●文:月刊自家用車編集部
クラウンセダン モデル概要:パーソナルからビジネスまで、オールマイティに使える新世代セダン
「クラウンセダン」は、新世代クラウン(16代目)の中では「クロスオーバー」「スポーツ」に続く3番目に登場。快適な乗り心地と上質な走りに加えて、ショーファーニーズを満たすくつろぎの空間を創出した、正統派セダンを再定義する新スタイル「ニューフォーマル」を採用しており、「セダン再発見」を感じさせるクルマに仕上げられている。
他のクラウンシリーズとは異なり、後輪駆動のFRプラットフォームを採用。水平基調の伸びやかなプロポーションを採用することで、従来セダンのイメージとは異なる、伸びやかで美しいたたずまいを追求。鋭さとワイド感を強調する「ハンマーヘッド」と、縦基調のパターンを施した大型台形グリルの「アンダープライオリティ」の組み合わせにより、トヨタのフラッグシップとしての存在感を強調したフロントフェイスを採用している。
パワーユニットは、2.5Lマルチステージハイブリッドシステムと、FCEV専用モデル「MIRAI(ミライ)」と共通のFCシステムをラインアップ。
新開発の2.5Lマルチステージハイブリッドシステムは、エンジンと2つのモーターに加え、有段ギアを組み合わせることで、幅広い車速域からのアクセル操作に応える駆動力を実現。従来はエンジン最高出力を使用できる車速領域が約140km/hからだったが、クラウンセダンでは約43km/hから使用可能になっている。
ミライ譲りの高性能FCシステムは、3本の高圧水素タンクと燃料電池などを搭載し、1回あたり約3分の水素充填で約820kmの走行が可能。アクセルを踏んだ瞬間からトルクが立ち上がる特性など、スムーズに伸びるFCEVならではのパワーと、モーター駆動ならではの静粛性や乗り心地を実現している。
ショーファーニーズを意識した設計のひとつになるのが、3mのホイールベース設定。これにより後席のゆとりを創出し、足元のスペースも十分な広さを確保、さらに足抜きしやすいスムーズな乗り降りを実現させている。サスペンションセッティングの最適化や減衰力を高い次元で制御するAVSを用いることで、路面の凹凸を乗客に伝えない特性が強まっている。
クラウンセダン:スタイリング&パッケージ
水平基調の伸びやかなプロポーションを魅せる流麗なデザインを採用。リヤエンドはリフトバック風でクーペライクなシルエットを持つ。プラットフォームはミライと同じGA-Lだが、ホイールベースはミライよりも80mm長くなっている。この変更はショーファーを意識したVIPカー需要を考慮したもので、延長した余裕分は、後席レッグスペースの拡大に向けられている。
ただ、VIPカー用途を第一の目的にしていないことは、ローフォルムなスタイリングからも明らか。キャビン後席の頭上空間こそしっかりと確保されているが、ドア開口部の高さは不足気味で、さらに水素タンクをフロア下に置いているため後席の座面高も高めになるため、乗降時の頭抜けは今ひとつだ。
クラウンセダン:インパネ内装&シート
インパネデザインは他のシリーズと共通だが、パネル加飾が杢目調になるなど差別化されている。後席スペースはゆとり十分でショーファー需要にも応えられるが、ドア開口部や低いことが少しネックになっている。
クラウンセダン:パワートレーン
クラウンセダン:モデル変遷
【2023年11月:最新型】クラウン初となるFCEVモデルも用意
パワートレーンは、2.5Lハイブリッド車(マルチステージハイブリッド)とクラウン初となるFCEVを設定。駆動方式はFR。グレードはハイブリッド車もFCEV車も最上級グレードのZのみ。当時の月販基準台数は600台とされていた。
●クラウンセダン グレードバリエーション | ||
パワートレーン | グレード | 価格【後輪駆動】 |
2487cc直列4気筒DOHC (185ps/22.9kg-m) + モーター (132kW/300Nm) | Z(HEV) | 730万円 |
FCシステム (128kW) + モーター (134kW/300Nm) | Z(FCEV) | 830万円 |
クラウンセダン:最新値引き額/納期情報
- 車両本体目標値引き額:10万円
- 納期の目安:2〜7か月(FCEV)12か月以上(ハイブリッド)
- リセール予想:C+
FCEV車の受注は可能だが、ハイブリッド車はほとんどの販売店で割当分を受注してしまったため、オーダーストップが続いている。受注の再開は年末ころになりそうだ。納期はメーカーは工場出荷の目処を2〜3か月としているが、複数のディーラーに話を聞いてみると「6か月以上はかかる」とのこと。
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