立体交差点などの複雑な道路状況における案内表示が見づらいことが多く、現在地を見失ってしまうことがあります。
カーナビの場合、インターチェンジや交差点などに差し掛かると詳細な案内を表示してくれるため、道を間違えるリスクが少なくなります。
また、ディスプレイオーディオはスマホのナビアプリや音楽アプリを利用するため、データ通信量の増加は避けられません。長距離ドライブや頻繁な使用では、通信料金の上昇につながる可能性があり、特に通信容量に制限のあるプランを利用しているドライバーにとっては注意が必要です。
さらに、ディスプレイオーディオはCD/DVDの再生機能が搭載されていないケースがほとんど。一部のドライバーにとって不満の原因となることもあるかもしれません。
一方、カーナビはナビの精密さと独立した機能性で軍配が上がります。ナビゲーションはクルマ専用に開発されており、分かりやすい画面表示と音声ガイダンスによって、複雑な道路状況でもドライバーを迷うことなく目的地へと導いてくれます。
また、カーナビは常時クルマに搭載されているため、スマホの充電状態や通信環境に左右されることなく、安定して機能を利用できます。加えて、多くのカーナビではCD/DVDの再生デッキが搭載されており、長距離ドライブ時や渋滞中でも退屈せずに済むのも嬉しいポイント。
ただしディスプレイオーディオよりも導入コストは大幅に高くなり、クルマの購入時に大きな出費を強いられる可能性があります。また、カーナビは定期的に地図データを更新する必要があるため、最新の道路情報や施設データを維持するには、継続的なコストがかかってしまいます。
こうした理由から、ディスプレイオーディオはスマホに慣れ親しんだ若い世代、コストを抑えたい人や日常的に使い慣れたアプリを活用したい人などにオススメで、カーナビはナビ機能の精密さを求める人やスマホの充電量や通信量が気になる人に適しています。
このように、ディスプレイオーディオとカーナビは、それぞれ異なる特徴と利点を持っています。
どちらのシステムも、ドライバーの快適で安全なドライブをサポートする重要な役割を果たしています。選択する際は、自分のクルマの使用頻度や予算などを総合的に考慮することが大切です。
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