●文:月刊自家用車編集部
RAV4 モデル概要:プレミアムキャラの強化でイメージ一新、トヨタ自慢のミドルSUV
現行型は5代目となるモデルで、国内向けのモデルとしては2005年に登場した3代目以来の復活になる。その開発コンセプトは「Robust Accurate Vehicle With 4 Wheel Drive(SUVらしい力強さと使用性へのきめ細かな配慮を兼ね備えた4WD)」になる。
パワートレーンはガソリン車とハイブリッド車の2本立て。
ガソリン車は熱効率に優れるダイナミックフォースエンジンの2Lユニットに、CVTにギヤ構造を組み合わせたダイレクトシフトCVTの組み合わせ。ガソリン車の上級グレードには、走行状況に応じて、前後トルク配分に加え、後輪トルクを左右独立で制御する“トルクベクタリング機構”を備える、走破性が強化された「ダイナミックトルクベクタリングAWD」搭載車も用意される。
ハイブリッド車は、2.5Lダイナミックフォースエンジンとシリーズパラレル式ハイブリッドシステム(当時はTHS Ⅱと呼ばれていた)の組み合わせ。ハイブリッド車の4WDシステム(E-Four)は、独立したリヤモーターが配置される。前後輪トルク配分も100:0~最大20:80まで変更可能と、ある程度のオフロード走行にも対応することが可能だ。
RAV4:スタイリング&パッケージ
新型の全長は歴代最大となる4600mm。全幅は1855mm。3代目と比較してもひと回りほど大きくなっているのだが、ワイドサイズのミドルSUVが普及してきていることもあって、数値ほどの大きさを感じさせない。
また、ウインドウエリアを大きく取ったこともサイズ感を感じさせない工夫のひとつ。これはおもに運転視界の改善を狙ったものだが、上端ラインの絞り込みを抑えたサイドウインドウ形状や大きなクオーターウインドウの採用により、キャビンのボリューム感を増加させたのも効いている。2BOX的な印象を強めるとともに、実用面にも優れたパッケージを与えている。
標準仕様車のフロントマスクは、ランドクルーザーなどのトヨタクロカン系と、カローラ スポーツに代表される最新のキーンルックを融合させたイメージ。プレーンなイメージが強い標準ボディ車に加えて、オフロードテイストを随所にプラスしたアドベンチャー車も用意されている。
巧みなアプローチ&ディパーチャーアングルの設定や、埋め込み型のルーフレールの標準化など、実用性も考慮している点もトヨタ車らしい美点。細部に到るまで使い勝手も考慮した実践的デザインが採用されていることも見逃せない。
2Lガソリン車に設定されるアドベンチャーは、専用意匠や樹脂製フェンダーの装着などでアウトドア志向を強化したグレード。パワートレーンや基本装備などは標準ボディのガソリンモデルと共通だが、アクティブな加飾をプラスすることで上級設定に仕立ている。
標準車ともっとも異なるのはフロントマスク。標準車のフロントグリルの横桟はパンチングメタル調だが、アドベンチャーは半光沢の黒となり、桟幅も太い。デザインモチーフでもあるオクタゴン(八角形)を強調したグリル枠デザインを採用しており、最近のモデルとしては珍しく、バンパーラインを明確にしていることも特徴。エアダムまわりの重厚なスキッドプレートの造形も存在感に富んでいる。
RAV4:インパネ内装&シート
段重ねで立体感を強めたインパネは、流麗さに加えて機能感を意識していることも大きなポイント。インパネやドアトリムに施されるメタル調の加飾は豪華さを狙った演出というよりも、金属感を追加することでツール的な趣を高めるのが狙いのひとつ。豪華な内装加飾が人気のハリアーとは明らかに違ったアプローチで、RAV4の魅力を表現している。
標準仕様車の内装色は、黒系モノトーンと黒白2トーンの2パターンを設定。モノトーンは落ち着いた印象であり、2トーンはスポーツカジュアル的な印象が強まる。
一方、アドベンチャーはオレンジ色のステッチや縁飾りが施され、シートデザインも専用タイプ。スポーツカジュアルな感覚が一層強化されている。細部の造り込みや組み付け精度は、クラス標準以上で、丁寧に作られた道具やスポーツギアのようなインテリアだ。
キャビンスペースも広々としており、後席のニースペースやヘッドクリアランスもゆとり十分。後席にリクライニング機構がないのは残念だが、見晴らしの良さも手伝って開放感も良好。
ラゲッジも奥行き&幅も十分な余裕。2段式の床面ボードを高い位置にセットしても大容量が確保されている。トノカバーはアクセサリー設定になるが、専用アクセサリーとして防水型のラゲッジトレイなども用意されるなど使い方に応じた選択も可能になっている。
RAV4:パワートレーン
ガソリン車は、実用域の豊かなトルクと軽快なレスポンス、高回転までスッキリ回るフィーリングを持ち、久々にいいNAエンジンに出会った印象すら覚える優れもの。発進ギア付きのダイレクトシフトCVTとの相乗効果もあって自然な変速を実現。従来のCVT車の印象とはまったく異なる走りを堪能できる。
