
●文:月刊自家用車編集部
インプレッサ:モデル概要
現在の国内スバルラインナップの中では、エントリーモデルとなっているインプレッサ。6代目となる現行型は先代まで設定されていたセダン系が廃止され、5ドアハッチバックのみのラインナップに変化した。さらにプラットフォームやボディシェル、パワートレーンを共有するSUVのクロストレック(先代まではスバルXV)との関係も、これまではインプレッサが先行し、その後にクロストレック(スバルXV)が開発されていたが、現行世代のインプレッサとクロストレックはほぼ同時期に開発がスタートしている。
現行型は、第2世代SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)や、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイの採用など、装備機能を最新世代にアップデートしたほか、スバルの看板装備アイサイトも大きく進化。センシングに二輪車/歩行者を認識できる単眼カメラを追加したほか、カメラ画角も先代比で約2倍に拡大。さらに画像認識ソフトや制御ソフトにも改良が加えられたことで、より広く遠い範囲の人やクルマ、障害物を認識できるようになっている。
インプレッサ:スタイリング&パッケージ
現行型のエクステリアは、クロストレックからクラッディングやプロテクターを省略されたショートワゴンに近いイメージ。全体的に引き締まったシェイプ感を持たされたこともあって、遺伝子的に近いクロストレックよりも、1クラス上となるレヴォーグのショートボディ仕様にも見える。
インプレッサのボディサイズは、先代以上にクロストレックに近い。クロストレックとは外装パーツの違いで全幅は20mm狭くなり、最低地上高も65〜70mm低くなるが、全長はほぼ同じでホイールベースも同じになる。
【スバル インプレッサ ST-H FWD(2023年4月モデル)】●全長×全幅×全高(mm):4475×1780×1515 ●ホイールベース(mm):2670 ●車両重量(kg):1580 ●パワーユニット:1995cc水平対向4気筒DOHC(145ps/19.2kg-m)+モーター(10kw/65Nm) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F) ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F) ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:215/50R17
インプレッサ:インパネ内装&シート
使い勝手の良いカジュアルな雰囲気を活かしたインテリア。大型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイをインテリアの中央に配置した、最新のSUBARU共通のインターフェイスを採用。実用性と利便性を高めていることも現行世代の強みになっている。
ルーフパネルとブレースの間に、振動の吸収性が高く制振性に優れた高減衰マスチック(弾性接着剤)を採用したことでNV性能が強化されたことも強みのひとつ。シートも先代までのブラケットを介した方法から、シートレールを直接車体に固定する構造に変更したことで、取り付け部の剛性と振動収束性が向上。シートそのものの揺れを抑えることで、乗り心地の良さを追求している。
フロントシートはクロストレックで採用された骨盤支持の強化設計やシートレール車体直付けなど、乗り心地を高める工夫が盛り込まれている。
インプレッサ:走り&パワートレーン
2LのNAとe-BOXERの2つの仕様を設定。駆動方式は前輪駆動のFWDと全輪駆動のAWDが用意される。エンジン&トランスミッションは、ロングストローク型の新世代水平対向4気筒エンジンとリニアトロニック(CVT)。ハイブリッドのe-BOXERには、2つのクラッチを備える駆動モーターをプラスしたパラレル式が採用されている。e-BOXERはハイブリッドとしては電動補助機能は控え目だが、駆動&発電モーターとバッテリーをコンパクトにした小スペース設計を取ることで、コスト面で有利なことも特徴だ。
