「32年前、CMにキムタクを起用して大バズリ!」  “乗用車ベースのSUV”という衝撃的なコンセプトで世界の常識を覆したクルマ【トヨタ・RAV4】│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「32年前、CMにキムタクを起用して大バズリ!」  “乗用車ベースのSUV”という衝撃的なコンセプトで世界の常識を覆したクルマ【トヨタ・RAV4】

「32年前、CMにキムタクを起用して大バズリ!」  “乗用車ベースのSUV”という衝撃的なコンセプトで世界の常識を覆したクルマ【トヨタ・RAV4】

悪路をものともしない頑強さではラダーフレームに劣るものの、モノコックは圧倒的に軽い。そのため走行性能や燃費に優れ、乗り心地は格段に良くなる。そんなモノコック4WDはジープ・チェロキーXJなど1980年代に既にアメリカで登場してはいたが、それらは相変わらず大きくそして重かった。RAV4が近年のSUVブームの火付け役とされるのは、本格的な4WD機構を持ちながら、全長はスターレットクラスという初心者や女性にも乗りこなせる気軽さにあった。国内月販2000台と控えめな販売目標でスタートしたRAV4だが売れ行きは予想をはるかに超え、デビュー翌年に5ドアが追加されるとさらに人気は加速していった。斬新なコンセプトはもとより、きびきびした走りやデザイン、フレキシブル・ビークルの名に恥じない豊富なシートアレンジなど、初代RAV4を今なおトヨタ最高の意欲作という人は少なくない。

●文:横田晃(月刊自家用車編集部)

RAV4 Lツインサンルーフ(1994年)

バックドアの内側に収納する脱着式ツインサンルーフは前が3.6㎏ 、後ろが2.4kgの重量。3万9000円でメーカーオプション。トヨタオート店扱いのJ(ジョイフルの意)とカローラ店扱いのL(リバティの意)ではグリルが違う。RAV4Jは欧州仕様と同じ丸い穴あきグリルを採用した。

主要諸元 RAV4 L(1994年式)
●全長×全幅×全高:3695㎜ ×1695㎜ ×1655㎜ ●ホイールベース:2200㎜ ●車両重量:1150㎏ ●エンジン(3S-FE型):直列4気筒DOHC1998㏄ 16バルブ●最高出力(ネット):135PS/6000rpm ●最大トルク(ネット):18.5g・m/4400rpm●10・15モード燃費:12.6㎞ /L●最小回転半径:5.0m●燃料タンク容量:58L(レギュラー)●サスペンション(前/後):マクファーソンストラット式コイル独立/ダブルウィッシュボーン式コイル独立●ブレーキ(前/後):ベンチレーテッド・ディスク/リーディングトレーリング●トランスミッション:前進5段マニュアル●タイヤサイズ(前・後):215/70R16●乗車定員:4名 ○価格(東京地区):176.9万円

RAV-FOUR(コンセプト)

スプリンターカリブベースで、市販車よりずっとクロカン色が強かったショーモデル。2シーターで助手席もたため、トライアルバイクを積み込むこともできた。

華麗なショーモデルたちの中、トヨタの世界戦略車となる金の卵「RAV-FOUR」が登場

バブル景気真っ盛りの1989年。幕張メッセのこけら落としとなった第28回東京モーターショーの会場には、世界の頂点に立とうとしていた日本メーカーの注目車が目白押しだった。

トヨタセルシオやユーノスロードスター。日産のR32型スカイラインGT-RとZ32型フェアレディZもそろい踏み。ホンダNSXやバタフライドアのトヨタセラも、このショーに参考出品されて翌年に発売されたモデルだ。

コンセプトカーでもトヨタ4500GTや三菱HSR-Ⅱ、いすゞ4200R、スバルがF!用に開発した水平対向12気筒を積むジオット・キャスピタなど、高級車や高性能車が人気者だった。

