
東京オートサロンにおいて、ダイハツのハイゼットコンセプトカー「PTOダンプ 大発命」は、自動車メーカーがデコトラをホンキで造った!と話題を集めた1台。しかし、このマシンの真髄は、ド派手なメッキパーツやステンレス製のシートデッキだけにとどまらない。一歩車内に足を踏み入れれば、そこには軽トラックの概念を覆す豪華絢爛な世界が広がっていたのだ。
●文/写真:月刊自家用車編集部(竹野由志雄)
ダイハツが本気で挑んだデコ軽トラ「大発命」
1960年(昭和35年)の初代モデルデビュー以来、10代にわたって製造され、多くのユーザーの支持を受け続けてきたダイハツの軽トラック「ハイゼットトラック」。
4代目モデル(1971年~’80年)あたりからデコトラのベース車としても多くの車両が使われてきたが、メーカーであるダイハツがハイゼットを「飾った」(デコトラファンはトラックをカスタマイズすることを「飾る」というのだ)のは史上初だろう。
これまで東京オートサロンではアフターのパーツメーカーやカスタムプロショップによるデコ軽トラのデモカー出品はあったが、自動車メーカーのデコトラは前代未聞。
2014年から2019年にかけて日野自動車が東京オートサロンや大阪オートメッセにブースを出展し、小型トラックのデュトロや中型車のレンジャー、大型車のプロフィアのコンセプトカーを出展したこともあったが、こちらもデコトラではなく、カスタムトラックといえる造りをしていた。
ベース車は現行ハイゼット(S700)のPTOダンプ。PTOとはPower Take-Off)の略で、エンジンの動力を利用して荷台を上下させる装置のこと。ハイゼットのダンプにはこのPTOのほかに、電動モーター式がラインナップされている。
ハイゼットトラックのPTOダンプをベースにした「ハイゼットトラックPTOダンプ 大発命」。
こちらは東京オートサロン2019と大阪オートメッセ2019に出品された日野プロフィアのコンセプトカー。レーシングチームのトランポを彷彿させるスポーティなカスタマイズが施されていた。
そして今回、ダイハツがコンセプトカーとして出品した「デコ軽トラ」は、ハイゼットトラックのPTOダンプをベースにした「ハイゼットトラックPTOダンプ 大発命」。
デコトラファンが造った既存のデコトラではなく、メーカーであるダイハツが製作し、架装した車両ということが凄いところ。
フロントグリルには映画『トラック野郎』の「一番星」よろしく「大発命」と描かれたバスマークアンドンが掲げられていた。そのバスマークアンドンの形状がかつての日野のウイングマークのような形状だったのは、ダイハツがトヨタグループだからゆえか。
さらにフロントバンパーは純正バンパーをメッキ化して左右に縦のアンドンを配置し、デコトラの人気定番パーツ「キャデラックバンパー」(’70年代のキャデラックのフロントまわりをモチーフにした、両サイドが張り出した形状のバンパー)を彷彿させるスタイルに造形。
しかもメーカーらしく、軽自動車の枠からはみ出さないサイズで施工されていた。またバンパーの下には角型のLEDマーカーも並べられる。
フロントバイザーや角パイプを使用したミラーステー、さらにはルーフ上のシートデッキというアートパーツもすべてステンレスで製作。バイザーには「お客様に寄り添い、暮らしを豊かに」というダイハツ創業以来の企業理念がアンドンで掲げられていた。またシートデッキにはフロントと左右にダイハツのDマークをかたどったマーカーが配置されていた。
さらにフロントバイザーや角パイプのミラーステーもステンレスで製作。ルーフの上にはシートデッキと呼ばれるアートパーツもセットされている。
これらのアートパーツはデコトラの大手パーツショップで、パーツを製作し・架装する工房としても名高い群馬県の「トラックアート歌麿」にオーダーして製作してもらったとのこと。会場のスタッフの話では、「最初にお店にお邪魔したときは、『本当にダイハツがデコトラを作るの!?』と驚かれました」という声も聞くことができた。
フロントまわりだけでなく、サイドやリヤまわりも本格的なデコトラの仕様にアートアップ。サイドバンパーとリアバンパーをステンレスで製作し、前後のホイールにはタイヤと同じく回転する「ホイールマーカー」という電飾パーツも装備されていた。
デコトラ内装の王道「金華山」をメーカーが再現するなんて
派手な外観には驚かされたが、筆者的にはインテリアも凄かった。