純内燃のNA車もハイブリッドのe-BOXER車も2L直噴エンジンを搭載。先代と比べると電動領域制御を改善したことで、アクセル入力に対してのコントロール性や走行追従感が向上している。なお、e-BOXER車のパワースペックはクロストレックと同じだが、ボディとサスセッティングの違いもあって走りの志向が異なる。インプレッサは軽快さをかなり意識した味付けだ。
インプレッサ:モデル変遷
【2023年04月:初期型】グレードはNA仕様が1タイプ、e-BOXER仕様が2タイプの合計3タイプを設定
現行型はセダンのG4が廃止されたことで、ハッチバックのみのラインナップに変更。スタイリングは従来イメージを踏襲するキープコンセプトだが、フェンダーまわりのアクセントラインを際立たせることでスポーティさを強めている。パワートレーンは先代をベースに改良したものになるが、ボディ構造やサスチューン、機能装備は最新スバルと共通の内容が盛り込まれている。
グレードは「ST」「ST-G」「ST-H」の3系統を設定。いずれもAWD車のほか、FWD車も選択可能。STは2L水平対向4気筒のNA仕様となるが、ST-GとST-Hは小型モーターがプラスされるハイブリッドのe-BOXER仕様となる。
●インプレッサ 価格&グレードバリエーション【2023年4月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【FWD/AWD】 |
1995cc水4DOHC 154PS/19.7kg・m | ST【リニアトロニック】 | 229万9000円/251万9000円 |
1995cc水4DOHC 145PS/19.2kg・m + モーター 10kW/65N・m | ST-G【リニアトロニック】 | 278万3000円/300万3000円 |
ST-H【リニアトロニック】 | 299万2000円/321万2000円 |
【2024年09月:一部改良&特別仕様車追加】2Lガソリン車に特別仕様車「ST Smart Edition」を設定
インフォテインメントシステムの使い勝手の向上やコネクティッドサービスの機能が追加されたほか、各グレードの装備を見直し。メーカーオプションで装着率が高かったアイテムの一部を標準装備化することで、商品力を強化している。
なかでも2Lガソリン車(NA)は、アイサイトセイフティプラス運転支援テクノロジーやコーナリングランプ&ステアリング連動ヘッドランプ、ダークメタリック塗装の17インチアルミホイールなどが標準装備になるなど、従来車に比べて装備水準が大きく引き上げられている。
新たに2Lガソリン車の「ST」をベースに装備を追加した特別仕様車「ST Smart Edition」が設定されている。
【インプレッサの主な改良点】
・11.6インチセンターインフォメーションディスプレイの使い勝手向上(AVHボタンをホームボタンエリアに配置)
・SUBARU STARLINKの機能追加
【リモートエアコン採用】
【マイカー検索にハザード点滅機能を追加】
・オーディオレス車の内外装質感向上
【シルバー加飾付本革巻シフトレバー】
【ピアノブラック調シフトパネル】
【シルバーステッチシフトブーツ】
【艶黒塗装ドアミラー】
【本革巻ステアリングホイール】
・ボディカラーの追加(デイブレイクブルー・パール)
【インプレッサ 特別仕様車「ST Smart Edition」の主な装備】
・17インチアルミホイール(ダークメタリック塗装)
・コーナリングランプ&ステアリング連動ヘッドランプ
・LEDフロントフォグランプ
・サイドシルスポイラー
・アルミパッド付スポーツペダル(アクセル、ブレーキ、フットレスト)
・運転席10ウェイ&助手席8ウェイパワーシート
・リバース連動ドアミラー+ドアミラーメモリー&オート格納機能
・自動防眩ルームミラー
・緊急時プリクラッシュステアリング
・スバルリヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)/エマージェンシーレーンキープアシスト
【2025年03月:最新型】2L車に特別仕様車「ST Black Selectionを追加」
