アウトランダーは、現在の三菱自動車のラインアップ中では最上級に位置するフラッグシップSUV。2021年に登場した現行モデルは、三菱自慢の電動技術と4WD技術をフルに投入した、最先端の4WDプラグインハイブリッド(PHEV)車となりました。今回実施されるマイナーチェンジでは、そうした技術に磨きをかけるとともに、最上級モデルにふさわしい高級感や快適性の向上に力が入れられています。ここでは注目すべきポイントを解説したいと思います
●文:横田晃
純電動走行の航続距離も拡大、システム総出力も20%向上
今回のビッグマイナーチェンジでの最大のポイントは、メカニズム面のさらなる進化。駆動用バッテリーの容量を従来の20kwhから22.7kwhへ増大し、電池単体出力では60%も向上したことで、EVモードでの航続距離は83kmから102km(Mは87km→106km)へと伸びています。
フル充電ならば、街中での日常的な使い方では、ガソリンを一滴も使わずに大きなSUVを走らせることができ、バッテリーの電力を使い切っても、2.4Lのエンジンで発電しながら走るハイブリッドモードでロングドライブが楽しめます。普段の生活ではEV的な運用を望むユーザーにとっては、より魅力的なモデルに仕上がっています。
そして動力性能が強化されたことも注目したいところ。システム総出力は約20%向上し、社内計測による0-100km/h加速は、従来モデルの10.2秒から8秒以下へと短縮。それでいて、市街地や渋滞でのノロノロ運転でも、加減速でぎくしゃくせず、一定速を保ちやすいよう、モーターの制御を熟成させているといいます。
電動ユニットの強化に隠れがちですが、サスペンションチューンの見直しと新開発タイヤの採用も見どころのひとつ。これにより乗り心地とステアリングのしっかり感がともに向上しており、走りの質感も大きく向上したと、開発陣は胸を張っているほどです。
キャビン質感&装備もさらに向上し、欧州プレミアムと戦えるレベルへ
新型アウトランダーでは、内外装の仕上げがプレミアムカーレベルに進化。リデザインされたフロントグリルや前後バンパー/スキッドプレート、リヤコンビランプ、ホイールは、現行モデル導入時のコンセプトである“威風堂々”をさらに強化して、“威風堂々第二章”を謳うほど。
それにともない装備機能も、全車に12.3インチのスマホ連携ナビを備え、上級グレードのセミアニリンレザーシートには、精緻なステッチや運転席/助手席シートベンチレーションも装備。最上級グレードには、フレームレスのデジタルルームミラーやアルミペダルまで備わります。
オーディオもヤマハと専用開発したダイナミックサウンドシステムを搭載。最上級グレードでは、ドアパネル剛性まで1.5倍に高めてピュアな音にこだわった、12スピーカーのシステムを搭載。電動車ならではの静かな走りが、繊細なサウンドを際立たせます。
従来モデルも、所有欲を満たしてくれる質感の良さや優れた装備水準を売りにしていましたが、新型は従来モデルを明らかに上回る部分が多くなっています。
約30万円の価格アップは妥当、PHEVでありながら本物の走りが満喫できる本格仕立て
当然、価格も少し上がっており、最もベーシックなMのグレードでも価格は500万円台半ばから。ただ、マイナー前モデルからの値上がりは30万円前後と、進化した機能や内容を考えればかなり頑張った価格設定といえるでしょう。
今、世界ではSUVの人気がさらに加速する一方、テスラのEVを筆頭とする電動モデルは、主に環境意識の高い富裕層から支持されています。ダカールラリーでの活躍でも知られる三菱のSUV、しかもバッテリー式EVのような航続距離のネガのない、最先端のPHEVのアウトランダーは、そうしたユーザーを振り向かせることで、欧州における三菱車のステイタスを高める使命も託されるようです。
補助金などに頼って売り上げを伸ばしてきた世界のEVにブレーキがかかったといわれる今、PHEVは実用性と環境性能を両立させた解答として注目されています。
この魅力に加えて、高度な4WD技術による上級SUVとしての走りと快適性を兼ね備えた、世界でもありそうでない新型アウトランダーPHEVの立ち位置は、強力なライバルが揃うプレミアムセグメントでも、大きな存在感を持つのは間違いないでしょう。
●新型アウトランダー グレードバリエーション&価格【2024年10月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード | 価格【4WD】 |
2359cc直4DOHC 98kW/195Nm + ツインモーター フロント:85kW/255Nm リヤ:100kW/195Nm | M【5人乗り】 | 526万3500円 |
G【5人乗り】 | 587万9500円 | |
G【7人乗り】 | 597万800円 | |
P【5人乗り】 | 631万4000円 | |
P【7人乗り】 | 640万5300円 | |
Pエグゼクティブパッケージ【5人乗り】 | 659万4500円 | |
Pエグゼクティブパッケージ【7人乗り】 | 668万5800円 |
