VIE STYLE、KDDI主催「みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト」の実証実験で、ニューロフィードバック×認知トレーニングでレーシングパフォーマンスの向上に成功

  • 2022/12/01
  • VIE STYLE株式会社[PR TIMES]

※このページは、自動車関連企業等より配信されたパブリシティリリース記事をそのまま転載しております。掲載内容に関するお問い合わせ等につきましては、直接リリース配信元までお願いいたします。

ニューロテクノロジーの活用で夢への挑戦を支援

 次世代型ウェアラブル・イヤホン型脳波計の開発とニューロテクノロジーの社会実装を行うVIE STYLE株式会社(代表取締役: 今村 泰彦、本社所在地: 神奈川県鎌倉市、以下 VIE STYLE(ヴィー スタイル))、KDDI株式会社、株式会社アイロック、株式会社レーシングヒーローは、2022年7月20日から2022年9月26日まで、レースゲームを楽しむeスポーツゲーマー (以下 eレーサー)や多くのパートナーとともに、脳科学とITを組み合わせたブレインテックとeスポーツを活用したトレーニングを通じ、脳の認知能力を高め、実車でのドライビングテクニックの向上につなげる技術(以下 本技術)の開発に取り組む「みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト」(以下 本プロジェクト)での実証実験成果を発表したことをお知らせします。
※参照記事:https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2022/11/18/6391.html

 本プロジェクトでは2021年度に実施した実証実験(注1)を拡大し、テストドライバーとなる20名のeレーサーが参加して、実車などによる走行タイムの測定と約4週間の脳トレーニングを行いました。 結果として、脳トレーニングを受けた10名のeレーサーは、トレーニングをしなかった10名と比べて、実車走行で約2.2倍のタイム向上率となり、脳トレーニングの効果を確認しました。

  • 「みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト」について

1. 概要
 「みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト」は、将来カーレーサーを目指したい方が、環境や経済的な問題で諦めることを無くす道のりをつくる技術を開発するプロジェクトです。
 一般から募集したeレーサー20名にSDAのドライバー13名などを加えた33名で、実車やドライビングシミュレーターでの走行タイムの測定、脳トレーニングなどを行い、本技術の開発を進めました。
<本プロジェクトの流れ>

項目内容実施日程
測定会(1回目)・筑波サーキットにおいて、実車とドライビングシミュレーターで走行タイムと脳波を測定しました。
・また、運転パフォーマンスと相関する認知能力を特定するため、5種類の認知タスク・心理尺度回答を実施しました。
・測定結果をもとに、トレーニング対象の認知能力を特定しました。
2022年8月1日
脳トレーニング
(トレーニーのみ)
脳トレーニングの対象者(以下 トレーニー)と、脳トレーニングを実施しない比較対象者(以下 コントロール)10名ずつを振り分けました。
1週間に1回、脳トレーニングを実施しました。(計4回)
2022年8月下旬から2022年9月中旬
測定会(2回目)1回目と同様に筑波サーキットで測定しました。
2022年9月26日

2. 本プロジェクトにおける技術開発
(1)本プロジェクトでの検証内容

 本プロジェクトでは、本技術の検証のため、一般から公募した20名および、SDAドライバー13名などの計33名で、以下の2プログラムを同時に実施しました。

プログラム内容
①2021年度の検証結果の信頼性確認一般から公募した参加者を対象に、2021年度と同様のカリキュラムを実施し、脳トレーニング(ニューロフィードバックトレーニング+認知トレーニング)によってドライビングシミュレーター上での走行タイム向上につながるかの確認を行いました。
②脳トレーニングの内容がどの運転操作に作用しているかの確認脳トレーニング(ニューロフィードバックトレーニング)がどの運転操作にどのように作用しているか確認するため、実車走行する実証実験を行いました。

(2)SUBARUおよびSDAによる検証
 SDAのドライバーについても、SUBARU所有のトレーニング車両でeレーサーと同様のプログラムを実施しました。SUBARU技術研究所と共同で、車両に取り付けたロガーで取得した各種データ、インカ―カメラ映像、高精度GNSSを活用した走行ライン、アイトラッキングで取得した目線などの情報を総合的に分析し、eレーサーの検証結果との差分を確認しました。
(3)脳トレーニングについて
 脳科学研究の進展により、モータースポーツで活躍するレーサーの反応速度が一般人と比較して早いという結果が報告(注2)されています。また2,000人以上の子供を対象とした最新研究では、ゲームの経験がワーキングメモリーと抑制制御(行動・反応を抑えられる能力)といった認知能力の向上に関与していることも示唆されています (注3)。これらの結果から、ドライビングやeスポーツのパフォーマンスの高さの背景に脳の認知能力が影響し、トレーニングを通じた実際の競技パフォーマンスの向上が期待されています。
 本プロジェクトでは、参加者の測定データをもとに、脳トレーニングとドライビングスキルの向上との相関関係が判明した、①感覚運動スキルと②感情制御スキルの向上を目指すトレーニングメニューを開発しました。
<トレーニングメニュー>