じつはその会場には、30年後に北米一のベストセラーに成長する”金の卵“もあった。トヨタのブースで、豪勢なセルシオや4500GTの傍らに展示されたそれは、高級でも高性能でもない。まるでオモチャのような、遊び心を感じさせる軽やかなフォルムで異彩を放つ4WD車のコンセプトカーだ。化粧プレートの車名は「RAV-FOUR」と記されていた。

国際商品である自動車の商品企画には、門外漢の想像を超える手間と時間がかかっている綿密な市場調査から導き出されたユーザーの嗜好や、世界のライバルの動き、さらに輸出先や現地生産工場の技術的・経済的な要件など、設計図を引く前の段階から、検討すべき項目は膨大だ。

とくにまったく新しいコンセプトの新型車は、モノ作り以前のリサーチや分析が成否を左右する。モーターショーでスポットライトを浴びるコンセプトカーも、そうしたリサーチの大事なツールだ。

この時のRAV-FOURは、それまでのスペシャリティカーやクーペに代わる、新しいデートカーのアイデアを世に問い、近い将来の商品化の可能性を占うコンセプトカーだった。

それから4年後。バブル景気崩壊のダメージがいよいよ顕在化しつつあった1993年の東京モーターショーに出展された発売間近のRAV4は、コンセプトカー時代の特徴だった軽やかなたたずまいは残しながらも、すっかり洗練された乗用車に仕上げられていた。

脱着式のルーフなどの、遊び心たっぷりのディテールも健在。半年後の発売時には、1993年のTVドラマ「あすなろ白書」での好演で人気に火がついた21歳の木村拓哉をCMに起用し、話題を呼ぶ。さらにRAV4は、登場翌年の1995年4月に加えられた5ドアで、新時代のファミリーカーとしても認知されることになった。

初代RAV4は当時のセリカやカローラの主要パーツを巧みに組み合わせて生まれた。2Lのエンジンもセリカと同じ。4WDシステムもセリカGTFOURと同じベベルギヤ式のフルタイム方式で、きちんとストロークが確保された前後独立のサスペンションを備え、ラフロードの走行性能も一般ドライバーには十分なレベルだった。

最初に発売された3ドアはチョロQを思わせるキュートなプロポーション。クルマの個性としては、オフロードも走れるパーソナルクーペという感覚だった。

クラスター部分をドライバー側に大きく張り出させたデザインで、スイッチ類に手が届きやすい。このデザインはラジカセをイメージしたもの。キー付きのグローブボックス、大型ドアポケットや4人分のカップホルダー、また後席左右にリッド付きのボックスを設けるなど車内収納は豊富。

カジュアルな色使いのフルファブリックシート。後席も左右独立でフルリクライニングが可能

排気量は全車2Lだが、高効率を重視したハイメカツインカムの3S-FE型135PSと高性能型の3S-GE型160PSを用意。5速MTも選択できた。ATは電子制御ながらまだ4速。

タフな外観にライトな乗り味…、新鮮なコンセプトはSUVの本場でも人気に

バブル景気に向かう1980年代は、RV(レジャー・ビークル)=遊びグルマの人気が高まった時代だ。豊かになった日本人は余暇を満喫し、その足として従来のセダンやクーペとは違う乗り物を求めた。

そのひとつのトレンドが、商用車ベースの1BOXカーから派生したミニバンであり、もうひとつが、パジェロやハイラックスサーフなどのヘビーデューティなオフロード4WD車だった。

ミニバンは主にファミリーに、オフロードカーはアクティブな若者を中心に支持されていたが、本格的な悪路の走破性が売りの4WD車は、街乗りのデートカーとしては不向きな面も多かった。フレーム付きの頑丈なメカニズムは車重がかさみ、決して軽快とは言えないハンドリングや燃費の悪さというネガも問題だった。

RAV4の商品企画の狙いは、まさにそこだった。スキー場までの雪道やデイキャンプで乗り入れる河原程度の悪路なら問題なくこなせる走破性と、高速道路やちょっとしたワインディングロードを気持ちよく走れるオンロード性能を兼ね備え、乗用車としての使い勝手と乗り心地と経済性も満たす、新鮮なデートカー。