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ミツビシ)
アウトランダーPHEVの改良点 『アウトランダーPHEV』は、電動化技術と四輪制御技術の粋を集め、「威風堂々」をコンセプトとした三菱自動車のフラッグシップモデルだ。2021年12 月にフルモデルチェン[…]
大幅改良されるアウトランダーPHEV アウトランダーPHEVは、三菱自動車の電動化技術と四輪制御技術の粋を集め、「威風堂々」がコンセプトになったフラッグシップモデルだ。 今回の大幅改良は「洗練」と「上[…]
今年は、当選組数を昨年の倍の600組に設定、イベント会期も1日延長して2泊3日で 三菱自動車販売会社主催のキャンプイベント「スターキャンプ」。全国で開催されている同イベントだが、その中でも広大な朝霧高[…]
プジョー・トタルエナジーズの9X8が参戦することを記念した特別仕様車 今回導入される「308 GT HYBRID Special Edition」は、9月13日~15日の日程で開催される「2024 F[…]
新開発の駆動用バッテリーの採用で、動力性能を強化 今秋に登場するマイナーチェンジモデルでは、PHEVシステムを大幅改良に加えて、内外装の質感向上も図られる。 具体的には、大容量化・高出力化を実現した新[…]
最新の関連記事(SUV)
「アルピーヌ」のエッセンスを織り込んだ上級グレード「エスプリ アルピーヌ」を導入 今回導入される新型アルカナはグレード体系を刷新。スポーツシックな個性を強調するデザインの新グレード「エスプリ アルピー[…]
RAV4 モデル概要:プレミアムキャラの強化でイメージ一新、トヨタ自慢のミドルSUV 現行RAV4の開発コンセプトは「Robust Accurate Vehicle With&nb[…]
クラウンスポーツ 概要:フォーマルからカジュアルまで、シーンを選ばずプレミアムを体感できる新世代のスポーツSUV クラウンスポーツは、俊敏でスポーティーな走りが楽しめる、新しいカタチのスポーツSUV。[…]
ランドクルーザー300:モデル概要 従来のランドクルーザーの開発目標であった「信頼性/耐久性/悪路走破性は進化させつつ継承」と「世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現」という2つのテー[…]
クラウンクロスオーバー:モデル概要 16代目となる現行クラウンは、初めてFFレイアウトベースで開発されたモデル。ボディタイプも、SUV色の濃い大径ホイールを採用したクロスオーバー/スポーツ/エステート[…]
人気記事ランキング(全体)
ピラーに装着されたエンブレムやバッジの謎とは? 今のクルマはキャビン後部のCピラーには何も付けていない車両が多く、その部分はボディの一部としてプレーンな面を見せて、目線に近い高さのデザインの見せ場とな[…]
ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースはなんと言ってもクラス最大級の荷室の広さが魅力[…]
新型クラウン エステートの魅力その1 エクステリア&スタイリング 新型クラウンエステートは、キャビン容量を大きく確保したクロスオーバーSUV。クロスオーバーSUVと謳われてはいるが、その実態は[…]
トヨタ カローラレビン/スプリンタートレノ[AE86] 生産期間:1983年5月~1987年4月 カローラレビン 新車時価格:113.3万円〜154.8万円 中古車の価格帯:155万円~1080万円 […]
豊かになった日本の若者にも受け入れられた、スポーツ性と色気 当時の日本の若者に、初代プレリュードが魅力的に映らなかったのは仕方ない。 今見ると端正なフォルムも、当時のセリカやスカイライン、サバンナRX[…]
最新の投稿記事(全体)
「アルピーヌ」のエッセンスを織り込んだ上級グレード「エスプリ アルピーヌ」を導入 今回導入される新型アルカナはグレード体系を刷新。スポーツシックな個性を強調するデザインの新グレード「エスプリ アルピー[…]
クラウンクロスオーバー用TV-KIT! TV-KITは、装着することにより、走行中でも純正ナビのテレビ視聴およびナビ操作が可能になる便利アイテムだ。カプラーオンで取り付けられるので、車両側の配線を傷つ[…]
純電動走行の航続距離も拡大、システム総出力も20%向上 今回のビッグマイナーチェンジでの最大のポイントは、メカニズム面のさらなる進化。駆動用バッテリーの容量を従来の20kwhから22.7kwhへ増大し[…]
アウトランダーPHEVの改良点 『アウトランダーPHEV』は、電動化技術と四輪制御技術の粋を集め、「威風堂々」をコンセプトとした三菱自動車のフラッグシップモデルだ。2021年12 月にフルモデルチェン[…]
1:ファーストオーナーであることにはこだわらない 新古車と新車の決定的な違いは、先述したようにナンバーがすでに取得済みであり、ファーストオーナーはディーラーなどの自動車販売店の名義になっている点が挙げ[…]
- 1
- 2