特別仕様車「ST Black Selection」は、2Lガソリン車の「ST」をベースに、運転席10ウェイ&助手席8ウェイパワーシートやステアリングヒーター&フロントシートヒーターを追加したほか、緊急時プリクラッシュステアリングやスバルリヤビークルディテクションなどを装備。安全装備の充実が図られたことも特徴のひとつ。また、アルミホイールやルーフスポイラー、ルーフやピラートリムなど、ブラック仕立ての内外装にすることでスポーティなイメージを強めている。
【ベース車「ST」に対する「ST Black Selection」の特別装備】
- LEDリヤフォグランプ(AWD車はベース車に標準装備)
- サイドシルスポイラー(ブラック塗装)
- ドアミラー(ブラック塗装)
- ブラック塗装加飾付フロントフォグランプカバー
- ルーフスポイラー(ブラック塗装、LEDハイマウントストップランプ内蔵)
- 17インチアルミホイール(ダークメタリック塗装)
- <インテリア>
- アルミパッド付スポーツペダル(アクセル、ブレーキ、フットレスト)
- ドアミラースイッチ シルバー塗装
- パワーウインドゥスイッチ メッキ加飾付
- フロアコンソールリッド(シルバーステッチ)
- ブラックルーフ&ピラートリム
- リバース連動ドアミラー+ドアミラーメモリー&オート格納機能
- ナビゲーション機能
- 6スピーカー(フロント4+リヤ2)
- 自動防眩ルームミラー
- 運転席10ウェイ&助手席8ウェイパワーシート
- アクセスキー対応運転席シートポジションメモリー機能
- 運転席シート自動後退機能
- ステアリングヒーター&フロントシートヒーター
- 後席USB電源(Type-A 1口、Type-C 1口)
- LEDリヤゲートランプ
- フルLEDハイ&ロービームランプ
- アレイ式アダプティブドライビングビーム
- LEDフロントフォグランプ
- コーナリングランプ&ステアリング連動ヘッドランプ
- 緊急時プリクラッシュステアリング
- スバルリヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)/エマージェンシーレーンキープアシスト
●インプレッサ 価格&グレードバリエーション【2025年3月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【FWD/AWD】 |
1995cc水4DOHC 154PS/19.7kg・m | ST【リニアトロニック】 | 272万2500円/299万2000円 |
STスマートエディション【リニアトロニック】 (特別仕様車) | 295万3500円/316万8000円 | |
ST Black Selection【リニアトロニック】 (特別仕様車) | 305万8000円/327万2500円 | |
1995cc水4DOHC 145PS/19.2kg・m + モーター 10kW/65N・m | ST-G【リニアトロニック】 | 295万9000円/317万9000円 |
ST-H【リニアトロニック】 | 315万7000円/337万1500円 |
インプレッサ:最新値引き&納期情報(2025年3月現在)
- 車両本体目標値引き額:22万円
- 納期の目安:2~3か月
- リセール予想:C+
スバルの販売店は原則として都道府県単位で1社なのがネックだが、それでもスバル車の中では競合相手は豊富ということもあって、値引きを引き出しやすい。特にカローラスポーツやカローラツーリングと競わせると、商談はスムーズに進む傾向が強い。上手に商談に絡ませることで、付属品の値引きを含めて25万円前後は狙いたい。もし隣県に越境できる場所に住んでいるならば、県をまたいで資本が異なるスバル販売店同士を競わせるのも効果的だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(スバル)
世界に通じる内容を携えて、マイカー元年に発売された技術者集団の渾身の小型車 1966年を日本のマイカー元年とすることに、異を唱える人は少ないだろう。同年4月23日の日産サニーと、同年11月5日のトヨタ[…]
サンバーライトバンデラックス(1964年型) 経済成長に沸く1960年代、軽四輪トラックが街の物流の主役だった 戦後の復興期から高度経済成長のピークとなった1960年代末にかけての日本の経済・産業の構[…]
