
真夏の猛暑でエアコンはフル稼働、当然のことながらコンデンサーを回すためにバッテリーは酷使されている。弱ってしまったバッテリーが原因でクルマが止まってしまわないためにも、真冬の寒さが訪れる前のこの時期に、バッテリーの状態をチェックしておくべきなのだ。
●文:オートメカニック編集部
猛暑を乗り切ったバッテリーは、深刻なダメージを受けていて当たり前
極板とバッテリー液(希硫酸)の間に起こる化学変化を利用して電気エネルギーを蓄える働きをする「鉛バッテリー」。
その適温と言われる気温は25℃以下。バッテリーに限らずクルマを構成する部品は、気温が高くなると劣化が促進される特性があり、一般的には気温が10℃上がると寿命は半分になるといわれている。ちないにバッテリーはその特性上、低すぎても問題があって、気温が低いと「活性化が阻害」されることで能力が低下してしまう。
本誌が過去に実験したケースでは、気温が35℃を超えた真夏日のエンジンルーム内はの温度は、セットされたバッテリー内の液温が最高50℃にまで達していた。
このような高温状況がバッテリーによいわけはなく、さまざまな悪影響を及ぼすのは間違いない。つまり、車載バッテリーは「夏の猛暑」で傷めつけられ、「冬の冷気」で活性化の足を引っ張られるという劣悪な環境というわけだ。
本来は季節ごとにチェックすることをオススメしたい部品にもかかわらず、メンテナンスフリーを謳うバッテリーが普及したことで、多くのユーザーはメンテを怠りがちだ。
もし、自分の愛車が普通の鉛バッテリーだったとしたら、すでに相当のダメージを受けているのは間違いない。このまま寒い冬を迎えてしまうとリスクはさらに高まるので、トラブルを避けるために、今のうちにキッチリとメンテするのがオススメなのだ。
一般的な鉛バッテリーは、ケース内に組み込まれた+-極板と電解液の希硫酸を化学的に作用させることで機能しており、電気エネルギーを化学エネルギーとして蓄え(充電)、必要に応じて電気エネルギーとして取り出し(放電)ている。
バッテリーの日常メンテナンスは簡単、定期的にボンネットを開けるクセをつけよう
バッテリーはバッテリー液を注入した瞬間から、使用の有無にかかわらず劣化が進行する。このため、ただでさえ定期的な保守・点検・交換が必須! その保守・点検で最も大切なのが液量の点検・補充。次に大切なのが必要な電圧を発生しているか? バッテリーターミナルが緩むことなくキッチリ固定されているか? これらを忘れずにチェックしたい。
バッテリーケースの汚れを拭き取る
バッテリーが設置されているエンジンルームには、路面から舞い上がったホコリが舞うため、放っておくとすぐにホコリまみれになってしまう。そんな状態では点検もしにくいので、まずはケースに付着した汚れをきれいに拭き取る。
バッテリー液の液量をチェックする
ケース側面から内部を透かし見て、液面をチェックする。UPPER とLOWERの間に液面があれば基本的にOK。もしその間にバラつきを見つけたら、UPPERの下まで均等に補充液を入れる。
液面が見にくい時は、裏からライトの光を当てると確認しやすくなる。
不透明ケースのバッテリーは、上部のインジケーターからチェック!
メンテナンスフリーバッテリーには、コンディション確認用のインジケーターがケース上面に設置されている。
このタイプのインジケーターで、液不足表示で液栓が外せるタイプ(開放型)だったら補充ができる。要充電が表示されていたら、ただちに補充電をしておこう。
メンテナンスフリーバッテリーは、このタイプのインジケーターが多い。液の補充は基本的に不可能。「液不足=交換」を原則に設計されている。
バッテリーターミナルの緩みをチェックする
エンジン始動時、セルモーターに接続されたバッテリーの+ケーブルには瞬間的に100Aを超える高圧電流が流れる。このため、ターミナルの取り付けが緩んでいると通電効率が落ちて必要な電気を流せない。つまり、セルが回りにくくなるので注意。ターミナルを左右にこじって、グラつくことなくキッチリ締まっているか確認する。
ターミナル部分にグラつきが残る場合、一度ターミナルを外して歪みを修正する
いくら締め込んでもグラつきが収まらないようなら、基本的にターミナルの交換が必要だ。が、ダメで元々、取り外して歪みを修正してみる。このターミナルの脱着時、外す時は「-(マイナス)ターミナル」から。取り付ける時は「+(プラス)ターミナル」からが原則!