本格的なデコトラに負けず劣らずアートアップされたキャビンには、正直「ここまでやるのか」というのが率直な感想だ。
細部にもコダワリがいっぱいで、シートカバーやドアトリムなどの生地は歴代ハイゼットのフロントフェイスと池田市の花さつきつつじと中津市の花さつきをイラスト化。デコトラ定番の内装生地「金華山」のような布地も使用されている。天井にはシャンデリアも配置されている。
内装もデコトラのスタイルを徹底追求。歴代ハイゼットの顔と池田市と中津市の花をイラスト化し、金華山織のように仕上げた生地をドアトリムやシート、天井などに貼り込み、また豪華なシャンデリアも装着されていた。
デコトラはその派手な姿から、一部の真面目(?)な人たちにはとかく敬遠されがち。だが、その日本独特なクルマいじりの文化は、実は海外のあらゆる業界からも「DECO-TORA」として注目されており、有名ファッションブランドのCMや海外ミュージシャンのPVなどでも露出されている。そして東京パラリンピックの開会式や大阪・関西万博でもデコトラが登場するなど、世界的な支持を集めるようになっている。
自動車メーカーであるダイハツが、自社の軽トラをとことんデコトラに飾り立てオートサロンに出品する。それは実に楽しく、遊び心あふれる試みのように感じられたのだ。
ダンプの荷台のフロント側にそびえ立つ「プロテクター(略称プロテク)」というパーツのフロント側には創業当初に開発された「吸入ガス発動機」が、リヤ側にはいにしえのヒット車、オート三輪の「ミゼット」が池田城の前を走る姿が手書きで描かれている。
サイドバンパーとリヤバンパーなどのステンレス製のパーツは、デコトラの有名工房「トラックアート歌麿」が製作。
ダンプ荷台のアオリはステンレスの波板で装飾、デコトラ定番の英字のレタリングは「ダイハツ エモいし 超おもろいで」とユニークな台詞になっていた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
雨の日に意外と困る「ドアミラーの水滴」 雨天時の運転では、フロントガラスならワイパーで視界を確保できる。サイドウインドウも、走行中であれば風によってある程度水滴が流れ、どうしても見えにくければ窓を一度[…]
イタリアの専門家監修! 自然な一体感と圧倒的な上質感 今回のインテリアガーニッシュは、イタリアの専門家がデザインを監修。室内の上質さと品格を高めるため、細部に至るまで徹底的にこだわり抜かれている。 最[…]
2026年8月 SUVランキングTOP5 2026年8月のSUVランキングでは、「ロッキー/ライズ/レックス」が1万958台で首位。トヨタ「ヤリス クロス」が5150台で2位、トヨタ「RAV4」が44[…]
キャッシュレス時代だからこそ「小銭だけ」を持ち歩く 今回、インプレするグッズとして選んだのは、ザ・ノース・フェイスの「ランブルコインワレット」だ。カラーは2色が用意されている。明るいフォールンロックと[…]
手のひらサイズのコンパクト設計。配線不要でポン付け完了 どうしても必要というわけではないが、なぜか惹かれるガジェットがある。今回紹介するコンパクトな後付けディスプレイもそのひとつだ。 現在のクルマには[…]
最新の投稿記事(全体)
本場フレンチの味を青空の下で!在日フランス大使館総料理長が初参戦 今回発表されたコンテンツ最大の目玉が、在日フランス大使館総料理長を務めるセバスチャン・マルタン氏の初登場だ。これまでカングーのキャンプ[…]
大幅刷新を図ったBYDの基幹モデル「ATTO 3 EX」が登場 2023年1月にBYDの日本市場参入第1弾として導入されて以来、扱いやすいボディサイズとEVならではの走り、充実した先進装備で人気を博し[…]
航続距離は300km以上へ! FCシステム&タンクの刷新でメンテナンス性も向上 2018年に初代モデルが登場した「SORA」だが、今回登場した新型は大きな進化を遂げている。 開発においては、いすゞとト[…]
1990年代のバブル絶頂期を彩った名車2台がレンタル可能に! 新たに仲間入りを果たした1台目の「セラ(1990年式)」は、バブル景気真っ只中の熱量が生んだ奇跡のようなモデルだ。頭上に開放的なガラスが広[…]
JAMAエリアに登場するインフラ協調型自動運転の試験車両。スバルブースで紹介される「価値育成型」モビリティ技術とともに、人と技術、社会インフラがつながる未来のカーライフをアピールする。 購入後もクルマ[…]
- 1
- 2



















