
新車価格が徐々に上がってきている昨今。しかし中古車市場を見てみても、モデルによっては新車価格の数倍?! なんてことも。もう少し現実的に、「ちょっと頑張れば手が届く」国産スポーツをピックアップしてみよう。300万円以下で買える国産車シリーズ、今回はNC型、その中でも初期型にあたるNC1型ロードスターにスポットライトを当ててみた。
●文:松村 透(月刊自家用車編集部)
マツダ ロードスター[NC1] 概要
2005年8月、マツダ ロードスターは”3代目”となるNC1型にフルモデルチェンジした。なお初代モデルにあたるNA型から継承する「人馬一体」の開発コンセプトは、3代目になっても継承されている。
各部の構成など基本的にはNA型を踏襲したNB型に対し、3代目にあたるNC型では各パーツを刷新。プラットフォームはRX-8と共通となり、3ナンバーモデルに。
しかし”ロードスターらしさ”は追求すべく、徹底してボディの軽量化が行われた他、重量配分の最適化を実施。環境および安全に対する配慮も行いつつ、ライトウェイトオープンスポーツカーとしての性能向上に注力している。
エンジンは、軽量かつコンパクトな新開発の2リッターMZR(L型)エンジンが採用され、トランスミッションは5速/6速MTに加えて6速ATも用意された。ちなみにこのモデルから、車両盗難を防止するイモビライザーが全車に標準装備されている。
さらに、デザインについてもNA型およびNB型のデザインから一新され、モダンかつ親しみやすいスタイリングに生まれ変わった。インテリアは開放感とホールド感を重視しつつ、2000年代のクルマにふさわしいクリーンな造形へとアップデートされている。
上級仕様となるVSグレード。6速マニュアルトランスミッションと6速オートマチックトランスミッション(アクティブマチック)が選べた。
VSはサドルタンインテリアを採用してインテリアも上質な雰囲気。本革シートはシートヒーター付きだ。
マツダ ロードスター[NC1] デビュー時グレードの主要諸元
ロードスター[STD]
- 全長×全幅×全高:3995×1720×1245mm
- ホイールベース:2330mm
- 車両重量:1090kg(MT)/1100kg(AT)
- 駆動方式:FR
- トランスミッション:5速MT/6速AT
- エンジン:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
- 排気量:1998cc
- エンジン最高出力:170ps/6700rpm(MT)/166ps/6700rpm(AT)
- 最大トルク:19.3kg-m/5000rpm
- タイヤサイズ:205/50R16 87V(フロント&リヤ)
RS
- 全長×全幅×全高:3995×1720×1245mm
- ホイールベース:2330mm
- 車両重量:1100kg
- 駆動方式:FR
- トランスミッション:6速MT
- エンジン:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
- 排気量:1998cc
- エンジン最高出力:170ps/6700rpm
- 最大トルク:19.3kg-m/5000rpm
- タイヤサイズ:205/45R17 84W(フロント&リヤ)
VS
- 全長×全幅×全高:3995×1720×1245mm
- ホイールベース:2330mm
- 車両重量:1090kg(MT)/1100kg(AT)
- 駆動方式:FR
- トランスミッション:5速MT・6速AT
- エンジン:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
- 排気量:1998cc
- エンジン最高出力:170ps/6700rpm(MT)/166ps/6700rpm(AT)
- 最大トルク:19.3kg-m/5000rpm
- タイヤサイズ:205/50R16 87V(フロント&リヤ)
登場時に限定500台で販売された3rd Generation Limited。クロームのピラー、レッドのインテリアなどが目を引く。
全幅は1720mmとなり、3ナンバーサイズに。またシリーズを通じて初めて2リッターエンジンを搭載。6速マニュアルトランスミッションは、滑らかかつ確実なシフトフィールを目指し新開発。5速マニュアルトランスミッションも、操作性を向上。
新車時の価格と中古車の価格帯
マツダ ロードスター[NC1型]
- 生産期間:2005年8月~2008年11月
- 新車時価格:220万円〜305万円
- 中古車の価格帯:29.8万円~176.7万円
20年前に造られたクルマとしてはやや高めの相場ではあるが、一部のモデルにプレミア価格がつきはじめている2代目モデル(NB型)と比較しても、NC1型ロードスターの相場は全体的に落ち着いている印象を受ける。
しかも、走行距離やグレード、ボディカラーなど、ある程度は条件を絞り込んでもクルマが見つかる状況にある。つまりは「それなりにタマ数がある」ということだ(ちなみにNC2型となると、相場は上がってくる)。
コンディションの良い個体を手に入れ、そこからある程度の金額をかけてリフレッシュしつつ好みにカスタムしても、300万円以内の予算で収まるだろう。
スポーティグレードであるRS。17インチアルミホイールやビルシュタイン製ダンパーなどを採用。
買いか否か:「NC型推しであれば、選択肢が豊富な今のうちに」
現行モデルにあたるND型の中古車も、ある程度選択肢は豊富だ。ただ、北米のニーズも多く取り入れたNC型の特徴として、排気量の大きさと走行安定性の高さがある。
2リッターという他の型にない大きな排気量の恩恵で、カスタム/チューニングしてサーキットで走らせてもストレス少なく楽しめる。
また高い安定性のおかげで高速道路などの長距離移動も比較的得意としているので、ドライブ好きにもおすすめだ。
対して”先祖返り”したND型は、ヒラヒラとした軽快感が売り。
歴代ロードスターのなかでも、ある意味オールラウンダーともいえるNC型。このデザインが好みであれば、選択肢が豊富なうちに理想の1台を手に入れる価値は十分にありそうだ。
レース仕様のベースモデル、NR-Aは2006年3月に登場。
スタンダードグレードをベースとしつつ、特別装備として、車高調整機構付きビルシュタイン製ダンパー/トルクセンシング式スーパーLSD/フロントサスタワーバーなどを採用。
パワーリトラクタブルハードトップモデルも、2006年8月に登場。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※中古車価格は大手中古車サイトの情報をもとにした、編集部調べです。
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