4WDシステムは、標準仕様のダイナミックトルクコントロールAWDでも十分な機能を持つが、上級のダイナミックトルクベクタリングAWDはその数段上を行く。ボディサイズが小さくなったかのようなキビキビした動きと、ノーズがインにスッと入っていく軽快感が印象的。
ハイブリッド車は、十分なパフォーマンスのエンジンとモーターの応答性の良さのおかげもあって、力強さや加速感はガソリン車より明らかに1ランク上。スプリット式のラバーバンドフィールもかなり抑えられており、重さを活かしたシットリした乗り味と動的質感の高さ、そして豊かな後輪トルクから導かれる立ち上がりでのググッとくる力強さは、ガソリン車では味わえない味になっている。
RAV4:モデル変遷
【2019年4月:初期型】新型RAV4を発売
パワートレーンは1.8Lガソリン車(NA)と1.8Lハイブリッド車を設定。駆動方式はガソリン車もハイブリッド車もFFと4WDが選べるが、ハイブリッド車の4WDは、リヤにモーターを組み込むE-Fourとなる。また、ガソリン車は、アウトドアテイストを強めた外装加飾と、上級4WDのダイナミックトルクベクタリングAWDを組み合わせたアドベンチャーを選ぶことも可能だった。当時の月販目標台数は3000台。
●RAV4 グレードバリエーション&価格【2019年4月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | FF/4WD |
1986cc直4DOHC 171ps/21.1kg-m | X【CVT】 | 260万8200円/283万5000円 |
G【CVT】 | −/320万2200円 | |
G “Z Package”【CVT】 | −/334万8000円 | |
Adventure【CVT】 | −/313万7400円 | |
2487cc直4DOHC 178ps/22.5kg-m + モーター 88kW/202Nm | HYBRID X【CVT】 | 320万2200円/− |
2487cc直4DOHC 178ps/22.5kg-m + ツインモーター フロント:88kW/202Nm リヤ:40kW/121Nm | HYBRID X【CVT】 | −/345万600円 |
HYBRID G【CVT】 | −/381万7800円 |
【2020年6月:車種追加】プラグインハイブリッドの「RAV4 PHV」を追加
RAV4のプラグインハイブリッドモデルとして「RAV4 PHV」を追加導入。RAV4のハイブリッドシステムよりもフロントモーターとインバーターを高出力化し、大容量/高出力の新型リチウムイオンバッテリーと組み合わせることで、システム最高出力225kWを達成。スポーティで力強い走行を可能としている。EV走行モード距離は95km。月販目標台数は300台とされていた。価格は469万円〜539万円。
【2020年6月:一部改良】一部改良を実施。ディスプレイオーディオとインテリジェントクリアランスソナーが全車標準化へ
スマートフォンとの連携が可能なディスプレイオーディオを全車に標準装備したほか、駐車場などでのアクセルとブレーキの踏み間違いやアクセルの踏み過ぎなどで起こる衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナーも全車に標準装備。価格は274万3000円〜402万9000円。
【2020年10月:車種追加】アグレッシブなスタイルと走破性を高めた特別仕様車「Adventure “OFFROAD package”」を設定
ブリッジ型ルーフレールやマットブラック塗装の18インチ専用アルミホイールを装備することで、アグレッシブなスタイルと走破性を実現する外観装備&メカニズムをプラスした、特別仕様車「Adventure “OFFROAD package”」を発売。インテリアもレッドステッチを施した専用合成皮革シート表皮やインストルメントパネルで差別化されている。外板色は、特別色のスーパーホワイトIIを含む全3色を設定。価格は346万円。
【2021年12月:一部改良】Adventureグレードにハイブリッド車を追加。同時にRAV4/PHVの一部改良を実施
RAV4のAdventureにハイブリッド車(E-Four)を追加。ほかには外板色にアッシュグレーメタリック×グレイッシュブルーを新設定(RAV4 Adventure)し、ヘッドランプの意匠変更/アルミホイールの意匠変更が行われた。
【2022年10月:一部改良】一部改良を実施。プラグインハイブリッド車を追加したほか、オフロードイメージをより強化した特別仕様車を設定
一部改良を実施。プラグインハイブリッドシステム搭載車をZグレードとして設定したほか、Adventureグレードに特別仕様車 Adventure “OFFROAD package II”を設定。
- RAV4 PHVをRAV4のZグレードとして設定
