
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
愛車を自分好みにカスタマイズしたいと考えたとき、多くのドライバーがまず目を向けるのがタイヤのサイズ変更です。
愛車の外観を引き締めたい、走行性を向上させたいと考えるドライバーにとって、タイヤのサイズ変更は魅力的なオプションであり、クルマのカスタマイズにおいてはポピュラーな部類と言えるでしょう。
しかしタイヤのサイズを変更することは、単に見た目をよくするだけでなく、クルマの操作性/安全性などにも大きな影響を及ぼすことがあります。
では車検や安全性の観点から考えるなら、どのようなポイントを意識してカスタマイズすればよいのでしょうか。
知っておきたい タイヤのサイズって変えてもいい?
結論から言えばタイヤのサイズを変更すること自体に規制はないため、純正のタイヤ以外も履くことは可能です。
しかしサイズ変更可能だからといって、どんなタイヤを選んでもよいというわけではありません。
たとえば、車検の規制/適合するタイヤのサイズ範囲/ホイールとの相性/走行性能への影響など、考慮すべき点は多岐にわたります。
タイヤサイズの変更は安全に関わる重要な要素でもあるため、間違った選択をすると車検に通らなかったり、違法改造として取り締まりの対象となったりする可能性があります。
では、具体的にどのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。
まず大事なのが、タイヤの外径を変えないこと。
タイヤの外径を変えてしまうと、タイヤが車体に干渉したり、スピードメーターに誤差が生じたりする恐れがあります。
特に、車体への干渉はタイヤの損傷につながることから安全への影響が大きく、車検においても重要なチェック項目とされています。
タイヤのサイズを変える分には、なんら問題はないが、規定を守る必要がある
ちなみにタイヤのサイズ変更は、インチアップと呼ばれる方法で行われるのが一般的です。
インチアップとは、タイヤの外径を変えずにホイールのリム径のみを大きくし、タイヤを低扁平化(へんぺいか)することを指します。
低扁平化は扁平率を下げるという意味で、タイヤの接地幅が広がりサイドウォールが低くなるのが特徴です。
インチアップをおこなうことで、グリップ性能/コーナリング性能/ハンドリング性能の向上などが期待できるため、見た目の美化だけでなく、走行性能の改善を目指す場合にも広く採用されています。
なおインチアップをおこなう場合、タイヤの外径が元のサイズからプラス2%/マイナス3%以内の変化であれば、誤差許容範囲内とされることが多いとのことです。
次に注意すべきポイントが、車体からのはみ出し量。
タイヤが車体の外側へはみ出すとクルマの安定性が低下し、高速走行時や急カーブ時の車両の挙動が不安定になることがあります。
また、狭い道を通行する際や駐車する際にタイヤが障害物に接触しやすくなり、タイヤ/ホイール/車体自体に損傷を与える可能性があります。
車体からタイヤが大きくはみ出すと、車検に通らなくなることも
さらにタイヤの車体からのはみ出し量には規定があり、その数値を超えてしまうと車検に通りません。
車検基準では、タイヤがフェンダーより外側に10mm以上はみ出してはいけないと定められており、10mmを超えると不正改造という扱いになり、取り締まりの対象になってしまいます。
また、この規則が適用されるのはタイヤのみであり、ホイールがタイヤよりもはみ出している場合は、10mm未満であっても車検を通すことはできないようです。
タイヤのサイズを変えるなら、正しいルールの理解に加えて、サイズ変更に伴うデメリットも把握しておくとよいでしょう。
ステアリングレスポンスが向上するのは魅力ですが、一方で、乗り心地が硬くなる/走行音が大きくなる/タイヤ代が高くなるなどの問題が発生するケースもあります。
また場合によっては燃費が悪くなるケースもあるため、タイヤのサイズ変更は一概にプラスになるとは言えません。
そのため、これらのリスクを踏まえたうえで、タイヤのサイズ変更は慎重に検討してください。