外した-(マイナス)ターミナルは作業中にターミナルポールに接触しないようケース側面に押し込んでおく。
歪みを締め込んで修正、クリアランスを確保する
ボルトはめ込み部をバイスプライヤーでガッチリ保持。配線端子をプライヤーで挟んで曲げ直す。
ターミナルポールはめ込み面を絞り込んで、歪みを修正する。
ターミナルを磨いて汚れを取った後、酸化予防でグリスを塗っておく
浮き上がってこないように、ギュッと押し付けながら固定ナットを締め込んでいく。
これでも緩みが解消しないようなら、ターミナルを交換(単体で交換できるが、ケーブル付きの純正品の利用がベストだ)するべきだ。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス)
フロントガラスの油膜を除去して良好な視界を確保 普段の走行で、フロントガラスには油分が付着する。これは、排気ガスなどが原因で、避けがたい現象だ。蓄積されていくと、ウォッシャー液などでは簡単には落ちず、[…]
サビは放っておくと塗装の下に潜り込んで広がる…!? 綿棒の先ほどの塗膜が剥がれた些細なキズだったとしても、すでにサビが発生していたら要注意! 周囲の塗膜の下に広がっている可能性があるからだ。もしもサビ[…]
一旦気づいてしまうと、目について仕方がないワイパーの水滴のスジ残り。 雨の日が多いこの季節。梅雨前線、ゲリラ豪雨、不安定な空模様……そんな天気の中、クルマを走らせていて気になったのが、ワイパーを使用し[…]
マニアな洗車好きから注目されている、純水洗車とは? 愛車の洗車はどこで行っていますか? 自宅? ガソリンスタンド? できればここで紹介するコイン洗車場「D-Wash」を一度試してみてほしい。というのも[…]
塗装面に突き刺さる異物を除去し、滑らかなボディを取り戻す 都心部の汚れた空気の中を走り回っていると、車の塗装表面には様々な異物が付着する。特に厄介なのが、目には見えない鉄粉だ。この鉄粉の主な出所は、ブ[…]
最新の関連記事(カー用品)
フロントガラスの油膜を除去して良好な視界を確保 普段の走行で、フロントガラスには油分が付着する。これは、排気ガスなどが原因で、避けがたい現象だ。蓄積されていくと、ウォッシャー液などでは簡単には落ちず、[…]
サビは放っておくと塗装の下に潜り込んで広がる…!? 綿棒の先ほどの塗膜が剥がれた些細なキズだったとしても、すでにサビが発生していたら要注意! 周囲の塗膜の下に広がっている可能性があるからだ。もしもサビ[…]
一旦気づいてしまうと、目について仕方がないワイパーの水滴のスジ残り。 雨の日が多いこの季節。梅雨前線、ゲリラ豪雨、不安定な空模様……そんな天気の中、クルマを走らせていて気になったのが、ワイパーを使用し[…]
塗装面に突き刺さる異物を除去し、滑らかなボディを取り戻す 都心部の汚れた空気の中を走り回っていると、車の塗装表面には様々な異物が付着する。特に厄介なのが、目には見えない鉄粉だ。この鉄粉の主な出所は、ブ[…]
運転中に買い物袋が「バサーっ」。こんな経験ありません? 車で買い物に行ってラゲッジスペースに荷物を積み、帰宅。運転中の加速やカーブで、荷室の荷物がガタンと倒れる音が聞こえる…。それからカーブの度にペッ[…]
人気記事ランキング(全体)
馬車の時代から採用されていたサスペンション サスペンションを日本語にした懸架装置という言葉が長く使われていた。その名のとおり、初期のサスペンションは車輪を車体から吊すものととらえられていたのだ。 サス[…]
ファミリーカーの顔と、キャンパーの実力を両立 「デッキワン」は、単なる車中泊用のクルマではない。平日はファミリーカーとして活躍し、週末はアウトドアフィールドで「動くリビング」に早変わりする。選べるルー[…]
快適装備で本気のアウトドアを。走破力と居住性を両立した「デリカMV」という選択 三菱のオールラウンドミニバン「デリカD:5」をベースに、快適な車中泊を可能にする専用装備を架装したこのモデルは、“遊びの[…]
使い勝手と快適性を両立した室内空間 名前の「アーレ」はドイツ語で“すべて”を意味する言葉。その名に違わず、このモデルには、軽キャンパーに求められるほとんどすべての装備が標準で備わっている。電子レンジや[…]
一旦気づいてしまうと、目について仕方がないワイパーの水滴のスジ残り。 雨の日が多いこの季節。梅雨前線、ゲリラ豪雨、不安定な空模様……そんな天気の中、クルマを走らせていて気になったのが、ワイパーを使用し[…]
最新の投稿記事(全体)
濡れ物・汚れ物も気にしない。唯一無二の「防水マルチルーム」 イゾラ最大の特徴とも言えるのが、車両後部に備えられた「防水マルチルーム」だ。これはレクビィ独自の装備であり、実用新案登録もされている。アウト[…]
可愛らしいワーゲンバスを、現代風にオマージュ 試乗したのは、ロングホイールベースモデルの「ID.Buzz Pro Long Wheelbase」。全長4965mm、全幅1985mm、全高1925mmと[…]
フロントガラスの油膜を除去して良好な視界を確保 普段の走行で、フロントガラスには油分が付着する。これは、排気ガスなどが原因で、避けがたい現象だ。蓄積されていくと、ウォッシャー液などでは簡単には落ちず、[…]
規制の逆風の中、速さを誇ったREスポーツ 2ローターのロータリーエンジン(RE)を積んだコスモスポーツを世に送り出して以降、マツダはロータリー車のバリエーションを増やし、1970年代を「ロータリゼーシ[…]
マツダの戦略を支える「ものづくり革新」とは? マツダは2030年代を本格的な電動化時代と捉え、2028~2030年にバッテリーEV投入を予定している。ただし、マツダは年間120万台規模の、マツダ曰く […]
- 1
- 2