
2026年1月の東京オートサロンで火蓋を切ったトヨタの社内喧嘩が、ついに富士の地で最終決戦を迎えた。ステージ上では、GR(ガズーレーシング)とTR(トヨタレーシング)の両チームが、常識破りの北米カムリカスタムカーを引っ提げて激突。会場は爆笑と驚きと爆音!?に包まれた、熱いステージの模様をレポートする。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:トヨタ自動車株式会社/月刊自家用車WEB編集部
東京オートサロンで生まれた”ケンカ”の経緯とは!?
TGRブースにおいて「ケンカ三番勝負」の3戦目がスーパー耐久シリーズ富士24時間レースの会場で決着!?
この対決の発端は、2026年1月の東京オートサロンに遡る。TGRブースにおいて「ケンカ三番勝負」の3戦目として設定されたのが、今回の北米生産カムリを使ったカスタム対決だ。
その決着の場としてスーパー耐久シリーズ富士24時間レースを設定。モリゾウことトヨタ自動車の豊田章男会長率いるチームGRと同じくトヨタ自動車の中嶋裕樹副社長率いるチームTRの社内抗争として企画された。
アンベールされた2台のカスタム北米カムリは、一般的なカスタムを超える魔改造というべき内容。モリゾウさん1月のオートサロンでは、設計図のない町工場の力で作り上げるって言ってませんでしたっけ?
チームGRの「GRカムリ」は700馬力に7気筒ツインエンジン搭載の異形マシンでしかも4WD! 市販化を目指す!?
ツインエンジンとは思えない流麗なスタイルのチームGRの北米カムリカスタム。
チームGRが製作したのは、スポーティなエアロパーツをまとったセダンスタイルの「GRカムリ」。開発を担当したレーシングドライバーの佐々木雅弘選手は「上品さを楽しみながら、パッと見た瞬間にカッコいいと思えるデザインを目指した。市販化を見据えて作り上げた」と語る。
大型リヤスポイラーが特徴のチームGR。
最大の衝撃は走行性能にあった。フロントに3気筒、リアに4気筒を搭載した、計7気筒・ツインエンジン仕様に仕上げている。しかも4WDだという。総合出力はなんと700馬力に達する。両エンジンのマフラーはそれぞれ独立し、車体側面と後方から排気管が突き出る独特のスタイル。
チームGRのカムリは左ハンドルで、トランスミッションもオートマチック。
エンジンスタート時には重低音の複合サウンドが会場を圧倒した。町工場で作るという考え方だからこそなのか? ちなみにステアリングはアメリカ仕様の左ハンドルのままだ。
チームTRの「TRカムリ」はジャイアーノこと中島副社長の応接室!?をイメージした”威圧系”グラチャンカスタム
富士グランドチャンピオンレースを発祥とする往年のグラチャンスタイルを取り込んだチームTRの北米カムリカスタム。
メーカーがこれやっていいの?と驚く竹槍マフラー!
エンジンルームには赤いヘッドカバーの2Lエンジンを縦置きで搭載。駆動方式はFRでトランスミッションはマニュアル。ベースのカムリのレイアウトから魔改造。
対するチームTRが持ち込んだのは、「ジャイアーノの応接室」をコンセプトにしたカスタムカー。TOYOTA RACING会長でトヨタ副社長のダンディーな中嶋裕樹氏(ジャイアーノ)そのものとTRチームの泉屋 亨氏は解説。「誇張しすぎたハンマーヘッド」と称するフロントフェイス、ビス止めのオーバーフェンダー(前後)、シューティングスターモチーフのリアスポイラー、さらに竹槍マフラー! そして天井から吊り下げられたシャンデリアが目を引く。そのスタイルは往年のグラチャンスタイルそのものだ。そしてTRチームもベースの北米カムリのメカニズムを無視した魔改造を行っており、縦置きエンジン+FRレイアウト、さらにトランスミッションはマニュアルとなっている。
内装はさらに個性的で、センターコンソールのクリスタルシフトノブにはカムリの生産地・ケンタッキーをオマージュしたバーボンが封入。「ケンタッキーといえば馬だろ!」とモリゾウさんにツッコまれていたが、リアシートには大型スピーカーを内蔵し、デジタルメーターもインテリアに合わせてカスタマイズされている。ステアリングは右ハンドルに換装済みで、「GRより一歩先んじて日本仕様を意識した」と胸を張る。
これ大丈夫なの?と何度となくモリゾウさんに心配されたシャンデリア。固定されているらしい。
互いに辛口採点! それでも本音はリスペクトしてる!?
どちらのカスタマイズも今年のゴールデンウィークあたりから作業を始めたそう。とんでもない短納期!
お互いに見た目の採点をしましょうとなり、モリゾウさんがTRカムリに「品がない」として100点満点中48点を付け、中嶋裕樹副社長はGRカムリに「短納期でここまで仕上げたことへのリスペクト込み」で49点を付けた。なお両チームとも、今年のゴールデンウィーク明けから本イベントまでという超短期間での製作だったという。中嶋裕樹副社長は「ツインエンジンの話を聞いた時は『かかるわけがない』と思っていたが、実際にエンジンがかかった映像が送られてきた時は正直驚いた」と、GRカムリの仕上がりへの驚きを隠さなかった。
この採点により、GRが49点、TRが48点という超僅差の状態で、レース期間中に実施されるファン投票(会場でのマグネット投票)へと勝負は引き継がれた。
秋には700馬力で走行披露へ!トヨタイムズで公開予定
本当に走るのか? チームGRのツインエンジン700馬力+4WDが気になるがチームTRのFRカムリも気になる!
インベント終盤のフォトセッション中、今後の展開についても明かされた。GRカムリは秋頃に公認取得を経て完全走行可能な状態に仕上げ、700馬力を発揮してモリゾウさんがドライブする模様をトヨタイムズで公開する計画だという。TRカムリも「うちも走らせますよ」(中嶋裕樹副社長)と対抗意識を燃やしており、両チームの”ケンカ”はまだまだ続きそうだ。
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