
ミニバン並みのサイズ感で、どこまで“旅グルマ”として使えるのか。その答えをかなり高いレベルで示していたのが、ステージ21の「リゾートデュオ ルクシオ プロⅡ」だ。タウンエースバンをベースに、日常使いと車中泊を無理なく両立させた一台で、4WD設定や12Vエアコンなど、コンパクトクラスとは思えない装備内容は注目だ。
●文:月刊自家用車編集部
ミニバン感覚で選べた、タウンエースベースの旅泊車という存在
ルクシオ プロⅡの最大の特徴は、キャンピングカーでありながら、ミニバンに近い感覚で扱えるサイズと価格帯にあった。全長約4m、全幅は1.7m未満というボディは、立体駐車場や都市部のコインパーキングでも扱いやすく、日常の足として使うことに大きな抵抗がない。いかにも“キャンピングカー然”とした見た目ではなく、あくまで普段使いの延長線上に旅がある、そんな立ち位置が明確だ。
ベース車はタウンエースバン。商用車由来の堅牢さと取り回しの良さに加え、4WDが選べた点も見逃せない。降雪地域や冬の山間部へのアクセスを考えると、このサイズで4WDという選択肢があること自体が希少だった。ミニバンを検討している層が、少し背伸びするだけで“泊まれるクルマ”に手が届く。その距離感こそが、ルクシオ プロⅡが支持された理由のひとつだ。
コンパクトでも妥協しない室内設計とベッド展開
車内に入ると、限られたスペースを無駄なく使い切ろうとする設計思想がはっきりと伝わってくる。リビング兼用のソファは、背もたれクッションを移動させるだけでベッドへと変形する仕組みで、操作は直感的。特別な力もコツも必要なく、就寝準備が完了する。
展開されるベッドサイズは180cm×137cmと、このクラスとしては余裕のある寸法だ。大人ふたりが横になっても窮屈さを感じにくく、寝返りも打てる。さらに片側だけを広く使えば、ベッド展開なしでのソロ就寝も可能で、使い方の幅が広い。日常と非日常を頻繁に行き来するクルマだからこそ、こうした柔軟性は大きな価値になる。
夏も冬も現実的に使える電装と空調装備
ルクシオ プロⅡが“旅泊車”として評価された理由のひとつが、電装系の完成度だ。12V仕様の車載エアコン「One Cool 21」を標準装備し、100Ahのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーと組み合わせることで、夏場の夜間でも実用的な稼働時間を確保していた。コンパクトキャンパーでは、空調をどう確保するかが大きな課題になるが、この点で妥協がなかった。
加えて、ソーラーパネルと走行充電、外部電源に対応した充電システムを備え、駐車中も走行中も効率よく電力を確保できる構成となっている。冷蔵庫や電子レンジ、モニターといった装備を同時に使っても、現実的な範囲で成立する。この“ちゃんと使える”感覚が、カタログスペック以上の安心感につながっていた。
キッチンや収納がもたらす、車中泊の快適さ
ギャレーまわりも、必要十分という言葉がよく似合う構成だ。12Vで稼働する冷凍冷蔵庫は、容量こそコンパクトながらマイナス20度まで対応し、食材管理の自由度を大きく広げてくれる。電子レンジも標準装備され、外部電源接続時には家庭と同じ感覚で使える。
シンクはシャワーヘッド付きで、車内外どちらからでも使える仕様。簡単な洗い物だけでなく、アウトドアシーンでの使い勝手も考慮されている。ベッド下収納は長物にも対応し、アウトドアギアや着替えをまとめて収められる。コンパクトな車内で“片付く”ことの価値を、よく理解した設計だ。
日常使いを前提にした装備と運転支援
キャンピングカーというと、運転のしづらさを心配する声も多いが、ルクシオ プロⅡはその点も抜かりない。国産7インチナビとバックカメラを標準装備し、初めてのキャンピングカーでも不安を感じにくい。24インチモニターはエンタメ用途だけでなく、テレワークなど多目的に使える点も時代を先取りしていた。
ルーフベンチレーターによる換気性能も高く、夏場や就寝時の車内環境を整えるうえで効果的だ。オプション設定のFFヒーターを組み合わせれば、冬場の車中泊も現実的になる。特別なシーンだけでなく、普段の延長として使えること。その積み重ねが、ルクシオ プロⅡの完成度を押し上げていた。
販売終了後も語られる“ちょうどいい”という価値
ルクシオ プロⅡはすでに販売を終えているが、そのコンセプトは現行モデルや他社のコンパクトキャンパーにも確実に受け継がれている。大きすぎず、装備は妥協せず、価格も現実的。そのバランス感覚は、キャンピングカー市場が拡大する過程で、多くのユーザーにとってひとつの基準になった。
キャンピングカーに興味はあるが、いきなり大型モデルは現実的ではない。そんな層にとって、ルクシオ プロⅡは“最初の一台”として非常に説得力のある存在だった。いま振り返っても、その完成度は色褪せていない。
写真ギャラリー
車内はシートとテーブルを組み合わせたレイアウト。
スライドドアから入って左にシンクがセッchしあれている。車外にいても使うことができる場所に位置しているので、キャンプなどの際には便利だ。
後方上部にはエアコンと電子レンジが埋め込まれた棚が設置されている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
RR+2ストローク3気筒。59年前とは思えない意欲的なメカニズム 現在の軽自動車は、大人4人が乗れる室内空間と、高速道路を無理なく走れる性能を備えています。しかし、360cc規格が定着した1950年代[…]
軽EV「e SKY」は航続310kmへ 今回紹介された「e SKY」は、スズキが開発を進める軽乗用EVだ。プロトタイプの参考値として、一充電走行距離310km、車両重量1030kg、電力消費率97Wh[…]
都市部でも取り回しやすいダイハツ・アトレーをベースに採用 キャンピングカーとしての高い居住性と、日本の道幅にマッチした運転しやすさを両立させるために、ベース車両選びは極めて重要である。多くの車中泊ファ[…]
5年前と比べてクルマの価格は約50%上昇、重量は約10%増加 鈴木社長が示したのは、5年前と現在のクルマを取り巻く状況の変化である。スズキによれば、5年前と比べて平均車両購入価格は約50%上昇。一方、[…]
普段使いと街乗りを完璧にこなす信頼の軽商用バン キャンピングカーとしての優れた機能性と、都市部での軽快な取り回しを両立させる上で、ベース車両の選定は極めて重要となる。多くの車中泊ファンから熱い視線を集[…]
最新の投稿記事(全体)
RVパークHESTA伊豆 車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推進する「RVパーク」は、キャンピングカーやマイカーで旅行を楽しむユーザーに向けた、車中泊専用の[…]
初代(1966年〜)プラスαの発想を取り入れた「80点主義+α」のもと誕生。1.1Lエンジンやフロアシフト4速MTなど先進的な技術を凝縮し、日本のモータリゼーションを加速させた国民的コンパクトカー。 […]
TOYOTAカローラ特別仕様車 ACTIVE SPORT(2WD)価格:323万1800円 若い世代の目に新しく映る「セダン」という選択肢 街を走るクルマを眺めていると、時代の変化がよく分かる。私が運[…]
カメラ接続アダプターRCA124M:価格1万1000円(データシステム) 好きな市販ナビを選びつつ、大画面で安全確認が可能になった! 三菱デリカ D:5は 、オーディオレス 仕様を 基本と[…]
パナソニック ストラーダ パナソニックが選択した市販ナビ市場からの撤退 パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社が、2027年3月をもって市販向けカーナビゲーションおよび専用オプション品の生産[…]
- 1
- 2























