
ホンダのミドルサイズSUVの「本命」、新型CR-V e:HEVがついに日本国内で正式発表。先行して行われた北海道での雪上試乗では、新世代e:HEVと4WDシステムがもたらす高い信頼性と、上位モデルにふさわしい上質でしなやかな乗り心地を実感した。その模様をリポート!
待望のハイブリッド導入と進化したパワートレーン
SUVという言い方やジャンルが確立される前に初代CR-Vは誕生した。レジャー用途向けにキャビン実用性や悪路性能を高めた設計は現在のSUVに通じるものであり、ミドルSUV市場の中心的な存在となる一車だ。6代目となる現行型は2022年に北米で発表され、日本には2024年に導入されている。
ただし、この時のモデルはFCEVであり、駆動方式も2WD。SUVの主市場に向けたとは言い難かった。ホンダの国内ミドルSUV戦略はCR-VからZR-Vにスイッチか?とも思われたが、このほどついに待望のハイブリッドの導入が決定した。北米市場でも人気のe:HEVモデルだ。
同モデルはカテゴリーの基本パワートレーンとなっているHEVというだけでなく、発電機と駆動モーターの設計自由度を向上させた平行軸レイアウトやPCUの高効率化、エンジンの高熱効率稼動域の拡大を図った新世代型e:HEVが採用されている。また、牽引用途の需要もあるSUVということで上級クラス向けに開発された2速型のエンジン直動機構も採用されている。
●雪上試乗で実感した!e:HEVと4WDの高い信頼性
モーター出力に余裕があるため、路面抵抗が大きい積雪時でもアクセル調整がしやすかった。
今回、正式発表に先立って真冬の北海道で試乗する機会に恵まれた。コースは圧雪路面を基本とした欧州の郊外路を模したもの。残念ながら、2速化によりカバーレンジを大きく拡大したエンジン直動機構の効果を試すことはできなかったが、変速比はローモードが5速MTの3速相応、ハイモードが5速相応となり、約30km/hか直動機構が作動し、作動時はパラレルHVとして制御される。
付け加えるなら最高速度はハイモード稼動で出るとのこと。見方を変えるならエンジン本体はほぼ全域で大量クールドEGRと急速燃焼制御が成され、巡航を基本にするもののパラレル制御域の拡大と効率向上が図られている。
雪の抵抗も大きな雪路ということで、意外とアクセルの踏み込み量は大きくなるが、駆動モーターのパワースペックはミドルSUVとしてはゆとりがあり、一般路相当の速度や勾配くらいは浅い踏み込みであっさりと走破してしまう。もちろん、滑りやすい路面なので加減速も頻繁かつ急操作は禁物が大前提だが、それにしてもe:HEVの4WD車だけあって不安は皆無。難点を挙げるなら雪景色で路肩やコーナーの深さが見切れないことくらいだ。
優れた操縦性としっとりとした上質な乗り心地
路面からの突き上げも上手に抑え込まれており、上級モデルにふさわしい落ち着いた乗り心地を実現。
雪路のホンダSUVの4WD車は素直な追従性と穏やかな収束性を軸にした操縦性やスタビリティ制御等の電子デバイスの効果で御しやすさが特徴。今回の試乗では比較用にヴェゼルとZR-Vも用意されていたが、いずれも同様の傾向で上手にまとめられている。
ただし、雪路ではサイズや重量はハンデであり、軽量小型の2車と比較するとCR-Vは厳しいのではとも思えたが、それは杞憂だった。オーバースピードでラインがはらみそうな時にアクセルオフでステアを深切り、後半がきつくなるコーナーなら切り増しと減速。特別なドラテクを用いることなく普通の運転で済んでしまう。回頭やライン変化の応答性がよいにも関わらず揺れ返しが抑えられ、挙動収束性も良好なので神経質な操作を必要としない。
一方、乗り心地はホンダSUVの上位モデルが実感できた。これも雪路限定の評価になるが、路面凹凸は一般路よりも大きく多く、路面からの突き上げも未舗装路に近い。そんな状況でもCR-Vの乗り心地は穏やかだ。跳ね上げられるような振動が少なく、しなやかなストローク感がいい意味での重質な味わいや車格感を感じさせてくれた。
新型CR-Vとの比較用にZR-Vとヴェゼルも準備されていた。路面の凹凸をいなす足回りやジェントルなパワー特性など試乗した印象は基本的には共通。車格が上がるほどにその傾向がより明確になる。
快適性のもうひとつのポイントとなる静粛性は走行環境を考えれば優秀。深くアクセルを踏み込んだ加速時のエンジン音はとても静かに感じられた。雪の跳ね上げ等のフロアからの騒音にマスキングされた分を差し引いてもエンジン音は音質音量共に乗員にも優しいものだ。
スポーティな味わいとか迫力を求めるドライバーは物足りなさを感じるかもしれないが、ゆったりとしたツーリングやレジャーを楽しむSUVとしては相応しい。
2グレード構成の「RS」が上質なミドルSUVを提案
CR-V e:HEVはRS及び同グレードに専用の内外装とHUDや電動サンルーフの装着、前方交差車両警報等を採用したホンダセンシング360へのアップグレードなどが施されたRSブラックエディションの2グレード構成となる。
前席パワーシートやパワーテールゲート、グーグル搭載9インチホンダコネクトディスプレイ、BOSEオーディオなど実用性や基本運転支援装備は両グレードに共通しているので、ブラックエディションは上級志向のセットOP仕様と考えてもいいだろう。
その他の同グレード名ホンダ車のRSのグレードイメージからするとスポーツ志向の強いモデルと思われそうだが、今回の試乗で感じたのは頼もしさだった。雪路や未舗装路での扱いやすさや乗り心地はファミリー&レジャー用途のためのSUVの基本であり、CR-V e:HEVがミドルSUVの基本適応用途にきっちりと適応していることを改めて感じた。RS系のみの設定で価格のハードルはちょっと高くなりそうだが、上質なミドルSUVのHEV選びでは欠かせない一台と言えるだろう。
◆ホンダ新型CR-V希望小売価格
| タイプ | パワートレイン | トランスミッション | 駆動方式 | 乗車定員 | 価格 |
| e:HEV RS | 2.0L直噴アトキンソン サイクルエンジン + 2モーターハイブリッド | 電気式無段変速機 | FF | 5名 | 512万2700円 |
| e:HEV RS BLACK EDITION | 4WD | 539万2200円 | |||
| 4WD | 577万9400円 |
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