このように、タイヤのサイズを変えること自体に規制はありませんが、規定の理解から適したタイヤサイズの選定まで幅広い知識が求められます。
タイヤは自動車の根源を支える存在であり、乗員の安全に関わる重要な要素でもあるため、間違った選択は後悔の原因となりかねません。
タイヤのサイズを変更する際は、正しい知識と情報をもとに、自分にとってベストなタイヤを見つけましょう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(トリビア)
世界初のガソリンエンジン車の駆動系 最初の自動車の駆動方式はミッドシップだった 最初の自動車は前輪駆動だった。1769年、蒸気で走る世界初の3輪自動車が現れたが、前1輪を駆動するFF車だった。蒸気機関[…]
1900年初頭、石油ランプからアセチレンランプへ進化 ガソリンエンジンを搭載した自動車が実用化された初期の時代は石油ランプが用いられていた。1900年代に入ると炭化カルシウムと水を反応させて、発生する[…]
電子制御サスペンションは、3つの制御方式に大きく分類される サスペンションに電子制御を持ち込み、走行状態、路面の状況に合わせた最適な乗り心地やアジリティ、スタビリティが得られるものも一部のクルマに採用[…]
リアサスは、固定式リーフスプリングからコイルスプリングへ進化していった 長い間、リアの車軸は固定式で、それをリーフスプリングで支えていた。コイルスプリングが実用化されると、一部の高級車でそれを使うもの[…]
困ったときのお助けサービス。知っておくと、いざというときに安心 サービスエリアやパーキングエリアの片隅に置かれた、コンパクトな機器。ほとんどの人が、気にもとめずに素通りするが、必要な人にとっては、実は[…]
人気記事ランキング(全体)
ペットと旅をするために生まれた特別な一台 軽キャンパー「愛犬くん」は、オートワンが手掛ける愛犬専用キャンピングカーである。ベース車両にはスズキ・エブリイバンを採用し、ペットと過ごすために必要な装備を標[…]
一見すると、何に使うかよくわからないアイテムだが…。 TikTokを始めとしたSNSでバズった話題のカーグッズ。ショート動画で見ていると、かなり便利そうなので気にはなったいたのだが…。実際のところはど[…]
コンパクトサイズが生む絶妙な取り回し タウンエースをベースにした「Plaything Ace SP」は、軽キャンピングカーより余裕があり、ハイエースよりもコンパクトという絶妙に使いやすい車両だ。全長4[…]
トヨタ マークII/チェイサー/クレスタ[X70] デビュー:1984年8月 ボディカラーは”スーパーホワイト”ほぼ一択”だ。ワインレッドの内装に、柔らかなシート表皮。どこか昭和のスナックを思い起こさ[…]
何かと物騒なこの世の中、低コストで買える安心 車の盗難のニュースを目にするたびに、自分の車も被害に遭わないか心配になってしまう。筆者は高価な車に乗っているわけではないが、防犯対策をしておいて損はないは[…]
最新の投稿記事(全体)
防音断熱や車内クーラーなど車中泊仕様の基本装備が充実! RVビッグフットは埼玉県東松山市と北海道函館市に店舗を構えるキャンピングカー専門店で、自社開発のキャンピングカーのラインナップも充実。 バンコン[…]
シエンタ:モデル概要 トヨタ・シエンタは、全長4.3m弱のコンパクトな車体に3列シートを効率的に配置し、多人数乗車を可能にしたモデル。2022年にデビューした現行型は、初代モデルで高く評価されていた“[…]
電気自動車のフラッグシップモデルをアップデート Audi e-tron GTシリーズは、ポルシェと共同開発した電気自動車専用の「J1 performanceプラットフォーム」を採用している高性能フラッ[…]
ペットと旅をするために生まれた特別な一台 軽キャンパー「愛犬くん」は、オートワンが手掛ける愛犬専用キャンピングカーである。ベース車両にはスズキ・エブリイバンを採用し、ペットと過ごすために必要な装備を標[…]
もともと4WDはレース目的で造り出された駆動システムだった 4WDというとヘビーデューティなジープタイプのクルマを連想するが、ガソリンエンジン世界初の4WDはヒルクライムレースのために造り出されたもの[…]
- 1
- 2