
スバル・レヴォーグは走りの良さが高く評価されていたモデルだが、昨年秋にレイバックが追加されたことで、ファミリーユーザーからも大きな注目を集めるようなったことをご存知だろうか? ここではファミリーユーザーから支持されるようになった理由、選びワケのポイントをお教えしよう。
●文:月刊自家用車編集部
サスチューンが柔らかくなったことが高評価。いまやレイバックが一番人気のグレード
2020年秋にデビューした2代目「レヴォーグ」は、手ごろなボディサイズに流麗なスタイリングが楽しめるスポーツワゴン。グローバル市場を重視するあまり、大きくなりすぎてしまったレガシィに変わる存在として、大きな人気を集めているモデルだ。
デビュー当初は1.8Lターボ車のみのラインナップだったが、翌2021年秋に実施されたマイナーチェンジで、よりパワフルな2.4Lターボ車を追加。ひとつ下のクロストレックの動力性能に不満があるユーザーにとって、最新ターボで高出力の魅力を楽しめるレヴォーグは、スポーツ派にとっても極めて魅力的な存在だろう。
そしてレヴォーグがさらに躍進するキッカケとなったのが、2023年秋にリフトアップでSUV的な魅力もプラスした「レヴォーグ レイバック(以下レイバック)」がラインナップに加わったこと。
車高を少しアゲてユーティリティ性能を高めていくことは、スバルお得意のアプローチのひとつだが、近いクラスのフォレスターの設計年次が古くなってきていることもあって、ミドルクラスのスバルの上級モデルを探しているユーザーにとっては、まさにドンピシャリの選択で、いまや正統派のレヴォーグよりも好調なセールスを記録しているほどだ。
撮影車はレヴォーグ レイバックリミテッドEX。価格は399万3000円。フォレスターよりも少し高価な価格帯になるが、アイサイトを核とする安全装備やボディ&シャシーは、1世代上の技術が使われていることが魅力。
●現行レヴォーグ&レヴォーグレイバック グレードバリーエーション&価格 | ||
パワートレーン | グレード | 価格【AWD】 |
1795cc水4DOHCターボ 177PS/30.6kg・m | Smart Edition EX | 363万円 |
GT-H EX | 379万5000円 | |
STI Sport EX | 434万5000円 | |
STI Sport EX Black Interior Selection(特別仕様車) | 440万円 | |
レイバック Limited EX | 399万3000円 | |
2387cc水4DOHCターボ 275PS/38.2kg・m | STI Sport R EX | 502万7000円 |
STI Sport R EX Black Interior Selection(特別仕様車) | 508万2000円 |
レイバックが、レヴォーグ選びに幅をもたらしている
スバルとしては、レヴォーグとレイバックは別モデルとして扱っているが、ボディパッケージは共通設計で、さらに搭載エンジンも1.8Lターボと同じ。ただ、サス周りなどをレイバック専用チューンにすることで走りの味を変えていることが大きなポイント。
レヴォーグ/レイバックを1.8Lエンジン車同士で比べると、サスが異なる3つの仕様が用意されており、標準車といえるスマートエディションやGT-Hに採用されている標準サス仕様、STIスポーツ系に採用されている電子制御ダンパー仕様、そしてレイバックの専用サス仕様に分けることができる。
操安性能が最も優れているのは、電子制御ダンパー仕様で、標準サス仕様に比べると、ライントレースの滑らかさや挙動収束の良さが際立っている。
その次に操安性に優れるのが、レイバックの専用サス仕様。電子制御ダンパー仕様で選べるドライブモードのコンフォートモードに近い特性で、長距離をリラックスして走るには最も好ましいアシに仕上げられている。
標準サス仕様は、操舵の初期反応が強く感じるスポーティカーらしい味付けで、ハンドリングの切れが欲しいユーザーに適している。
そして乗り心地が異なること見逃せない違いのひとつ。
純粋ワゴンのレヴォーグは、サスチューンは明らかに走行時のスタビリティを意識した硬めなセッティングで、メインターゲットは走り応えを求めるドライバー寄り。
一方、レイバックは乗り心地を重視した味付け。高速走行時の安定性の高さはレヴォーグもレイバックも共通の美点だが、路面からの突き上げ感はレイバックの方が上手に抑え込んでいる印象が強く、乗り心地視点ではレイバックの方が好みというユーザーが多いだろう。
レイバック唯一のグレードとなるリミテッドEXは、中間相当にあたるグレード。キャビンの質感や加飾は、レヴォーグ最上位のSTIスポーツ系ほどの迫力感はないが、シックな雰囲気で上質感も十分。この普通な良質感があることも、奥さま族からの評価が高い理由のひとつ。
弱点らしき弱点がないレイバックが、グレード選びの中心になる
総合力で選ぶならば最もオススメできるのは、レイバック・リミテッドEX。オンロードでのポテンシャルが高く、それでいて本格SUVに迫るほどの悪路性能を備えている。
キャビンの広さやアレンジ機能などは専用設計の本格SUVには及ばないが、街なかでも違和感なく使えるなど汎用性が高い。
実はレヴォーグは購入時に硬めの乗り心地が敬遠(主に奥方や子供から)されるケースも多いそうなのだが、レイバックだと試乗後にOKが出る場合が多いという。家族の理解が得やすいことは、従来のスバル車とは違った美点といえるのだ。
