
パナソニック オートモーティブシステムズは、ロードノイズとエンジンノイズの双方に対応する世界初の「統合型アクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)」を開発した。独自の広帯域信号処理アルゴリズムにより、これまで困難だった複雑な騒音の高精度なリアルタイム制御を実現。このシステムは、先月発売されたされた日産自動車の新型「エルグランド」に初搭載され、車内の静粛性向上と快適な空間づくりに貢献している。
●文:月刊自家用車編集部
統合型アクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)
車両ごとに異なる音響特性・車体振動特性・スピーカー特性を総合的に解析し、加速度センサーやマイクの最適配置。あらゆる走行環境においても安定した性能を発揮するノイズ低減制御を実現する。
複雑化する車室内のノイズ問題は、かなり高度な課題であった
パナソニック オートモーティブシステムズは、業界トップクラスの技術力を結集し、シリーズハイブリッド車特有のノイズ課題を解決する世界初の「統合型アクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)」を開発した。
このシステムは、日産の新型「エルグランド」(XグレードおよびGグレードの標準オーディオ仕様)に採用されており、量産車として初めて搭載される画期的な技術である。
車室内の快適性を左右する「静粛性」の向上は、自動車開発における永遠のテーマだった。走行中の車内には、主にエンジンノイズとロードノイズの2種類のノイズが侵入してくる。これまでは、これら2つのノイズは性質が大きく異なるため、個別の制御システムが必要だった。特にロードノイズは、広帯域かつ不規則に変化するため、リアルタイムでのノイズ低減制御が非常に難しい技術領域とされてきた。
取得した振動データは、パナソニック独自の広帯域信号処理アルゴリズムによってリアルタイムで解析され、車内に響く騒音を事前に予測・演算する。画像は、新型エルグランドと統合型ANC搭載オーディオアンプ
広帯域信号処理アルゴリズムによってリアルタイムで解析され、車内に響く騒音を事前に予測・演算する
パナソニックが開発した「統合型ANC」は、これまで別々に処理されていたロードノイズとエンジンノイズを、ひとつのシステムで同時に低減できる革新的なソリューションなのである。
システムは、車両の各所に配置された「加速度センサー」を活用し、このセンサーが、騒音と高い相関関係にある車体からの振動を瞬時に検知。取得した振動データは、パナソニック独自の広帯域信号処理アルゴリズムによってリアルタイムで解析され、車内に響く騒音を事前に予測・演算する。
その後、車載のオーディオスピーカーから元の騒音と「逆位相(波の山と谷が逆になる波形)」の制御音を発生させる。これにより、音波同士がぶつかり合って干渉し、車内の騒音を物理的に打ち消す仕組みとなっている。
常に高精度なリアルタイム制御を行うため、走行条件が変わっても安定したノイズ低減性能を発揮する。
ハイブリッド車をはじめとする電動化車両の車室内を「より上質で静かな空間」へと進化させる、将来への重要なステップとなる
従来のエンジンノイズ向け狭帯域制御から大きく進化し、本技術は広帯域の騒音に対応可能だ。路面の凹凸や車速の変化に瞬時に追従し、常に高精度なリアルタイム制御を行うため、走行条件が変わっても安定したノイズ低減性能を発揮する。 さらに、このシステムは「ロードノイズやエンジンノイズ」のみを標的とするよう設計されているため、人の話し声や音楽などは相殺されず、車内での家族との会話や音楽鑑賞、ハンズフリー通話をよりクリアな音質で楽しむことができるというわけだ。
今回、この統合型ANCが新型エルグランドに搭載されたことは、ハイブリッド車をはじめとする電動化車両の車室内を「より上質で静かな空間」へと進化させる重要なステップである。パナソニックの高度な信号処理技術と音響チューニング技術の融合が、これからの次世代モビリティにおける快適性のスタンダードを大きく引き上げることが期待される。
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