
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
救急車のサイレンは、”緊急事態”であることを周囲の車両や、人に対して知らせるために使用されるものです。
“ピーポーピーポー”とサイレンの音が聴こえた場合、周りに注意を払い運転中であれば停車などをおこない、救急車を優先しなければなりません。
実は近年の救急車は、このサイレンの音を切り替えることが可能になっているようです。
なぜサイレン音の切り替えができるようになったのか、変わった背景や救急車に新たに追加された機能について見ていきましょう。
救急車のサイレンの音が変わった!?いったいなぜ
近年の救急車は、シチュエーションによって最適な音に切り替え可能な車両が増えてきました。
主に夜間/住宅地を走行する際に音を抑えたいという場面において使用され、“住宅モード/コンフォートサイレン”と呼ばれており音の高さが異なるようです。
そもそも救急車のサイレンは、周囲にしっかりと音を伝えるために、”車両の前方20m、高さ1mの位置において90dB以上120dB以下であること”が保安基準で定められています。
つまり、音を抑えたいといっても90dB以下にすることができないというわけです。
救急車のサイレン音は通常時でも97dBほどに設定されているため、音圧を落としたところで劇的に音を変えることは難しいと言えます。
そしてコンフォートサイレンは、従来のサイレン音に和音を混ぜることで音を低くし、音量は変えないまま不快感を軽減することを目標に設計されました。
昨今の救急車には、サイレン音の不快感を軽減する「住宅モード(コンフォートサイレン)」の導入が進められている。
では、なぜ住宅モードが追加されることになったのでしょうか。
これは、緊急自動車のサイレンに対する苦情が年々増えていることが背景にあるようです。
“救急車のサイレンがうるさい/住宅街で音を消して”などの苦情と保安基準、どちらも尊重した結果からコンフォートサイレンが生まれました。
また、すべての救急車が該当するわけではないですが、新型の救急車には出動時に役立つ機能もいくつか追加されていると言います。
まずひとつ目が、フェードイン/フェードアウト機能です。
これは、サイレン起動時に徐々に音が大きくなり、音を消すときは徐々に小さくなるというもの。
突然の大音量でのサイレン吹鳴、そして一般住宅/病院到着時のサイレンの瞬時停止によって生じる、周囲の人々の心理的負担を軽減するための機能だそうです。
救急車両は、昼夜問わず非常時に出動する。つまりサイレン音ハイツ聞こえてもおかしくはないということだ
2つ目が、出動予告機能です。
この機能を使えば、”救急車が出動します、ご注意下さい。”という音声が流れます。
前述のフェードイン/フェードアウト機能と同様に、周囲の人を驚かさないために設計された機能と言えるでしょう。
そして3つ目の機能である弱スタート機能も、上記ふたつの機能と同様の役割を果たします。
弱スタート機能は、その名の通り小さな音量でサイレン音が鳴り始めるというもの。
救急車の音は耳に強く残るほど大きな音ですが、それは緊急事態であることを周囲に伝えるための工夫です。
また時代の流れによって、より周辺環境に配慮するためにサイレン音が進化を続けていることがわかります。
コンフォートサイレンの他にも、周辺環境に配慮する機能が次々と追加されていますが、サイレン音が自分が不快だからといって苦情をいうのではなく、救急車両への理解と協力も求められそうです。
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