レヴォーグの最上位グレードとなるSTI Sport R EX。STIスポーツ系は2.4Lターボ車が選べたり電子制御ダンパーも採用されるなど、速さを最優先したいユーザーにはかなり魅力的だが、オーバースペックの感も否めない。バランスの良さは1.8Lターボ車の方が上だ。
STIスポーツ系は加飾レベルも少し格上。400万円を切る設定のレイバック・リミテッドEVに対して、価格は1.8L車でも30~40万円、2.4L車になると100万円ほど高くなってしまう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(スバル)
争奪戦必至のSTIコンプリート、ボディカラーは5色を設定 S210は、WRX S4をベースに、スバルが2008年から参戦しているニュルブルクリンク24時間レースで得られたノウハウが投入されている500[…]
インプレッサ:モデル概要 現在の国内スバルラインナップの中では、エントリーモデルとなっているインプレッサ。6代目となる現行型は先代まで設定されていたセダン系が廃止され、5ドアハッチバックのみのラインナ[…]
インプで好評の「サンブレイズ・パール」を身に纏う期間限定モデル 今回導入される「Limited Sun Blaze Edition」は、インプレッサで好評のボディカラー「サンブレイズ・パール」がチョイ[…]
「ST」をベースに、パワーシートなどの機能装備を強化。ブラックアクセントも随所にプラス 今回導入される特別仕様車「ST Black Selection」は、「ST」をベースに、運転席10ウェイ&[…]
好評の特別仕様車を1.8L車にも設定 昨年12月に2.4Lターボ車に設定された特別仕様車「STI Sport R-Black Limited」を1.8Lターボ車にも設定。内容としては「STI Spor[…]
最新の関連記事(ワゴン)
最新インフォテイメント「MIB4」を採用するなど、機能面を大きく強化 今回導入されるゴルフの改良新型は、第8世代の進化型という意味から「ゴルフ8.5」とも呼ばれている。マイナーチェンジということもあっ[…]
レヴォーグ:モデル概要〈見た目はキープコンセプトながら、中身はまるで別物に進化〉 初代モデル(先代)の大成功を引き継いで登場した現行レヴォーグ(2代目)。エクステリアはキープコンセプト路線を採用したた[…]
艶やかなグロッシーブラックのアクセントが映える特別な1台 今回導入される特別仕様車「XC60 Dark Edition」は、V60やXC40で好評を博したDarkエクステリアを、XC60 B5 AWD[…]
システム最高出力190ps/最大トルク310Nmを発揮するガソリンハイブリッド車のエントリーモデル 2024年2月に国内導入された現行世代の5シリーズツーリングには、これまで48Vマイルドハイブリッド[…]
スバル自慢の正統派ステーションワゴン。2023年にはSUV色を強めたレイバックも追加 2020年秋にデビューした現行レヴォーグは、レガシィの系譜を受け継ぐステーションワゴン。走りの良さや充実の装備機能[…]
人気記事ランキング(全体)
ショックレスリングとは? 一般の金属とは異なる原子の規則相と不規則相が存在する“特殊制振合金”を採用した金属製のリングで、シート取付ボルトやサスペンションアッパーマウントのボルトに挟み込むだけで、効果[…]
車の足元は暗くて見にくい、そんな時のコンパクトライト 車の座席の下は暗くて、何か物を落とすと見つけにくい。例えば夜、足元に小銭を落とした際などは、車内はとても暗くて、次の日の明るい時間にならまいと見つ[…]
ベース車両はトヨタのノア トヨタ・ノアの最大の魅力は、広い室内空間と高い実用性にある。3列シートを備え、7人または8人乗りの設定があり、多人数での移動に適している。スライドドアを採用しているため、狭い[…]
争奪戦必至のSTIコンプリート、ボディカラーは5色を設定 S210は、WRX S4をベースに、スバルが2008年から参戦しているニュルブルクリンク24時間レースで得られたノウハウが投入されている500[…]
大人数でもOK! ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。大型の荷室は、快適な車中泊空間や収納スペース、キッチンやベッドなどのレイアウトに柔軟に対応可能。カスタムの幅が広く、[…]
最新の投稿記事(全体)
プロトタイプといいつつも、スガタカタチはほぼ完成形 このたびインテリアやメカニズムが公開された次期プレリュードは、“プロトタイプ”こそ取れないものの、そのスガタカタチはどうみても製品仕様に限りなく近い[…]
パーキングメーターの時間を超過した…いったいどうなる? ゲート式駐車場/クイック式駐車場など、一口に駐車場といってもその形態は多種多様。都市部の大通りに設置されていることの多い「パーキングメーター」も[…]
ベース車両はトヨタのハイエース 圧倒的な耐久性と広い荷室を備えた日本を代表する車種の1つ、トヨタ・ハイエース。ビジネスユースからアウトドア、さらにはキャンピングカーのベース車両としても高い人気を誇る。[…]
軽自動車でも『車中泊』は『快適』にできます。ベース車両はスズキのエブリイ。 エブリイの最大の強みは、その広い荷室空間にある。軽自動車でありながら広い荷室空間は、後部座席を畳めば大人が横になれるほどのス[…]
見た目は普通でも中身はスペシャル、あえて別ネームで差別化 「トヨタ・1600GT」は、1967年に発売されたトヨタのスポーツクーペです。 もしこの段階で名称をWEBで検索してその画像を見たとしたら、「[…]
- 1
- 2