その最適解として選ばれたのが、乗用車用横置きエンジンベースのフルタイム4WD機構をモノコックボディに積む、新発想の”オンロードSUV“だった。

それは北米市場のニーズともマッチしていた。彼の地では昔から、遊びの足となるセカンドカーとしてピックアップトラックが普及しており、その荷台をキャビンに仕立てたSUVが、1980年代の売れ筋になっていた。当時の日本でも人気を呼んだハイラックスサーフも、その市場を狙ったモデルだ。

トラックベースの頑丈な造りに、荒地にも乗り入れられる走破性を兼ね備えたタフなSUVだったが、市場調査をしてみると、本場の北米でも、そこまでのスペックを必要とするユーザーばかりではなかった。SUVならではの見晴らしのよさや使い勝手は好きだが、もっとライトなクルマでいい。そんな声にRAV4は応えたのだ。

もっとも、クーペから乗り換えるデートカーを狙った3ドアボディが思ったほど伸びなかったのは、開発者には誤算だったかもしれない。初代RAV4の3ドアはキュートで魅力的なデザインだったが、5ドアが登場すると北米でもそちらが売れ筋になっていった。

じつは当時の北米で精悍さが重要視され出し、ミニバンの人気が急速に衰え、タフなイメージのSUVが、新しいファミリーカーとして人気を呼びつつあったのだ。

RAV4 L V(1995年)

ホイールベースが210 ㎜ 延長され、後席と荷室を拡大したV。全長は4105 ㎜ となったが、それでも当時のターセル/コルサとほぼ同サイズ。後席はホイールハウスの緩衝がなくなった分、とくに横方向が拡大し3人乗りとなった。

主要諸元 RAV4 L V(1995年式) 
●全長×全幅×全高:4105㎜ ×1695㎜ ×1660㎜ ●ホイールベース:2410㎜●車両重量:1220㎏ ●エンジン(3S – F E型):直列4気筒D O H C1998 ㏄ 16バルブ●最高出力(ネット):135P S/6000rpm●最大トルク(ネット):18.5g-m/4400rpm●10・15モード燃費:12.6㎞ /L●最小回転半径:5.4m●燃料タンク容量:58ℓ(レギュラー)●サスペンション(前/後):マクファーソンストラット式コイル独立/ダブルウィッシュボーン式コイル独立●ブレーキ(前/後):ベンチレーテッド・ディスク/リーディングトレーリング●トランスミッション:前進5段マニュアル●タイヤサイズ(前・後):215/70R16●乗車定員:5名 ○価格(東京地区):189.9万円

3ドアがオリジナルデザインという説は、こうして比べると納得できる。デザイナーが楽しんだ様子がうかがえる3ドアに対して、翌年に出た5ドアはちょっと窮屈な印象だ。

RAV4 J ソフトトップ(1997年)

1997年のMCで追加になったソフトトップ。前方が脱着式ハードトップ、後方が折りたたみ式の幌。内装もカーボン調メーター、モモ製ステアリングが採用されている。

RAV4を追ったライバルたちが火をつけたオンロードSUVブーム

狙い通りに、RAV4は世界の市場でたちまち人気を呼んだ。登場翌年の1995年には、同様に乗用車をベースとしたホンダのCR-Vがデビューしたが、両車はそれぞれの個性で棲み分けて、市場ではむしろ相乗効果で売れたのだ。

走りもデザインもスポーティなRAV4に対して、CR-Vはフラットフロアの広い室内空間やウォークスルーも可能なシートレイアウトなどの、ミニバン的な使い勝手でファミリーから好評を得た。

その後を追った日本のオンロードSUVたちも、それぞれに個性豊か。重心の低いボクサーエンジンを特徴とするスバルのフォレスターは、路面を選ばない安定した走りで評価されたし、日産エクストレイルの、プレイギアとしての完成度の高さも世界で認められた。1997年のハリアーは北米ではレクサスブランドで売られて、高級オンロードSUVというジャンルを確立し、メルセデスベンツやBMWにも後を追わせるのだ。

