[はたらくくるま] 軽自動車より小さいのに4トン車!? みっちみちで超ヘビー手荷物運びのエリート〈トーイングトラクター〉

はたらくくるま|トーイングトラクター

空港を訪れた時、窓の外の旅客機を眺めることがあるだろう。その時は、ぜひとも旅客機だけではなく、そのまわりで動き回る“はたらくくるま”にも目を向けてほしい。空港には、街中で見かけないような独特な“はたらくクルマ”が数多く存在しているからだ。本企画では、羽田空港にて日本航空(以下:JAL)の“はたらくクルマ”を取材した。

●まとめ:オートメカニック編集部 ●撮影/文:鈴木ケンイチ

トーイングトラクター TOYOTA L&F 2TD-25:小さくても超ヘビー! 重い理由はボディの鉄板にあり

旅客機に積み込まれる手荷物の入ったコンテナを運ぶ。これも空港での重要な仕事のひとつ。それを担うのが、2人乗りの小さなトーイングトラクターだ。

JALのグランドハンドリング業務を担うJALグランドサービス(JGS)が、羽田空港で運用している車両はトヨタL&F(旧豊田自動織機)製だ。旧豊田自動織機は、豊田佐吉発明の“自動織機”を製造/販売するため大正時代に生まれた会社で、現在のトヨタ自動車の母体といえる存在。しかし、現在の主力商品はフォークリフトなどの産業車両で、そのひとつがこのトーイングトラクターとなる。

【TOYOTA L&F 2TD-25】寸法:全長3020×全幅1445×全高1390mm ホイールベース:1600mm 車両重量:3900kg エンジン:水冷直列4気筒ディーゼル(トヨタ1DZ-II) 総排気量:2486cc 定格出力:40.5kW(55ps)/2400rpm 最大トルク:167Nm/1600rpm トランスミッション:3速AT 牽引重量:コンクリート舗装路(平坦路)単体牽引33000kg/列車牽引49000kg ※諸元値はTOYOTA L&F社の現在の標準モデルのもの

操作はハンドルと2ペダル/3速ATシフトで、普通のクルマと大差ない。移動だけなら難しくはないのだ。しかし、牽引するとなると別。ブレーキング時にはコンテナに後ろから押されることもあり、また、曲がる時は後ろのコンテナの動きに注意し、内輪差外輪差を考慮する必要がある。実は運転が難しい。

車両的な特徴はとにかく重いこと。軽自動車よりも短い全長3mほどの車体でありながらも、車両重量が3900kgもある。2人乗員であれば、総重量は4トンを超える。ビックリしてしまう。

なぜ、これほど重いのかといえば、それは牽引能力を高めるため。車両重量が重くなるほどタイヤにかかる荷重は大きくなる。それが強烈なトラクションとなって、牽引力を生み出すのだ。

操作系はとてもシンプル。ハンドルと/2ペダル/ウインカーといったもの。窓がないのでワイパー操作のレバーさえない。

トランスミッションは3速AT。基本的に空港内は、最高速度30km/h以下/牽引中15km/hで運用されている。

2.5Lのディーゼルエンジンを搭載。フェンダーやボンネットなどの鉄板は、すべて1cm近い分厚いものとなっている。

国内線用のコンテナは1つで1トンほどの重量にもなる。そんなコンテナを6個も軽々と牽引する能力があるのだ。

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