- プリクラッシュセーフティに交差点右折時の対向直進車、および右左折時の対向方向から横断してくる歩行者を検知する機能を追加するなど、Toyota Safety Senseの機能を拡大
- コネクティッドナビ対応のディスプレイオーディオを採用。10.5インチの大画面ディスプレイを設定したほか、クルマがWi-Fiスポットになる「車内Wi-Fi」を採用
- デジタルインナーミラーに録画機能を採用
- ナノイーXを標準装備
●RAV4 グレードバリエーション&価格【2022年4月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【FF/4WD】 |
1986cc直4DOHC 171ps/21.1kg-m | X【CVT】 | 293万8000円/316万9000円 |
G【CVT】 | −/366万6000円 | |
G “Z Package”【CVT】 | −/383万6000円 | |
Adventure【CVT】 | −/368万4000円 | |
特別仕様車 Adventure“OFFROAD package II”【CVT】 | −/388万4000円 | |
2487cc直4DOHC 178ps/22.5kg-m + モーター 88kW/202Nm | HYBRID X【電気式CVT】 | 353万8000円/− |
2487cc直4DOHC 178ps/22.5kg-m + ツインモーター フロント:88kW/202Nm リヤ:40kW/121Nm | HYBRID X【電気式CVT】 | −/379万1000円 |
HYBRID G【電気式CVT】 | −/430万4000円 | |
HYBRID Adventure【電気式CVT】 | −/430万3000円 | |
特別仕様車 Adventure“OFFROAD package II” | −/450万3000円 | |
2487cc直4DOHC 177ps/22.3kg-m + ツインモーター フロント:134kW/270Nm リヤ:40kW/121Nm | PHEV Z【電気式CVT】 | −/563万3000円 |
【2024年11月:最新型】一部改良を発表。機能装備の標準化で商品力を強化したほか、2WD車を廃止して4WD車のみのラインナップへ
今回実施される一部改良では、すべてのグレードが4WD車のみとなり、2WD車が廃止されたほか、一部グレードの機能装備が、メーカーOPから標準装備に変更されている。
具体的には、Xグレードのブラインドスポットモニターやパーキングサポートブレーキ(後方接近車両)、ドアミラーの足元照明などが標準装備になったほか、Adventure、G“Z package”、G、Zの4つのグレードの車載ITが、高機能型の10.5インチディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plusにアップデートされている。
●RAV4 グレードバリエーション&価格【2024年12月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【4WD】 |
1986cc直4DOHC 171ps/21.1kg-m | X【CVT】 | 323万7300円 |
G【CVT】 | 369万4900円 | |
G “Z Package”【CVT】 | 386万5400円 | |
Adventure【CVT】 | 371万3600円 | |
特別仕様車 Adventure“OFFROAD package II”【CVT】 | 391万2700円 | |
2487cc直4DOHC 178ps/22.5kg-m + ツインモーター フロント:88kW/202Nm リヤ:40kW/121Nm | HYBRID X【電気式CVT】 | 385万9900円 |
HYBRID G【電気式CVT】 | 433万2900円 | |
HYBRID Adventure【電気式CVT】 | 433万1800円 | |
特別仕様車 Adventure“OFFROAD package II” | 453万2000円 | |
2487cc直4DOHC 177ps/22.3kg-m + ツインモーター フロント:134kW/270Nm リヤ:40kW/121Nm | Z(プラグインハイブリッド)【電気式CVT】 | 566万1700円 |
RAV4:最新値引き&納期情報(2024年12月現在)
- 車両本体目標値引き額:20万円
- 納期の目安:2~5か月
- リセール予想:B+
一部改良の実施と同時に受注も再開された。黙って座っていると「新型」を主張してほどほどの値引きで商談をまとめようとするが、経営資本が異なるトヨタ販売店を競わせる「同士競合」を行えば、条件はしっかりと緩んでいくだろう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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