
2021年に国内デリバリーを開始した8代目シボレー コルベットが、2025年モデルで一部仕様と価格を変更して販売をスタートした。ボディカラーの拡充とエクステリアデザインの変更、Z06グレードの通年受注化ほか、オプション装備の整理も行われている。欧州製スーパーカーとガチで競えるアメリカ製スーパーカーとして人気のコルベット、2025年モデルでの変化を紐解く。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:ゼネラルモーターズ・ジャパン ※写真には海外仕様を含みます
ミッドシップスーパーカーに生まれ変わったC8コルベット
モータースポーツ発祥の地・ヨーロッパは、レーシングカー(競技専用車)やスポーツカー(公道走行がメインの高性能車)を含むスーパーカーの本拠地であり、他地域の自動車メーカーはその後塵を拝してきた。
スーパーカー=欧州車の構図を覆そうという他地域のメーカーが膨らませた野望は、1960年代に欧州車が席巻していたル・マン24時間レースを舞台として先鋭化。ついにはフォードが当時の絶対王者だったフェラーリを打倒して、アメリカ車が欧州の伝統的なレースで頂点を奪取するという快挙をもたらす。
サーキットを舞台にしたアメリカ車の挑戦はこうしてひとまずの成果をあげたわけだが、公道走行可能なスポーツカーで欧州製スポーツカーと総合性能を競えるモデルは皆無に近く、唯一シボレーが量産していたコルベットだけが対抗馬としてギリギリ挙げられるか? といった状況が続いた。
そしてついに、初代コルベット(C1型)が1953年に誕生してから半世紀以上を経た2019年、欧州車と公道仕様でも互角以上にわたり合える現行の8世代目(C8型)コルベットが発表された。
8世代目でコルベット初のミッドシップレイアウトを採り入れ、欧州製スポーツカーと互角以上に張り合える性能を手に入れたC8型。2021年に待望の日本国内デリバリーを開始してから3年、内外装をアップデートした2025年モデルの販売がスタート。
自然吸気の6.2リッターV型8気筒OHVエンジンを搭載
伝統のフロントエンジン/リヤ駆動のレイアウトから、リヤミッドシップレイアウトへと大きな変革を遂げた無印のC8コルベットは、そのいっぽうでスポーツカーの主流から外れたOHV(オーバーヘッドバルブ)エンジン(LT2)を頑なに搭載する頑固モノ。
最高出力502ps/最大トルク637Nmのエンジンスペックによる最高速度312km/h/0-100km/h加速2.9秒は、欧州勢に引けを取らない動力性能であり、サスペンションをアクティブに制御するマグネティックセレクティブライドコントロールの採用も相まって、極めて高いパフォーマンスを実現する。
ミッドシップ化によりノーズが短くなったスタイリングは、パッと見ではライバル達と差別化しにくくなったとはいえ、これも最先端スーパーカーのトレンド。エッジの効いたアピアランスは新世代コルベットにふさわしく、欧州製スーパーカーと真っ向勝負できるメイドインアメリカのスーパーカーへと進化した。
リアミッドに搭載される6.2リッターV8(LT2)は、最高出力502ps/最大トルク637Nmを発生。8速DCTを介して最高速度312km/h/0-97km/h加速2.9秒を記録する。コクピットはドライバーを包み込むタイトなデザインで、人車一体のスポーツカーらしいホールド性能を実現。
2025年モデルでは内外装をアップグレード
今回実施されたマイナーチェンジは、おもに内外装の拡充と価格の変更、そして装備の見直しになる。
エクステリアでは新たなリヤスポイラーが採用され、ボディカラーには「セブリングオレンジティントコート」が追加された。
ボディカラーは全8色(トーチレッド/レッドミストメタリックティントコート/アークティックホワイト/リップタイドブルーメタリック/ラピッドブルー/シーウルフグレートライコート/ブラック/セブリングオレンジティントコート)を設定し、グレードは2LTクーペ/3LTクーペ/コンバーチブルを用意する。
2025年モデルのシボレー コルベットは、2LTクーペ/3LTクーペ/コンバーチブルの3グレードを設定。ボディカラーは新色のセブリングオレンジティントコートを追加して全8カラーから選択できる(2LTクーペを除く)。