初期モデル 高嶺の花だったマイカーという夢を、現実のものにした立役者 今では日本人にとって欠かせない足となっている軽自動車の規格は、1955(昭和30)年に全長3m、全幅1.3m、排気量0.36L以内[…]
9月13日に富士スピードウェイで実車もお披露目 スバルBRZ「STI Sport YELLOW EDITION」は、「STI Sport」をベースにした特別仕様車。 ボディカラーには「サンライズイエロ[…]
もともと4WDはレース目的で造り出された駆動システムだった 4WDというとヘビーデューティなジープタイプのクルマを連想するが、ガソリンエンジン世界初の4WDはヒルクライムレースのために造り出されたもの[…]
最新の関連記事(新車カタログ(国産車))
ハリアー:モデル概要 1997年の初代モデルの発売以来、高級クロスオーバーSUVのパイオニアとして圧倒的な人気を博してきたハリアー。2020年にデビューした現行型は、歴代モデルのイメージを受け継いだ流[…]
シエンタ:モデル概要 トヨタ・シエンタは、全長4.3m弱のコンパクトな車体に3列シートを効率的に配置し、多人数乗車を可能にしたモデル。2022年にデビューした現行型は、初代モデルで高く評価されていた“[…]
フォレスター:モデル概要 6代目として登場した現行モデルは、レジャービークルとしての本質を追求し続けてきた歴代モデルのコンセプトを継承。スバル伝統の水平対向エンジンと独自の4WDシステムを採用するほか[…]
ヤリスクロス:モデル概要 ヤリスクロスは、ハッチバックのヤリスをベースにしたコンパクトSUV。ヤリスの弱点であった後部座席と荷室のスペースを拡大することで、実用性を大幅に向上させており、手頃な価格設定[…]
クラウンエステート概要:品格と機能性が同居する「大人のアクティブキャビン」 クラウンエステートは、クラウンシリーズ第4弾として登場した「大人のアクティブキャビン」。ワゴンとSUVを融合させた新しいデザ[…]
人気記事ランキング(全体)
軽トラベースの高規格キャンピングカーを約束する3つの“C” バディ108 C3パッケージLタイプを販売する東和モータースは、輸入キャンピングカーやフィアット•デュカトベースのキャンピングカー、国産キャ[…]
エアコン使用は燃費に確実な影響を与える 真夏の炎天下、エアコンを使わずに運転するのは現実的ではない。しかし、エアコンを稼働させると燃料消費が増えるのは避けられない。環境省のデータによれば、エアコン使用[…]
二人旅を快適にする対座ダイネットレイアウト 北斗対座モデルの特徴は、二人旅を主眼に置いた室内レイアウトにある。独立した二人用の対座ダイネットは、車内での会話や食事をゆったり楽しめる空間だ。窓からの景色[…]
家のようなくつろぎをそのままクルマに モビーディックの「COMCAM」は、まるで自宅のリビングをそのままクルマに持ち込んだような快適空間を実現したキャンピングカーだ。ハイエースをベースに、広々とした室[…]
アルファードの広さと上質さを、そのまま旅の相棒に ベースとなるアルファードは、高級ミニバンとしての快適性と静粛性で群を抜く存在だ。その広大な室内空間を活かして、ゆったりとしたリビングのような空間を実現[…]
最新の投稿記事(全体)
普段使いのしやすさを追求した「ちょうどいい」サイズ感 キャンピングカーに憧れても、運転のしやすさを考えると二の足を踏む人は多い。特に女性ドライバーや家族で使う場合、「軽では狭いけれど、フルサイズは扱い[…]
フロントカメラ一体モデルをラインナップに追加 ドライブレコーダーの装着率増加に伴い、ミニバンやワゴン車など後方視界が狭い車種で、後方を確認しやすいデジタルミラー型のニーズが高まっている。パイオニアは、[…]
渋滞が避けられない高速道路、その中でも「進みやすい車線」は存在するのだろうか。 長距離ドライブや週末の外出などで高速道路を利用すると、避けて通れないのが渋滞だ。交通量が多い時間帯や事故、工事などによっ[…]
グループ全体の未来の方向性を明示、その象徴となるコンセプトモデルを披露 「5ブランドプロジェクト発表」と題された配信では、トヨタ自動車のグループ全体のブランド再構築と、将来的な市場ポジショニングを説明[…]
安心、かつ快適に車中泊を楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー向け[…]
- 1
- 2