かつては安かろう悪かろうと言われ、何を作っても欧米のモノマネと言われた日本車は、RAV4を嚆矢とするオンロードSUVの市場においては、まさに百花繚乱の日本車らしい個性の競演を見せたのだった。

ただし、そうして世界で認められたRAV4は、国際商品だからこそのジレンマを抱えることになる。海外、とくに北米市場からの、絶え間ないサイズアップのオーダーに応える必要に迫られたのだ。

5ドアも5ナンバーの小型車サイズに収めた初代に対して、2000年に登場した2代目RAV4は、早くも全幅1735㎜の3ナンバーワイドボディを採用する。それでも、最初から全幅1750㎜を選んだ初代CR-Vよりコンパクトだったが、2005年の3代目では1815㎜と、あっさり当時のクラウンの全幅をも超えるのだ。この時代には、北米の要望で3列シートのバリエーションも誕生。日本ではヴァンガードとして売られた。

世界のSUVが肥大化していったこの時期に、日本の国内市場ではミニバンと軽自動車という国内専用モデルのニーズが膨らんでいった。結果、2013年に誕生した4代目RAV4は、日本市場への導入を見送る。皮肉なことに、そうして海外市場のニーズに特化した4代目は、それまでのベストセラーだったカムリをも抜き去る、北米のベストセラーとなった。

2018年に出た先代の5代目RAV4は、5年ぶりに日本にも導入され、正統派SUV路線として好評を博すことになる。RAV4が確立したオンロードSUVは、もはやブームではなく、世界で定着した新しいカテゴリーとなったのだ。

2nd RAV4(2000-2005)

より広く快適な正常進化で日本より海外でブレイク
2代目RAV4は、車幅こそ5ナンバー枠を超えたものの、企画としては正常進化。3ドア、5ドアともに初代を洗練し、より使い勝手も向上させている。環境が叫ばれる時代に対応して、4WD車には、2Lのガソリン直噴エンジンを搭載。2WD車のエンジンは1.8Lにダウンサイズしている。ABSやブレーキアシストも標準装備だ。

3rd RAV4 (2005-2016)

海外の要望を受けて大型化5ドアのみのラインナップへ
全幅が1.8mを越えた3代目は、世界戦略車としての個性に軸足を移した。新世代プラットフォームを持つ高剛性ボディは、走りの素性を大きく向上。4WDシステムには、前後の駆動力配分を走行状況に応じて変化させるアクティブトルクコントロールを採用。駆動力とステアリング、ブレーキとトルク配分の高度な協調制御も搭載した。

4th RAV4 (2013-2018)

好評の海外市場に的を絞ったスポーティな個性で大ヒット
日本市場への導入が見送られた4代目RAV4は、世界的にはベストセラーとなった。日本人の好みを意識せず、海外ニーズに寄り添った商品企画から生まれたデザインは、SUVとしては異質なワイド&ローなもの。歴代モデルの中でも、最も土の匂いのしない造形だ。低重心のフォルムで、オンロード性能はさらに高められていた。

5th RAV4 (2018-2025)

SUVらしいワイルドな個性に回帰COT Yも受賞して世界戦略の核となる
北米では2018年11月に発表され、日本市場でも2019年4月に発売された現行RAV4は、狙い通りの人気を呼んだモデルである。およそ2年ぶりに復活した日本国内では、発売1か月で目標台数の8倍を受注。。国内ではシリーズ初となる、後輪をモーターで駆動するハイブリッド4WDも人気となった。

6th RAV4 (2025-)

6代目となる現行RAV4は、「Life is an Adventure」をテーマに、伝統の塊感ある力強いデザインを維持しつつ、「多様化」「電動化」「知能化」をキーワードに開発されている。全車ハイブリッドとなり、グレード構成は、「Adveture」と「Z」そして「GRスポーツ」の3タイプ。

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