高い人気を誇るコンバーチブルは、オープンでもクローズドでもスタイリッシュ。フロントエンドを約50mmリフトアップさせる「フロントリフトハイトアジャスター」はコンバーチブルと3LTクーペでは標準装備とし、2LTクーペではオプション設定。
充実したインテリアカラーもポイント
スポーツカーでありながらラグジュアリーさも忘れないコルベットだけに、インテリアカラーも充実している。
2LTクーペのステアリングホイールは、エアバッグのカバーを従来の樹脂製に代えてより質感に優れる3LTクーペと同様のステッチ入りレザータイプに変更。
また、3LTクーペとコンバーチブルのインテリアカラーには、「ナチュラル」「アドレナリンレッドディップド」の2色を追加し、「ジェットブラック」と「スカイクールグレー」を含め全6色から選択可能だ。
3LTクーペとコンバーチブルには、シックな印象を与える「ナチュラル」とビビッドな「アドレナリンレッドディップド」を追加し、「ジェットブラック」と「スカイクールグレー」を含め全6色からインテリアカラーが選べるようになった。
高性能バージョン「Z06」も同時リリース
無印コルベットがOHVエンジンを搭載するのと異なり、高性能バージョンの「シボレー コルベット Z06」は、DOHC化された5.5リッターV型8気筒(LT6)を採用。最高出力646ps/最大トルク623Nmを発揮し、0-97km/h加速は2.6秒を誇る。
これまで期間限定予約のみだったZ06は、2025年モデルで通年受注を開始した。さらにボディカラーは無印同様に全8色から選択可能とし、インテリアカラーもこれまで1色のみだったのを改め、3LTクーペやコンバーチブルと同じ全6色から選べるようになった。
またオプション装備では、ブレンボ製パフォーマンスカーボンセラミックブレーキ」と、コルベット史上最高のダウンフォースを生み出す「Z07 パフォーマンスパッケージ」、バネ下重量のさらなる軽量化を達成する「ビジブルカーボンファイバーホイール」を用意。
エンジンルーム内には「LT6 レッドエンジンインテーク」を与えてレーシーさを際立たせ、さらにドアミラーカバーに「カーボンフラッシュメタリック」を新たに標準装備するなど、動力パフォーマンスにふさわしい装いが与えられている。
強力なダウンフォースを発生する「Z07 パフォーマンスパッケージ」をオプション設定し、レーシーなイメージを助長するエンジンルーム内の「LT6 レッドエンジンインテーク」とドアミラーカバーの「カーボンフラッシュメタリック」は標準装備する。
専用のオレンジカラーが印象深い「ブレンボ製パフォーマンスカーボンセラミックブレーキ」と、軽量性能を突き詰めた「ビジブルカーボンファイバーホイール」をオプションで用意。サーキットユースでは大きな武器になるだろう。
パフォーマンスを考えればバーゲンプライス、 お値段は1420万円〜
ライバルたちに比べれば、1000万円半ばから選択可能なコルベットは十分お買い得。スタイルもスーパーカーの方程式に則っているし、押しの強さもあるから、所有欲を満足させられるのは間違いないところ。
サーキットユースを考えればトップモデルのZ06を選びたいが、フルオプションを与えると3,000万円を超えてライバルたちと変わらなくなるため、購入前には熟慮を重ねてしっかり試乗することをオススメする。
■車両価格
●モデル | 価格 | |
シボレー コルベット 2LT クーペ | 1420万円 | |
シボレー コルベット 3LT クーペ | 1695万円 | |
シボレー コルベット コンバーチブル | 1845万円 | |
シボレー コルベット Z06 3LZクーペ | 2580万円 | |
●オプション ・2LT クーペ:「フロントリフトハイトアジャスター」 ・Z06:「ブレンボ製パフォーマンスカーボンセラミックブレーキ」 ・Z06:「Z07 パフォーマンスパッケージ」 ・Z06:「ビジブルカーボンファイバーホイール」 | 40万円 190万円 100万円 265万円 |
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