トレーニング項目内容
①ニューロフィードバック(注4)と感覚運動トレーニング先行研究で示唆されている(注5)運動学習の促進に有効な特定の周波数帯域のアップレギュレーション (その周波数の脳波成分の増強) を目的としたニューロフィードバックを行った後に、ゲームパッドを利用した感覚運動学習課題をPCで実施します。
②ニューロフィードバックによる感情制御トレーニング特定の感情を自分で誘発し、その脳波を元に個人の感情状態を推定する脳情報解読技術を利用することで、目的の感情に自己誘導するニューロフィードバックを行えます(注6)。その技術を応用し、さまざまな感情が誘発されてもニュートラルに保てるように訓練するニューロフィードバックの訓練を行います。

(4)実証結果
①対象の認知機能の向上に成功(トレーニング内容自体の変化)
 トレーニング群が訓練した①感覚運動のパフォーマンスは有意に向上しました。また、②感情制御のニューロフィードバックも目的とする状態に制御できていることが確認されました。これにより、開発したトレーニングプログラムで対象とする認知機能の向上に成功したと解釈できます。
②脳トレーニングによるレースパフォーマンスの向上に成功
筑波サーキットにおいて、1回目の測定と比較した時の2回目の測定時の最速タイムの短縮率を分析しました。
<タイム短縮率>

測定方法A: 脳トレーニングあり
(トレーニー)
B: 脳トレーニングなし
(コントロール)
脳トレーニングの向上率
(A/B)
実車6.5%
(t(9)=3.79, p<0.1)
2.9%
(t(9)=2.13, p=0.06)
約2.2倍
シミュレーター1.7%
(t(9)=1.11, p=0.29)
0.13%
(t(9)=0.40, p=0.80)
約13倍

■特に実車での走行タイム短縮に効果が出たことから、脳トレーニングは、eモータースポーツと比較して、参加者への伸びしろが大きい運転パフォーマンスの向上につながることが示唆されました。一方でドライビングシミュレーターにおいては、結果のばらつきが大きく有意ではなかったものの、絶対値としてはコントロール群と比較し、大きな向上効果が期待される結果となりました。
■これらを踏まえると、開発した脳トレーニングによってターゲットとなる認知能力を伸ばすことで、レースパフォーマンスの向上に因果的に寄与することが示唆される結果となりました。

  • VIE STYLE株式会社

 VIE STYLEは、「味わい深い人生を〜Feel the life〜」をミッションに掲げ、ニューロテクノロジーとエンターテインメントで、人々の感性をアップデートし、ウェルビーイングに貢献することを目指しています。世界の人々が感性豊かな人生をおくることをサポートするプロダクトを創造し、人々をZONE(ゾーン)状態に導くサービスの開発を行うとともに、 脳神経に関わる未来の医療ICT・デジタルセラピューティクス(DTx)の発展にも寄与していきます。

会社名VIE STYLE株式会社
代表者代表取締役 今村 泰彦
所在地神奈川県鎌倉市材木座5-15-12
URL https://www.viestyle.co.jp/
関連会社VIE STYLE,INC. (US法人)
Podcast番組 ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜
https://anchor.fm/neuro-yokocho

(注1)KDDI主催eモータースポーツ×ブレインテック実証を実施(https://www.viestyle.co.jp/news/kddi-e-sports
(注2)Baur, H., Müller, S., Hirschmüller, A., Huber, G., & Mayer, F. (2006). Reactivity, stability, and strength performance capacity in motor sports. British journal of sports medicine, 40(11), 906-911.
(注3)Chaarani, B., Ortigara, J., Yuan, D., Loso, H., Potter, A., & Garavan, H. P. (2022). Association of Video Gaming With Cognitive Performance Among Children. JAMA Network Open, 5(10), e2235721-e2235721.
(注4)ニューロフィードバック: 自身の脳波をリアルタイムで確認しながら、目的の脳状態になるように試行錯誤する技術。
)注5)Rozengurt, R., Barnea, A., Uchida, S., & Levy, D. A. (2016). Theta EEG neurofeedback benefits early consolidation of motor sequence learning. Psychophysiology, 53(7), 965-973.
(注6)Huang, W., Wu, W., Lucas, M. V., Huang, H., Wen, Z., & Li, Y. (2021). Neurofeedback Training with an Electroencephalogram-based Brain-Computer Interface Enhances Emotion Regulation. IEEE Transactions on Affective Computing.

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